「自己実現に夢中になる人で満ち溢れた世界をつくる」

そして、

「自分らしく生きる人で満ち溢れた社会をつくる」

その結果、

「自己実現した人にしか見られない風景を誰でも見られる世界をつくる」

そんなビジョンを掲げる

「未来価値創造パートナー」の渡邉敦です

 

 

こんにちは。

 

今日はポジティブ思考で課題を解決するといった話を書いてみます。

 

 

●なぜを追及するばかりが能じゃない

以前このブログでも「なぜ?」を尋ねるWhy思考の大切さについて話をしました。安易に解決策に走るのではなく、真の原因を特定して本質的な解決を目指すべきだ、と。

 

しかし、Why思考にはいくつかの難点があります。しつこく、いつも「なぜ?」を尋ねる真面目な方ほど要注意です。

 

特に人や組織がからむ話では、原因が簡単に見つからないケースが多いです。人に関していえば「なぜ?」を5回繰り返すと、どうなるでしょうか。おそらく、習慣や性格から遺伝や生育環境の話になり、だんだんわけが分からなくなります。

 

しかも、自分の失敗は外的要因(偶然や状況)、他人の落ち度は内的要因(能力や性格)のせいにする「原因帰属バイアス」が働きます。他人と見解の一致を見るのが難しくなります。

 

仮に、原因が特定できたとしても、遺伝子や生育環境では手の施しようがありません、習慣や性格を変えるのは至難の業です。結局、何もできなくて以前のままになる恐れがあります。

 

さらに言えば、原因追究は、どうしても責任追及になりやすくなります。責められたほうは「ハイハイ、私が悪いんですよね」となり、対策を打つモチベーションが下がってしまいます。

 

そんなときは「なぜ?」を考えるよりも、あえてストレートに「どうやって?」と解決策を考えたほうが近道です。つまり「How思考」を使います。

 

あらかじめ、お伝えしますとWhy思考もHow思考も「思考」というだけあって、「考えること」にほかなりません。

 

僕たちは、ある意味、考える力を抑圧する環境に身を置いていた時間の方が長いかもしれません。たとえば、学生時代には知識の多寡を試験で問われ、偏差値という「1つの物差し」で序列がつけられました。

 

また、会社に入れば入ったで、序列にしたがって上司や顧客に言われたことに疑問も持たず、文句も言わずに「効率的に」こなす人間が評価されてきました。表面上は「個性的に」とか、「自分で考えて」とかといっても、「効率的にこなす」ためには、「自分の頭で考えない」人の方が評価される仕組みでした。

 

世の中には、4通りの人がいます。それは、

(1)「知識も思考力もある人」、

(2)「知識はないが思考力はある人」、

(3)「知識はあるが思考力はない人」、

(4)「知識も思考力もない人」

の4タイプです。

 

(1)「知識もあって思考力もある」(ある意味では万能のスーパーマンですが)が仕事でも高い実績を上げるのはある意味当然として、次に、日本の社会で高く評価されてきたのは、(3)「知識はあるが思考力はない」人でした。

 

意外に思われるかもしれませんが、特に組織においては典型的な「優秀な人材」とは、自らの頭で考えた独創性を発揮するより、「これまでやってきたこと」や「最新事例」などをいち早く覚えてそれを実践する人だったからです。その典型的なのが、「有名大学」を卒業して「有名大企業」で一生を終える人たちです。

 

ところが、時代の変化によって重要な軸が「知識・経験」から「思考力」に変わりつつあります

 

端的に言えば、(3)>(2)だったのが、(2)の人が知識がない分をAIが補うことで(3)を上回るという価値観の変化が、徐々に進行しつつあります。

 

もし、今みなさんが(3)であれば、(1)に行けるように。もし、(4)にいるのであれば、(2)に行けるように したいですね。

 

じゃ、どうすれば、そのような変化を起こせるのか、そのきっかけを「How思考」でつくってみましょう。ということで、前置きが長くなりましたが、例をあげながら話を進めてみます。

 

●会議に遅れてきたメンバーへの一言

今日は朝から重要な会議がセットされています。ところが、予定されていた開始時間になっても、一人が現れません。いつも遅れてくる常習犯です。仕方なく全員そろうのを5分ほど待っていると、息を切らして会議室に現れました。「遅れてすみません」の声とともに。

 

まぁ、会社ではよく目にする一コマです。仮にみなさんが遅刻者の上司だとしたら、みんなが見ている前で、どんな言葉を投げかけますか。

 

おそらく多くの方は、「なぜ、遅れてきたんだ?」「どうして、いつも遅れるんだ?」と理由を尋ねるのではないかと思います。そうすると、「電車が遅れた」「雨で駅まで歩くのに時間が」といった、もっともらしい理由が語られます。たいていは、「自分に落ち度がなかった」「やむをえなかった」ことを示すような。

 

すると、上司は自分で質問をしておきながら、「そんな話を聞きたいんじゃない!」と意味不明なことを言いだします。結局、「言い訳はもういい。次から気をつけろ」となるのがオチです。相手はきっと「だったら、そんな質問するなよ」と思っていることでしょう。

 

なかには、「今、何時だと思っているんだ?」と尋ねる人がいるかもしれません。これも同じ展開になるだけです。そんな?な質問をするくらいなら、さっさと会議に入ったほうが効率的です。

 

ここで考えたいのは、「どうやったら(How)遅刻しないで済むと思う?」です。

 

これなら相手は解決策を自分で考え、みんなの前で明らかにせざるをえなくなります。それを約束させた上で、「私に何か手伝えることは?」と添えられれば、上司として申し分なしです。

 

ポイントは、「名詞(一言)で即答されないよう、文で答えさせる」です。「電車遅延です」「雨がひどかったからです」だと、それで終わってしまいます。

 

●前向きに振り返りを進める

完全な解決策でなくても、状況をよい方向に変えるのに一歩踏み出せれば、何も変わらないよりはるかにマシです。

 

状況が変われば、新たな一歩が見えてくるかもしれません。そうやって、一歩ずつ着実に進んでいけば、いつかは本質的な解決に行きつくかもしれません。野球で言えば、一発ホームランを狙って三振するよりは、バントでも四球でもいいから、とにかく塁に出ようという作戦です。

 

この考え方を生かしてつくられたのが、振り返りのフレームワークとして有名な「KPT」です。

 

遅刻の例で言うと、まず今まで遅刻防止に効果があった方策を列挙します(K:Keep)。それらを止めるのはもったいない。うまくいかなくなるまで続けるべきです。

 

次にうまくいかなかったこと(P:Problem)を挙げます。同じやり方から違う結果は出てきません。潔く諦めましょう。少なくともやり方を変えなければ同じ過ちを繰り返すだけです。

 

その上で、これから取り組むこと(T:Try)を考えます。うまくいったことを洗練させるか、うまくいかなかったことのやり方を変えるか。まだやっていないことを試してみるかの3つです。

 

チームで振り返りをやると、どうしてもダメ出しや犯人探しに終始しがちなります。あるいは、関係性が悪くなることを恐れて、当たり障りのない話でお茶を濁すことになります。自律的な改善サイクルを回すためにも、How思考を使って"前向き"の振り返りをすることをお勧めします。

 

まとめますと、Why思考は、原因や理由を明確にするため、ロジカルシンキングと相性のよい考え方です。対するHow思考と親和性が高いのがポジティブシンキングです。目的に対する手段だけを考えるため、前向きで明るいのが特徴です。

 

たとえば、ある会社の問題を議論していて、会議が行きづまったとき、

<Why思考>           <How思考>

「なぜうまくいかないのか?」    「どうやったらうまくいくのか?」

「どうして解決できないのか?」   「どのようにすれば解決に近づくのか?」

「なんでこんな状況になったのか?」 「どんな方策が状況を改善させるのか?」

 

いろんな人に尋ねてみると、Why思考では「みんなが腕を組んで下を向いている様が見える」という意見が多く、対するHow思考では、「みんなが顔をあげて前を向く様が浮かぶ」という意見が多かったです。

 

心理的安全性の高い職場づくりもこんなところも大切にすべきでしょう。そして、原因ではなく解決に焦点を当て、沈滞化したチームを変えるには、「やるべきこと」よりも「できること」「やりたいこと」を探していく姿勢が大切だと感じます。

 

 

それでは、今日も笑顔あふれる素敵な一日をお過ごしください!

 

頑張り屋のみなさんを応援しています!

 

「A&W コンサルティング」
 代表・中小企業診断士 
    渡邉 敦 (Atsushi WATANABE)

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