こんにちは。
今日は「言葉で自分も相手もポジティブになる」といった話を書いてみます。
東大卒プロ算数講師の小杉拓也さんが書かれた『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』は、学習参考書として「史上初」となる「2023年 日本で一番売れた本(年間総合1位)」を獲得したそうです(日販調べ)。
小杉さんは、親が子どもに話すとき、使いようによって、悪影響と好影響を与える言葉があるので注意が必要だ」といいます。
●悪影響を与えうる言葉とは?
親御さんがお子さんに話しかけるとき、できるだけ言わないほうがよい言葉があります。それは、「のに」という言葉です。
「宿題をするって言ってたのに、半分もできてないね」
「午前中は勉強する約束だったのに、寝ちゃったんだね」
最初はやる気だったのに、いざ始めてみると思い通りにいかないことは、大人にもあります。大人でも完全にできないことを責めるのは、子どもにとっては辛いものです。
子どもにとっては、本当にやる気があったのに、どうしようもない理由でうまくいかず、さらにそれを責められて、「もういいや」という気持ちになり、モチベーションを下げてしまうことさえあります。
この使い方は、多いような気がしますが、ほぼ親の満足感がみたされていないだけの感情的で攻撃的なメッセージで、しかも追い打ちをかけるような威圧的にとらえられるものに思えます。
こういうときは感情的にならず、「しようと思っていたことをできなかった理由」を話し合って、「どうすれば、次からできるようになるのか」を親身になって、お子さんと相談するのがよいでしょう。
●ポジティブな「のに」の使い方もある
一方で、「A(な)のにB」という言い方がすべて良くないというわけではありません。例えば、次のような場合です。
「片づけは明日するって言ってたのに、今日してえらいね」
「今日の計算テスト、自信がないって言ってたのに、満点なんてすごい!」
このような「のに」の使い方は全く問題がないどころか、子どものやる気上昇にもつながるので、日常や家庭学習の場面などで積極的に使うとよいでしょう。
この「のに」は、想定外の好転した状況に、親の満足感が高まった嬉しさが感じられます。
同じ平仮名2文字なのに、子どもにあたえる影響が正反対になる場合があるんですね。ちょっとした言葉の使い方の違いですが、少し気をつけるだけで、親子のコミュニケーションがよりスムーズになるでしょう。
●肯定的な面を意識的に見る
うえで取り上げたことから言えることは、身の回りで起こる出来事そのものに良いも悪いもありません。それをどうとらえるかで、意味づけがなされるということです。よく使われる表現として、コップに半分入った水を見て、「半分もある」「半分しかない」と違った見方をするケースであり、それも僕たち自身です。
物事の肯定的な側面(メリットや機会など)を見るのがポジティブ思考(プラス思考)であり、否定的な側面(デメリットや脅威など)を見るのがネガティブ思考(マイナス思考)です。どちらか片方が正しいわけではありませんが、現代社会では前者がもてはやされています。
不確実でストレスの多い社会においては、多少「楽観的」に考えないと前に進めなくなってしまうからなんでしょうね。ポジティブ思考を効かせれば、気持ちが明るくなり、物事に「前向き」「積極的」に取り組んでいけるようになります。交友関係も広がり、充実した時間が過ごせるようになります。
ビジネスにおいても同じです。有名な逸話(作者不詳)を紹介します。
ある靴メーカーの担当者2人がアフリカに市場調査に行ったところ、誰も靴を履いていませんでした。それを見た1人は「靴が必要とされておらず、商売にならない」と考え、もう1人は「靴が普及できれば大もうけができる」と考えました。どちらにチャンスがあるかは言うまでもありません。
ポジティブ思考を身につけるのに、手順も方法もありません。無理やりにでも肯定的な面を見る癖をつけるしかありません。ネガティブ思考が働いてD言葉(だって、どうせ、でも……)が頭の中で点灯したら、強制的に前向きに考えみる。そうやって思考の習慣にしていくのです。
●ポジティブ思考が失敗する3つの理由
ここまで読んで「よし、あしたからポジティブ思考でいこう!」と考えた人がいたら、もう少し待ってください。ポジティブに考えたために、かえって失敗するということもよく起こるからです。
よくあるのは、「うまくいくだろう」「悪いことにはならない」という信念が、「100%うまくいくに決まっている」「悪いことは絶対に起きない」と確信(思い込み)になってしまうことです。自分に都合のよい話しか頭に入らず、いつか痛い目に遭う羽目になります。
しかも、失敗したとしても、「終わったことは仕方がない」「○○がドジを踏んだから」とまったく反省しないので、始末に負えません。まさにポジティブ思考の暴走列車です。
なかには、ポジティブ風を周囲に吹かせまくり、ネガティブな考えをする人を糾弾したり無視したりする人がいます。やたらハイテンションで、とてもついて行けません。自分はそれで心地よくても、チームの和を乱すことになります。
あるいは、こういう人もいます。ポジティブな未来を描くだけで満足してしまい、行動に移せない夢想家です。成功した自分を想像するだけで、やった気になってしまうのです。ダイエットでよく起こる現象であり、身に覚えのある人もいるのではないでしょうか。
もうお分かりのように、「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。ポジティブ思考とネガティブ思考をバランスよく使ってこそ、正しい判断や行動ができます。本当のポジティブ思考とは、単に楽観的に考えることではないのです。
●ホンモノのポジティブ思考とは?
頭から「うまくいくに決まっている」と考えるのも、「誰かが何とかしてくれる」と考えるのもポジティブ思考ではありません。それでは、楽観的を通り越して、楽天的になってしまいます。楽観的と楽天的は意味がまったく異なります。
物事のポジティブな面もネガティブな面も両方見た上で、「自分でどうにかできるだろう」と考えるのが、本来のポジティブ思考です。成功を信じるのではなく、自分を信じる思考法です。
ただし、ここで言う自分とは、あくまでも「等身大」の自分です。
無理に大きく見せたり、卑下して小さくなったりしない、「ありのまま」の自分です。それを信じて、物事に積極的に取り組んでいくのが、真のポジティブ思考なのです。
ですから、物事を悲観的に考えることが多いからといって、無理に治す必要はありません。おそらく、無理に治そうとすると、かえって混乱してしまい、余計にうまく考えられなくなります。
まずは、「悲観的に考える自分」を肯定的にとらえてはいかがでしょうか。「自分には悲観的に考える癖があるが、ここまでどうにかやってこられた。きっとこれからも、この癖とつき合いながらやっていけるだろう」といったように。
そうすることで、きっと「悲観的に考える自分」のとらわれからも自由になれるはずです。結果的に、世間がイメージするポジティブ思考に一歩近づくことができると思います。
それでは、今日も笑顔あふれる素敵な一日をお過ごしください!
頑張り屋のみなさんを応援しています!