「自己実現に夢中になる人で満ち溢れた世界をつくる」

そして、

「自分らしく生きる人で満ち溢れた社会をつくる」

その結果、

「自己実現した人にしか見られない風景を誰でも見られる世界をつくる」

そんなビジョンを掲げる

「未来価値創造パートナー」の渡邉敦です

 

 

 

こんにちは。

 

今日は多様な価値観を受け入れるメタ思考の実践といった話を書いてみます。

 

 

今、小学校や中学校で授業を行う準備を僕はすすめています。テーマは「メタ認知・メタ思考力」なんですが、これを子供たちに教え、理解し、実践してもらうのは至難の業です。いくつか困難な理由はあるのですが、そのひとつ(というかこれがすべてかもしれません)が、「価値観の違い」です。

 

子供は無意識のうちに自分の価値観を形成していきますが、大人になると自分を正当化する理由として意識的に価値観を前面に出すようになります。

 

例えば、僕が中小企業の経営者と話をしていても意見が合わないことがあります。そんなときに言われるのが「自分には自分の考えがありますから」とこだわりを示され、拒絶されるケースです。

 

こういった経営者の方は、いろいろと考えた結果、NGだと言っているのか、あまり考えもしないで気に食わないからNGだと言っているのかが、正直わかりません。しかし、すべてとは言いませんが、年配経営者ほど自分の思いを言語化することが苦手で、まわりも真意をつかみかねていることが多かったりします。

 

価値観は、一個人だけでなく、組織や社内でも醸成されていきます。

 

例えば、恐らく多くの人は、「お金を稼げる人=偉い人」という価値観を疑わずに生きています。しかし、戦国時代は、お金を稼げる人よりも、斬り合いに強い人のほうが尊敬されました。

 

そもそも、日本の歴史は戦いの連続で、「●●の戦い」という歴史ワードが何回も登場します。中世のヨーロッパでは「信仰心に熱い人=偉い人」という価値観でした。

 

このように、「偉い人」の定義は時代や社会によっても変わっていますが、ここで大事なのは、「当たり前」だと思っていることが、「当たり前でないことに気づける」ということです。

 

そんな世の中の価値観を疑ってみることを示唆してくれるのがやなせたかしさんのアンパンパンです。僕は、メタ認知やメタ思考を育むのに最適な教材だと僕は思っています。

 

やなせさんの戦争体験がアンパンマンに大きく反映されていますが、「当たり前」だと思っていることが、「当たり前でないことに気づける」テーマとして、 「正義と悪」が取り上げられています。

 

そして、やなせさんはご自身が大切にする3つの価値観をアンパンマンの中に反映しました。この3つの価値観は、小学校の学習指導要領にも書かれている「メタ認知のポイント」と重なります。

 

1.多様性を尊重する態度

2.互いの良さを生かして協働する
3.優しさや思いやり

 

ということで、価値観とどう向き合うかは大切となってくるのですが、そこでもうひとつ大切なのが「メタ思考」なんです。「考えている人(メタ思考ができている人)」と「考えていない人(メタ思考ができていない人)」とでは、基本的な価値観やスタンスが違ってくるからです。

 

世の中の価値観は「考えないこと」が主流です。つまり「自分の頭で考える」というのは、ある意味世の中の価値観に背を向けることもあります。

 

ちょっと話が抽象的になりそうなので、職場で起きたケースをもとにここからは話を続けます。

 

最近、AさんとBさんがもめており、Aさんがこう憤っていました。

 

「Bさんは自分自身の非をまったく認めない、一方で私に対しては全否定。でも、実際のところ、何か問題が起きて対立が起こった時って、どちらかが100%悪いなんていうことはないじゃないですか、必ず双方に何らか問題があるもんですよね。だから、まずはお互いに自分が悪かったところを言い合って、認め合ってから、話を進めるもんじゃないですか」と。

 

でも、Aさんがいくら頑張っても、そういう話にならず、Bさん自身は、自分のことを100%正しいと思っていて歩み寄る姿勢はないので、Aさんとは平行線。そして、Aさんもさすがにブチ切れる。そんな状況になっていました。

 

僕も冒頭で取り上げた経営者のように、自分のことを100%正しいと思っていて歩み寄る姿勢はない方にたびたび遭遇します。では、「自分はどうなんだ」と言われるとAさん近いタイプだと思っています。

 

しっかりと本音で相手に向き合い、お互いの立場になって考えれば、必ず双方によい着地点がみつかるはず、そう思っているタイプです。ある意味お互いハッピーになれると思い込んでいるからです。

 

僕やAさんタイプにとって、思考のタイプが異なる人と対立した時ほど苦しい時はありません。なんせ相手は、「一切自分の非を認めず、100%相手が悪くて100%自分は正しい」と思っているわけですから。

 

「おいおいちょっと待てよ、100%自分が正しいという思考そのものが正しくないじゃないか」と、いくら話しても会話が平行線状態で疲弊します。僕もそのような人との関係性に苦しんだことは何回もありました。

 

でも、俯瞰して考えてみていただきたいのですが、このAさんの思考そのものが、課題なのではないでしょうか。実は、Bさんは100%相手が悪く、100%自分が正しいと思っているわけではないのかもしれません。

 

Aさんからすると「Bさんがそう思っているように思いこんでいる」というだけで、決して事実はそうではないかもしれません。

 

どちらかというとBさんは、相手に対して怒っていたり、相手を認めていなかったりするので、単に相手の悪いところに焦点を合わせて話をしたいだけで、その段階では自分の悪いところを話す気なんてさらさらないわけです。

 

でも、それ以上でもそれ以下でもなく、ただそれだけなんです。

 

しかも、ケンカしているような時であれば、なおさらです。そもそも相手にむかついているからケンカになっているわけで、そんな時に自分の悪い点なんかに、これっぽっちも焦点を合わせる気はないわけです。

 

つまり、「お互いの悪いところを見つめあって話しましょう」ということ自体、数あるコミュニケーションの選択枝の1つであり、Aさんがそうしたいというだけのことで、Bさんはさらさらそういう形を採りたくないと言っているだけなんです。

 

何のことはない、Aさんは当然自分のコミュニケーションが正しいと思っているというだけで、結局は「お互いにお互いが正しい」と言っているのと一緒なのです。

 

これがまさにメタ認知なんです。

 

大人になればなるほどメタ認知が難しくなるのを実感します。ですが、ここに気づけばストレスフリーで絶望感もなくなります。

 

Bさんは、今はお互いの悪いところを話す気なんてないけど、冷静になった時に「自分も悪いところがあったなと思う」かもしれませんし、そもそも「今後もまったく思わない」かもしれない、まぁ、どちらでもよいかと思えるようになるわけです。

 

一言でいえば、心が広く、他人の言動をよく受け入れることができる寛容な人、となります。ここでいう寛容な人とは、感情が安定していて、衝動的な行動に走ることのない「マインドコントロールができている人」です。

 

一方、対人面では、以下のような特徴があります。

・相手の立場や感情を深く理解し、共感できる

・相手の欠点に対しても、むやみに批判的な態度はとらない

・新しいアイデアや異なる文化に対しても柔軟な「オープンマインドの持ち主」

 

そして、このAさんとBさんの対立構造を俯瞰すると、どちらかというとAさんは理屈が合わないことは嫌いな「論理的なタイプ」で、一方Bさんは、「感覚的なタイプ」の場合に起きているとも見えます。

 

つまり、論理的な人は論理的であるがゆえに、感情的な人との対話で絶望感を味わうことになるわけです。論理的な思考が好きな人は、人間関係に理屈を持ち込みすぎないように、注意してみてください。そんなことを意識するだけで、みなさんは「寛容な人」と認識され、信頼と信用のある人とまわりは認識するようになることでしょう。

 

最後にひとつ注意点をお伝えします。

 

今回取り上げてAさんとBさんとのようなやりとりの際、怒りが収まらないAさんに対し、「もっと大人になれよ」みたいな言葉で諭すのは逆効果なので止めましょうね。こういったアドバイスの本心は「アンガーマネジメント」のつもりなんでしょうが、ヒートアップしている時は、冷静に人の話を聞ける状態でもありませんから、優先すべきは一呼吸置くことですから。

 

 

それでは、今日も笑顔あふれる素敵な一日をお過ごしください!

 

頑張り屋のみなさんを応援しています!

 

「A&W コンサルティング」
 代表・中小企業診断士 
    渡邉 敦 (Atsushi WATANABE)

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