「自己実現に夢中になる人で満ち溢れた世界をつくる」

そして、

「自分らしく生きる人で満ち溢れた社会をつくる」

その結果、

「自己実現した人にしか見られない風景を誰でも見られる世界をつくる」

そんなビジョンを掲げる

「未来価値創造パートナー」の渡邉敦です

 

 

 

 

こんにちは。

 

今日は「知識・経験から思考力が重視される時代へといった話を書いてみます。

 

 

サッカーの元日本代表の岩政大樹さんと、リクルートを経て民間人校長にもなった藤原和博さんとの、成熟社会の教育や生き方についての対談でこんなことを言われていました。

 

岩政 自分でプレーする以外に、東大のア式蹴球部で指導をしているのですが、いまの子たちは何かと正解を求めたがりますね。サッカーは時間が流れていくなかで、それぞれの選手が次々と判断をしていかなくてはならないスポーツで、一つの正解があって、それに沿ってプレーするものではありません。

 

だから「自分で考えろ」と言うのですが、何をどう考えていいのかわからないようです。「考えろ」ではなく、何か別の表現はないものかと悩んでいます。

 

藤原 大人は子どもに「もっとよく考えなさい」と言いがちです。そのとき、子どもが「それってどういうことですか? どうしたら考えたことになるんですか?」と尋ねたら、たぶん答えられないと思います。

 

日本の教育は本当の意味での考える技術を教えていないから。小学校から高校まで、正解をよりたくさん詰め込んで、メモリーを最大限に増やす「正解主義」の教育をしているんです。私はそれを「情報処理力偏重の教育」と呼んでいます。

 

東大の学生は正解主義の権化、正解の出し方を考えるプロです。だから、サッカーの選手までが正解を欲しがるという話は実に面白い(ここまで)。

 

確かにその通りだなぁ、と思うんですね、僕も。子供たちは自分で考えることを授業で経験していなかったので、今は「探求」といった科目を設け、その中で、考えさせる時間をつくっています。

 

「よく考える」とは、抽象化する能力です。

 

中学生になると数学が苦手な子供たちがでてきます。小学生まではつるかめ算で具体的な物やイメージできるもので計算をしてきました。

 

しかし、中学生になるとXやYなどの方程式に代表される抽象化された概念が入ってくるため、とたんにわからなくなるわけです。

 

●「よく考える」とはどういうこと?

「もっとよく考えてみろ!」と言われ、今抱いている考えが、相手の期待にそぐわないことは分かります。では、どうしたら違う考えが生み出せるのか。言い換えると、「よく考える」とは何をすることなのでしょうか。

 

すぐに思いつくのは考える回数を増やすこと。何度も考えているうちに、見落としていた情報や道筋に気がつくことがあるからです。知恵を集めるという意味では、相談や会議も同じです。

 

ところが、同じやり方で考えても、さほど違った答えはでてきません。同じ考え方の人が集まって議論をしても、目新しい結論は期待薄です。それどころか、何度やっても同じ結論になり、「ほらやっぱりこれでいいんだ」と、余計に慣れ親しんだ考えから離れられなくなります。

 

つまり、「よく考えろ」と言われたら、まずは考え方そのものを点検し、それとは違う考え方をしなければいけません。思考法を切り替えないと、よく考えたことにならないのです。

 

そこで質問です。

 

皆さんは、どれくらい考え方のバリエーションをお持ちでしょうか。たとえば「思考法」と呼ばれる考え方のメソッドをどれくらい使いこなせますか。その数が少ないから、いつもワンパターンの答えしか出せないのではありませんか。

 

●何を考えるのかを考えるメタ思考

一つ簡単な例を挙げます。先ほど、「よく考えるとは何をすることなのか?」という問いを立てました。このような考え方を「メタ思考」と呼びます。

 

メタ思考とは、物事を一つ(以上)の上の立場から俯瞰(ふかん)して考える思考法です。このケースで言えば、上司から「よく考えろ」と指示をされたときに、

 

「何をすればよく考えたことになるのか?」(定義、状態など)

「何のためによく考えないといけないのか?」(意味、目的など)

「よく考えることで何が生まれるのか?」(効用、便益など)

 

を考えるようにします。分かりやすく言えば、"そもそも論"です。

 

物事を考える前に、「何を考えるのかを考える」ことで、テーマ自体を問い直すのです。あたかも、2人の会話を天井から第三者の視点で眺めて見ているようにして。

 

メタ思考を駆使すれば、物事の本質や気がつかなかった食い違いが発見できます。これこそがメタ思考の一番の効果です。

 

●俯瞰的に考えれば本当の解決策が見つかる

孫娘がかわいくて仕方がないお婆ちゃんは、ねだられるままにオモチャを買ってあげます。そうやって甘やかすせいで、娘は母親の言うことをちっとも聞きません。「やめてちょうだい!」と何度も言うのに、お婆ちゃんは知らん顔。どうすれば、両者の対立が解消できるでしょうか。

 

すぐに思いつくのは、購入量(金額や回数)を減らしたり、購入するものを限定したりして、両者痛み分けにする案です。悪くはありませんが、満たしきれなかった欲求が火種となって、問題が再燃する恐れがあります。

 

こんなときこそ、メタ思考で考え、両者の言い分を俯瞰的に見た上で、共通する関心事を見つけ出してみます。

 

たとえば、「何のためにお婆ちゃんはオモチャを買うのか?」「お母さんは何を嫌がっているのか?」を考えてみます。多分、お婆ちゃんは孫娘をかわいがりたいだけです。甘やかさない方法でできればお母さんから文句が出ません。遊園地に連れていったり、大好きな料理をつくってあげたり。

 

さらに、もう一段レベルを上げてみましょう。「なぜ、お婆ちゃんはそんなに孫娘をかわいがりたいのか?」を考えてみるのです。

 

ひょっとすると、お婆ちゃんは寂しさを紛らわせたくて、何か生きがいを求めているのかもしれません。だったら、新しい趣味を持つ、ペットを買う、友人との交流を増やすなどの手が考えられます

 

こんなふうに、メタ思考で使うことで、両者の対立を超えた本当の解決策が見えてきます。両者の言い分を俯瞰的に眺めるメタ思考ならではの技です。

 

さて、最後にみなさんが俯瞰的に眺める思考ができるか、試してみましょう。

「頭のいい人だけが解ける論理的思考問題」(野村裕之著から一部抜粋した内容です)

 

●状況に隠された法則を見抜けるか?

情報を俯瞰しただけで真実が見えてくるとは限りません。次の問題、すでに明示された状況に隠された法則を見抜けるでしょうか。

 

 

「2枚のカード」

あなたには3人の同僚がいる。

1人はいつも真実を言い、1人はいつも嘘をつき、1人は真実と嘘を交互に言う。

 

あなたは目隠しをして、「赤」か「青」にぬられたカードがたくさん入った箱から1枚を取り出し、3人に「これは何色?」と聞いた。

 

3人は以下のように答えた。

 A「青」  B「青」  C「赤」

 

2枚目のカードを取り出し、同じ質問をするとこう答えた。

 A「赤」  B「青」  C「青」

 

あなたが取り出したカードは何色と何色だろうか?

 

よくある「天使と悪魔を見抜く」系の問題かと思いきや、設問で3人の正体は問われていません。

 

問われているのは、あくまで「あなたが見せた2枚のカード」のみです。

 

「何色と何色か」とだけ問われているため、順番まで特定する必要はなく、組み合わせがわかれば問題ありません。

 

「1枚目は何か」「2枚目は何か」にかかわらず、純粋に「見せた2枚のカードの色」がわかればいいのです。

 

そう考えると、答えの選択肢は多くありません。あとは何によって選択肢を狭めていくかです。

 

問題文に隠された、最初の糸口

 

まず、選択肢は見た目ほど多くありません。カードの色は「赤」と「青」のみなので、2枚のカードの組み合わせは以下の3パターンしかありえません。

 

 ①「青」「赤」

 ②「青」「青」

 ③「赤」「赤」

 

問題は、ここからどうやって絞り込んでいくか。

 

この手の状況の場合、セオリーは「正直者」「嘘つき」ではない人間を除外すること。なぜなら真実も嘘も言う人の発言は、それが真実なのか嘘なのかを確定できず、考えても情報が得られないからです。

 

よって、「正直者」と「嘘つき」だけに着目して考えましょう。

 

1人はつねに真実を言い、1人はつねに嘘をつく。これはつまり、

 

「青」のカードを見せたら、1人は「青」、片方は「赤」と答える。

「赤」のカードを見せたら、1人は「赤」、片方は「青」と答える。

 

ということ。そう、

 

この2人の解答はかならず逆になるのです。

 

●正体がわからなくとも、導き出せる答え

つまり、2回の質問で「互いに逆の回答をしている2人」が「正直者」と「嘘つき」です。

 

ここで、3人の回答を俯瞰してみましょう。

 

1回目:A「青」  B「青」  C「赤」

2回目:A「赤」  B「青」  C「青」

 

お互いに逆の回答をしているAとCが、「正直者」と「嘘つき」です。

 

どちらが「正直者」で、どちらが「嘘つき」なのかはわかりませんが、問題ありません。

「正直者」あるいは「嘘つき」が、1回目と2回目で異なる色を答えていることで、判明する事実があります。

 

あなたが取り出したカードは2枚同色ではなく、2枚とも違う色だったということです。

 

この問題で求められていることを思い出してください。

2枚のカードの色の組み合わせでしたね。

よって、答えは「青」と「赤」です。

 

ちなみに当然ですが、残ったBは交互に真実と嘘を言う人です。

 

「メタ思考」のまとめ

3人の回答を俯瞰して、「正直者と嘘つきは逆の回答をしているはず」という法則に気づけるかどうかが重要な問題でした。

 

ただの事実に見える情報も、他のヒントや手がかりと組み合わせると、そこに隠れた意味が見えてくるんですね。

 

問題の状況を整理して、情報や可能性を俯瞰する。

 

これはつまり、考えるための材料を並べるという行為です。いわば考えるための下準備です。

情報に対してねらいを持って眺めることも真実を導く重要なポイントだということは、忘れずにいたいですね。

 

●情報を俯瞰するだけで真実が見えてくるとは限らない

●他の情報とも掛け合わせてみると、隠された意味が見えてくる

 

 

それでは、今日も笑顔あふれる素敵な一日をお過ごしください!

 

頑張り屋のみなさんを応援しています!

 

「A&W コンサルティング」
 代表・中小企業診断士 
    渡邉 敦 (Atsushi WATANABE)

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