(前回からの続き)
前回は医師の人事に関わるめんどくささを書きました。
今回は看護師の人事についてです。
公立病院の現場では、看護師不足に困っています。
現場から人員増の要望は出るんです。
しかし、増やしてはもらえません。
経営側、管理側の言い分はこうです。
「数は足りている」
確かに名簿上の人数はそれなりにいるんです。
だけど、現場の現状はどうか。
足りないんです。
名簿上の採用者数はある程度いますが、実際の現場に出ている看護師の数は名簿上の人数とは大きく違います。
なぜか。
どういうことか。
休職中の看護師が多いんです。
採用しても、かなりの数の看護師が2、3年のうちに産休を取り、そのまま育児休暇に入ってしまうのです。
一度このサイクルに入ると、それこそ2年くらいは休職となります。
現場としては一人減なのですが、管理側の公務員はそう考えません。
必要数は足りているとして、実際に足りない分は現場でなんとかしろ、とするのです。
しわ寄せは現場に行くことになります。
これが病棟や部門で一人二人のことではないんです。
一人がそういうサイクルに入ると、なぜか連鎖反応のように周りの同僚看護師も次々とそういうサイクルに入りがちなのです。
それでも管理側は「足りている」という考えを変えることはありません。
減っても減っても、「いずれは帰ってくるんだから、今は現場で助け合って乗り切れ」というばかりなのです。
僕は産休を取るな、育休を取るなと言っているのではありません。
若い女性看護師であれば、産休・育休の取得というのは予期できることです。
職員を採用する管理者であれば、そういう事態になっても困らない人員採用をしなくてはなりません。
それが管理者の仕事です。
それをやっていないんです。
管理者として仕事をしていないんですよ。
管理者というのは、下の者に対して上から命令して働かせるのが仕事だと思っているかのようです。
現場がうまく回るように、病院がうまく回るように体制を整えるのが管理者の仕事だと、僕は思います。
しかし、管理側の公務員はそうは思っていないようです。
さらに夜勤をやらない看護師の多さです。
採用したものの、夜勤はやれない、という看護師が多いんですよ。
そうすると、夜勤をやれる人にばかり負担が集中することになります。
この状態が続くので、夜勤をやれる人が疲弊して辞めたり、体調を崩して休職になったりします。
そうした悪い勤務条件下ですから、採用しようにも質の良い人は集まりません。
そこで次は五島やら沖縄やらといった離島から連れてくるんです。
離島出身者が悪いということではありません。
離島に限らずですが、産まれ育った土地と違う土地では、細かい生活習慣や考え方が違うものです。
生活文化、環境の違う場所での生活に対応できないことは、往々にしてあります。
その結果として鬱病で病気休暇、仕事に出てこないといった例が多々あります。
そうした病気休暇に対しても、管理側の姿勢は産休・育休と変わりません。
「数は足りている」というんです。
そして、現場が取らざるを得ない、管理側が現場にとらせる対応も育休・産休の時と変わりません。
こうした管理側エリート公務員様の、員数主義。
また、管理者、管理職とは下に命令することが仕事だと思っていること。
そして管理側は雇用条件を改善しようとはしません。
人を集めるなら、相当の対価をはらわなくてはなりません。
その現場を維持する人員に見合った単価、労働に見合う額、その人の能力に見合う額の給料を用意しなければいけません。
しかし管理側の公務員は頑なにそれはしようとしません。
それゆえ人は集まらないし、質の良い人となれば、なおさら集まりません。
現場の労働条件は悪く、それは改善されることはないのです。
公務員達の無能さ、それによる現場の使い捨て。
こうしたことが公立病院での極悪勤務条件につながっています。
そしてその割を食うのは一般の市民です。
エリート公務員達はなんとも思わず、のうのうとしているのです。
これで良いと思いますか?