「自己実現に夢中になる人で満ち溢れた世界をつくる」

そして、

「自分らしく生きる人で満ち溢れた社会をつくる」

その結果、

「自己実現した人にしか見られない風景を誰でも見られる世界をつくる」

そんなビジョンを掲げる

「未来価値創造パートナー」の渡邉敦です

 

 

 

こんにちは。

 

今日は希少性が価値を決める理由といった話を書いてみます。

 

 

転職サービス「doda(デューダ)」によると、2024年4月の新社会人の転職登録者数は2011年の約28倍にもなっているそうです。一つの職場に落ち着くことなく職を追い求める若い世代の動機はいったいどこにあるのか。日経の記事からポイントを抜粋します。

 

・以前なら「職場に合わない」「つらい」といった理由から「3カ月以内に転職を」という人が大半だったが、今は「望む働き方のために早めに情報収集したい」とか、キャリアアドバイザーに相談することを目的に転職登録。転職は「今後1年から3年以内に」という人が半分弱

 

 

パーソル総合研究所「働く1万人の就業・成長定点調査」によると、

 

・「出世したいと思わない」人の割合が「出世したい」人を上回るのは17年には42.5歳だったが、24年は25.7歳まで下がった。

 

・若手が仕事選びで重視しているのは「様々な仕事を経験できる」とか「資格や免許の取得につながる」「社会貢献」などで、19年以降に急伸している。スキルアップや市場価値を高めることを重視(≒このままでは市場価値が上がらない、といった不安感から転職を意識する人が増えている)。

 

・「職場の人間関係」や「休みの取りやすさ」など働く環境の重視度は低下(≒多くの企業が離職を防ぐために改善を進めているので、不満が減った)。

 

★20代前半正社員の転職意向は24年に低下(≒企業が「配属ガチャ」による早期退職防止に力を入れたこと。職種別採用や配属先の確定など。入社後も社内でのキャリアアップや業務転換の道を示し続けている。+賃上げや初任給引き上げがあったため)

 

・自分のキャリアを会社というより、プロジェクトとかスキル単位で捉えて、築いていこうとしている。

 

以上です。個人的には、この記事を読んで感じたことは、転職の定義が変わったというよりは、自分の価値を高める選択肢を広げられる自由度が高まった、という程度の話かなぁ、と。

 

その理由は★で取り上げているように他社への転職意向に根強さはなく、自由度が高まれば自社でも頑張ろうとするのが20代なんだと思います。

 

どこにいようと、自分の価値を高められる場所であればいいわけです。つまり、唯一無二の人材たる希少性を追求しているとも言えます。

 

さて、ここからはビジネスの法則として、この希少性をとりあげてみます。

 

みなさんは、夏祭りの出店で物販をすることになったとしましょう。練りに練った興味関心の惹くものを集めて店先に並べました。飛ぶように売れると思いきや、案外苦戦を強いられています。

 

お客さんからすれば、ここで買わなくても、ネットを見れば同様な商品を届けてくれると思っているのかもしれません。とはいえ、横に並ぶ他店と比較され、売り負けないようにしなければなりません。

 

さて、皆さんだったら、どんな手を使って完売御礼を狙いますか。

 

すぐに思いつくのは、「サービス」です。可能であれば、この日だけの割引もやりたいところです。ですが、もっと大切な工夫があります。

 

物が一番売れるタイミングを考えてみてください。そうですね。それはイベントの終了時です。買うか買わないかの最後の決断が迫られるからです。そこでどうやって財布の開かせるかがポイントとなります。

 

答えを言えば、「もうなくなってしまうかも?」という焦りの気持ちをあおることです。

 

たとえば、100個用意したとしても、そのまま全部並べたのでは「まだたくさんある」とお客は安心してしまいます。ところが、20個ずつ小出しにすれば、目に見えて減っていくのが分かり、不安になります。その上で、「残り3個!」「あと10分!」「今だけ!」と追い込んでいきます。

 

この効果は絶大で、残り数個となると、奪い合いになるくらいです。

 

「限定100個の特別仕様です」と数を限定すると、レア物が欲しい人が殺到します。「地元でしか買えない特別商品です」と場所を限定してアピールすると、この機会を逃すまいと財布のひもも緩くなります。「今から1時間だけ100円引き」と時間を限定する手もあります。

 

大切なことは、少なくなってきたという演出です。限定に加えて、「なくなってしまう」という希少性が加味されたりすると、ダブルで効いているわけです。

 

●失われていくものに価値を感じる

僕たちの社会では、数が少ないものは価値があるとされます。これを「希少性の法則(原理)」と呼びます。それを証明した、社会心理学者のS・ウォーチェルの有名な実験があります(R・チャルディーニ『影響力の武器』)。

 

参加者にクッキーの味見をしてもらう実験です。参加者の半数は、10枚のクッキーが入った瓶から1枚を取り出して食べてもらいました。もう半数は、2枚しか入っていない瓶から、1枚を取り出して食べてもらいました。

 

すると、後者、すなわち希少なクッキーを食べたほうが好意的な評価をしました。「また食べたい」「魅力的」「高級感がある」と声が前者よりも多かったのです。

 

面白いのはここからです。別のグループでは、最初に10枚のクッキーが入っている瓶を渡し、2枚入った瓶に交換してから、1枚を取り出して食べてもらいました。たくさんあったクッキーが減っていく様を見せてから、味見をしてもらったわけです。

 

そうすると、最初から2枚しか入っていない瓶を渡されたグループよりも、好意的な反応をしました。元から手に入りにくいものよりも、あらたに手に入りにくくなったもののほうに、価値を強く感じる性質があるのです。なくなりつつある希少なものこそが本当に大切なもの。だからこそ失われていく世界遺産や絶滅危惧種の保全に全力を尽くそうとするわけです。

 

ということで、希少性は価値を決める大切な要素なんですね。

 

身近にも、いろんな例を挙げることができます。四つ葉のクローバーは、事故や突然変異によって生まれるもので、1万分の一~10万分の一の確率しかありません。これが五つ葉、六つ葉、七つ葉となるに従って、100万分の1、1千万分の一、1億分の一とどんどん確率が下がってくるそうです。ここまでくると、宝くじで一等を当てるよりも難しくなります。希少だからこそ幸運の印として価値があるわけです。

 

●自分だけのユニークな価値を高める

希少性の法則は自分の価値を高めるのにも役立ちます。皆さんには、自分しかできないと自負できる仕事があるでしょうか。あるいは、自分だけが持っている特別なスキルがありますか。もしそれが立ちあげたいと思っている事業や勤務先の会社にとって必要されるものであれば、みなさんは価値のある人材のはずです。

 

冒頭の記事で取り上げた転職は外部環境の変化を求めています。そして、自分の価値を高めることが外発的な動機付けで成り立っています。

 

しかし、起点はやはり、自分がどうしたいか、そう在りたいか、といった内発的な動機付けがないと力強さに欠けてしまいます。もし、持ち合わせていない方は、前にも取り上げた「グラッドウェルの法則」(1万時間の法則)を活用して、希少な能力を身につけることに全力を傾けましょう。

 

こんな話をすると、「希少性の価値なんて言っても、必ず誰かがやっていて、自分だけというスキルや価値なんかないのでは?」という声がよく上がります。

 

たしかに、たとえ英語が少々できたとしても、希少にはなりません。でも、英語×マーケティングだとどうでしょう。さらに、英語×マーケティング×財務会計となれば、比較的希少性の高い人材になれるのではありませんか。掛け合わせこそが希少性をつくりだす格好の方法です。

 

もう一つのやり方は自分の強みを生かすことです。

 

人はどうしても欠けたところに目が行き、短所や欠点を直そうします。それでは、普通の人になるだけで、希少性は生まれてきません。

 

そうではなく、自分の長所や持ち味を生かし、誰でもない自分を目指します。そうポジティブに考えれば、いくらでもユニークな価値のある希少人材になれます。

 

大切なのは、転職でも起業でも会社で出世するのも、どう希少性を高めるかではないでしょうか?

 

 

それでは、今日も笑顔あふれる素敵な一日をお過ごしください!

 

頑張り屋のみなさんを応援しています!

 

「A&W コンサルティング」
 代表・中小企業診断士 
    渡邉 敦 (Atsushi WATANABE)

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