こんにちは、弁護士の高島惇です。

 

先日、私立中学校における卒業までの自宅謹慎措置について、実質的には懲戒としての停学処分であるとしてその違法性を認めた下級審判決が出ました(千葉地方裁判所令和6年2月15日付け判決)。

内容としても、「中学校の校長において、生徒に対して懲戒処分につき、合理的な教育的裁量権を有していると認められることを考慮しても、停学は、中学校の生徒に対しては行うことができない旨明確に定められていることに照らせば、本件自宅謹慎は、本件校長の裁量権を逸脱濫用したものとして違法であるといわざるを得ない。」と学校教育法施行規則に照らして直接的にその違法性を認定しているものであって、正当な理由であるものと思料いたします。

 

自宅謹慎措置については、公立私立を問わず全国的に漫然と講じられている実情があるところ、義務教育課程である事実やかかる謹慎措置を講じた背景事情(生徒の問題行動に対するペナルティとして講じられるケースは非常に多いです)を踏まえると、実質的に見れば懲戒処分と評価できるケースは多く存在するのであって、その問題点は複数の書籍でも指摘されてきたところです。

かかる問題点が下級審判決ではあるものの明確に示されたことは、今後における同種の学校紛争においても解決を図る上で非常に有意義であるものと思料いたしますので、ここに紹介いたします。