「自己実現に夢中になる人で満ち溢れた世界をつくる」

そして、

「自分らしく生きる人で満ち溢れた社会をつくる」

その結果、

「自己実現した人にしか見られない風景を誰でも見られる世界をつくる」

そんなビジョンを掲げる

「未来価値創造パートナー」の渡邉敦です

 

 

 

こんにちは。

 

今日は「IPビジネスと業務プロセス管理の共通性といった話を書いてみます。

 

「IPビジネス」って聞かれたことがあると思うんですけど、日本のお家芸と言っても過言ではありません。自社が生み出した知的財産によって収益(ライセンス使用料)を得るビジネスのことです。

 

オリジナルの知的財産を生み出せば、その財産を使って利益を得る権利(知的財産権)が認められ、海外市場でも活用することが可能で、日本発の漫画やゲームが海外で販売されているのがこのIPビジネスです。

 

例えば、制作したアニメなどのコンテンツを、アプリや専用サイトで継続的に配信したり、根強いファンを獲得した作品を、パチンコやグッズ製作などに二次利用したり、マスコットキャラクターが各地のイベントなどに出演したりなどと応用が効くところがこのビジネスの魅力です。

 

IPビジネスには、大きく分けて3つのメリットがあります。

 

ひとつめは、人気が定着すると「息の長いビジネスになる」ということです。

 

ジブリやディズニーなどの作品を思い浮かべてもらえれば、わかると思います。IPビジネスによって生み出した知的財産にはさまざまな活用方法があり、キャラクターや作品などに多くのファンがつくと、息の長いビジネスモデルを構築しやすい、というわけです。

 

2つめは、「本業として取り組む必要がない」ということです。

 

キャラクターなどの知的財産をライセンスとして販売すれば、グッズ製作やイベント運営などを自社で行う必要がありません。これらのサービス展開はライセンスの購入者が行ってくれるからです。資金や人的リソースを削りたくない企業にうってつけなビジネスです。

 

3つめは、「自社のイメージアップや宣伝につながる」ということです。

 

グッズ製作などの二次利用・三次利用が成功すると、新たなファンを獲得でき、さらに多くの企業がライセンスを購入するようになるため、イメージアップ戦略として活用することも可能です。

 

「ハローキティ」がどんなIPビジネスをしているのか見てみます。

 

 

ハローキティを生み出したサンリオですが、同社の強みはキャラクターを、社員のデザイナーによって内製化し、IP(知的財産)を会社が保有。これにより、ライセンスを受ける他企業はサンリオキャラクターとのコラボをスピーディーに、デザインの自由度高く、かつコスト面でも有利に進められる仕組みがあるのです。

 

サンリオの事業の中心は、キャラクタービジネスです。自社で企画したグッズを売る「物販」、キャラクターの利用に応じてロイヤリティー(版権料)を得る「ライセンス(IP)」の2つがキャラクタービジネスにおける主たる収入源となります。

 

ライセンスによるロイヤリティー収入です。24年3月期には、999億円の売り上げの40%、実に398億円がライセンスによるロイヤリティー収入となっています。

 

特に海外ではロイヤリティー売り上げの比率が日本に比べ圧倒的に高く、日本では21%のところ、アジアでは79%、北米・南米では83%、欧州ではなんと100%です。物販やテーマパークも手掛ける国内とは対照的に、海外ではライセンス中心の展開であることが読み取れます。

 

サンリオがIP(知的財産)を直接持っているため、アニメのように利害関係者が多く、マージンが発生するコンテンツ起点のキャラクターに比べ、コラボ企業にとっては構造上、ロイヤリティーの支払いが押さえられるというメリットもあると考えられます。

 

特定の人気商品に宣伝費などのリソースを大量に投入して大ヒットを生み出し、企業全体の売り上げを伸長する戦略は、「ブロックバスター戦略」と呼ばれます。

 

サンリオがハローキティにおいて取った同戦略のインパクトは大きく、例えば、最高益となった14年3月期の海外売上にしめるハローキティの構成比は93%に上っています(出典:株式会社サンリオ 2024年3月期決算説明会配布資料(中期経営計画))。

 

実は、映画をはじめとするエンタテインメント業界では、いわゆる勝者総取り(winner takes it all)で、大ヒット作とそれ以外では収益性に大きな違いがあることが知られており、特定の作品に集中投資して大ヒットを狙うブロックバスター戦略が有効だとされています(以上、記事から抜粋しました)。

 

さて、これがキャラクタービジネスであれば歓迎されますが、会社で自分しかできないビジネスを抱えている社員は、あまり歓迎されません。

 

「この仕事は自分にしかできない」そんなふうにアピールしてくる専門家社員です。しかもその多くは思い込みなことも多いです。心理学者P・ミールの有名な研究をご紹介します。

 

訓練を積んだ専門のカウンセラーに、新入大学生の1年後の成績を予測してもらいました。1人当たり45分間の時間をかけて面談した上に、様々な資料もチェックして。

 

一方、高校時代の成績と適性テストの結果から計算(アルゴリズム)で割り出した数字があります。すると、専門家14人のうち11人の予測は、機械的に割り出したものを下回る結果になりました。再犯の予測など、そのほか20種類の調査でも、おおむね同様の結果になったそうです。

 

この研究は、世界中の心理学者にショックを与え、以後50年にわたり200件以上の追試が行われました。残念ながら結果は変わらず、60%でアルゴリズムが人間を大幅に上回る精度を示し、残り40%が引き分けになりました。「自分しかできない」というのが怪しくなったわけです。

 

もちろん、この話を仕事全般に当てはめるのは無謀です。真のプロフェッショナルだけが持つ匠(たくみ)の技があるのも事実です。

 

しかしながら、熟練した専門家の高度な判断ですらこのありさまです。仕事の自負心を持つのは結構ですが、「自分にしかできない」という点は、一度疑ってみても悪い話ではないのではないでしょうか。

 

●属人的なやり方を標準化する

CMMI(Capability Maturity Model Integration)」という組織やプロジェクトの業務プロセスがどれだけ管理されているかを、5段階で評価したものをご紹介します。

 

一人ひとりが、行き当たりばったり仕事をしたのでは、効率があまりに悪いです(レベル1)。できたかできなかったかの判断もできず、個人の力量を信用するしかありません。

 

業務目標を立て、仕事の要件を決め、計画をつくるところからマネジメントは始まります(レベル2)。それがないと仕事の管理ができません。

 

手順、手法、判断基準、ツールなど、業務プロセスが標準化されていれば、誰がやっても同じ結果が期待できます(レベル3)。仕事が個人から組織のものになります。

 

●仕事に応じた成熟化を目指す

さらに、仕事が定量化できるようになれば、実績が統計的に管理できます(レベル4)。結果が予測可能になるわけです。これが、上で述べたアルゴリズムの話です。

 

すると、定量的な理解をもとに、仕事が継続的に改善できるようになります(レベル5)。さらに最適な仕事を追究していけるようになるわけです。

 

CMMIを使って会社の業務を横ならびで診断すると、成熟化の進展度合いが一目瞭然となります。成熟度の低いところは、標準化や定量化を進めることで、働き方が変えられます。属人的な仕事を属事的な仕事に変えるわけです。

 

業務に応じて目標レベルを設定し、着実に達成することは大事です。それぞれに仕事に適した成熟化を目指すようにしましょう。

 

そして、仕事を定型化しようとすると、少なからず抵抗があることも覚悟しなければなりません。人の感情はマネジメントしにくく、やり方を間違えると逆効果となります。

 

●新しい仕事に挑戦するために欠かせない

そもそも、仕事の標準化なんて誰もやりたくありません。勝手気ままにやるほうが楽しいに決まっています。堅苦しいマニュアルを押しつけられるのはまっぴらごめんです。慣れ親しんだ仕事のやり方を変えること自体、苦痛を伴うものです。

 

「自分しかできない」「自分が役に立っている」と思うからこそ、人は頑張るものです。今まで情熱を注いできた仕事が、誰でもできるものになったら、気力がうせてしまいます。自尊心を守るために、定型化にあからさまに抵抗するやからも現れてきます。

 

そうではなく、本当に自分にしかできない仕事をつくるために、自分以外でもできそうな仕事を標準化するのです。新しい仕事にチャレンジしていくために欠かせないものなのです。

 

標準化は、会社だけではなく、当人にも大きなメリットがあることを、みんながしっかり共有できるかどうかが鍵となります。

 

しかも、標準化は一度やったら終わりではありません。時間とともに必ず属人的あるいは部分最適な仕事のやり方がはびこるようになります。たまったほこりを定期的に払いながら、どんどん新しい仕事のやり方を開発していきましょう。

 

冒頭でとりあげたIPビジネスのように、自分の仕事を独占するのは会社にとっても本人にとってもマイナスでしかありませんから。

 

 

それでは、今日も笑顔あふれる素敵な一日をお過ごしください!

 

頑張り屋のみなさんを応援しています!

 

「A&W コンサルティング」
 代表・中小企業診断士 
    渡邉 敦 (Atsushi WATANABE)

Mail: info@aw-consulting-office.com