「自己実現に夢中になる人で満ち溢れた世界をつくる」

そして、

「自分らしく生きる人で満ち溢れた社会をつくる」

その結果、

「自己実現した人にしか見られない風景を誰でも見られる世界をつくる」

そんなビジョンを掲げる

「自己実現コーチ」の渡邉敦です

 

 

 

こんにちは。

 

今日は自分を客観視することの大切さといった話を書いてみます。

 

4月1日にスープストックトーキョーの社長が工藤萌さんに代わりましたが、こんなコメントをされています。

 

●メタ認知が大切な理由

「社内で、私が社長になると発表があったときの挨拶で、『ピクニックみたいな会社にしたい』と伝えました。『私はのり巻き作りが得意です』『パンを焼くのが得意です』『場所取りならできます』。こんな皆の『得意』がたくさん集まれば、楽しいピクニックが開催されますよね。そしてその得意の数が多いほど、開催されるピクニックの種類も増えるわけです」

 

「マネジャーや経営陣は、『ここは桜がきれいだね』とピクニックに適したいい場所を見極めていく。自分は何が得意なのかを周囲に知ってもらうためには、きっかけとなる発言の機会があり、周囲から称賛され――。そうすれば自分をメタ認知(現在自分自身が行っている行動や思考そのものを認知の対象として、自分自身を客観的に認識する能力)でき、より自身の強みに気付きやすくなります」(ここまで)

 

ビジネスの分野でメタ認知が注目されるようになったのは、

・社員が自分の強み・弱みを把握できるため

・自分自身を客観的に認識し、コントロールできるため

というチームビルディングに欠かせない要素だからです。

 

特にメタ認知能力が高い人の特徴としては、

・感情に振りまわされることなく冷静

・周囲と良好な関係を築ける

・前向きで柔軟性の高い考え方ができる

などがあげられます。そのため、組織としてはぜひ欲しい人材となるわけです。

 

しかし、このメタ認知は、大人になって高めることは思ったほど簡単ではありません。さまざまな会社で苦労しているから、取り上げられているわけです。メタ認知能力は小学校高学年から急速に伸びる、といわれており、多感な時期に身につけられるような環境にしていかなければいけません。

 

最近は、小・中学校でも学習意欲を高めるために「メタ認知」が重要だと注目されています。なぜなら、メタ認知が発達すると、それまでは一方的に自分の好きなことを好きなように話していた子供が「自分の話があまり相手に理解されていないようだ」と気づき、説明の仕方を変えるといった行動が見られるようになります。

 

学習面でいえば、自分の学習状況や進み具合を振り返り、自分が得意なことや苦手なこと、どのような方法で勉強するのが自分に合っているのかなどを判断・評価できるようになっていくことが期待されているからです。

 

これが大人になると素直に自分を客観視できなくなり、「私には私のやり方がありますから」と、聞く耳を持たなくなる方も多いです(コンサルの現場でも経営者にはこだわりが捨てきれない方が一定数います)。おそらく、皆さんの周りにも「根拠なき自信」を抱いている人はいるのではでしょうか。

 

できもしない癖に、「私だってあれくらいの仕事は、任せてくれればやれるよ」と大きなことを言う。その癖、ちっともやろうとせず、「なぜやらないか」の言い訳ばかりがうまい。そんな仲間はいないでしょうか。

 

しびれを切らしてアドバイスすると、「私には私のやり方がありますから」と言って聞く耳を持たない。揚げ句の果てに、うまくいかないことはすべて人のせいにする。そんな人はいませんか?自分の力量や特質を正しく把握できなければ、能力向上のスタートラインにも立てません。能力と自信とのギャップがどんどん広がり、せっかくの成長の芽をつんでしまいます。意外と若い人にも多く見られるのが少し残念です。

 

では、どうして能力が低いのに、自信だけが過剰なのでしょうか。本人の性格や育ち方もありますが、それだけではないのが人間の面白いところです。

 

原因を探るために、一つ皆さんに質問したいことがあります。

 

「自分の仕事の能力は、平均以上だと思いますか?」

 

この質問、何度か職場でも試してみたのですが、なんと7~8割の人が「イエス」と答えるんですね。はっきり言ってそんなのあり得ませんよね。単純に考えれば、イエスとノーで半々になるはずですから。

 

つまり、人は誰しも、自分の能力を過大に評価する傾向があるのです。しかも、能力が低い人ほど、その傾向が強いというから驚かされます。

 

●イグノーベル賞を受賞した心理法則

そのことに気づいた心理学者のD.ダニングとJ.クルーガーは、学生たちに実験をしてみました。ユーモアのセンスや論理思考を問う問題を出し、それぞれ自己評価をしてもらいました。その後で、「あなたのレベルは、同世代の人と比較して、どのあたりのポジションにあると思いますか」と尋ねたのです。

 

すると、成績が悪い学生ほど自分の順位を高く見積もりました。成績がよい学生は正しく、もしくはわずかに低く見積もるという傾向が見られました。これを、発見者の名前を取って「ダニング・クルーガー効果」と呼びます。2000年のイグノーベル賞を射止めた心理法則です。

 

さらに二人は、「なぜ能力の低い人間は自身を素晴らしいと思い込むのか」も調べました。その結果、能力が低い人間には、「自身の能力が不足していることを認識できない」「自身の能力の不十分さの程度を認識できない」「他者の能力を正確に推定できない」という特徴があることが分かりました。

 

つまり、自分や周囲を俯瞰(ふかん)的に見る、「メタ認知」ができないわけです。

 

身も蓋もない言い方をすれば、能力が低い人は、その低さゆえに、自分を客観的に見る力すらない。だからこそ能力が低いわけです。逆に、能力が高い人はメタ認知ができるので、「自分ができた課題くらい、他人もできるだろう」と推測したわけです。さすが、優秀な人は自分をわきまえていますね。

 

●無知を知る勇気を持つ

ダニング・クルーガー効果から抜け出すには、一体どうしたらよいのでしょうか。

 

一つは、当たり前の話ですが、客観的な評価に触れる機会を増やし、自分の認知のゆがみを正すことです。2人の研究でも、「その能力について実際に訓練を積んだ後であれば、自分の能力の欠如を認識できる」ことが分かっています。

 

その時に大切なのは、自分の無知や無能を素直に受け入れることです。背伸びをするのを止めて、分からないものは分からない、できないものはできないと。

 

無知や無能は決して悪いことではありません。伸びる余地がある証だからです。失敗にしても、途中で諦めなければ、成功への一里塚です。そんな風にポジティブに考えれば、都合の悪い評価も受け入れやすくなります。

 

もっと言えば、自分の無知を知っているというのは素晴らしいことです。かの有名な哲学者ソクラテスは、自らの無知を自覚することが真の知に至る道だと説きました。無知を知らないほうが、よほど恥ずかしいことなのです。

 

加えて、自分の認識に対して、「間違っているかもしれない」「他の考え方もあるかもしれない」と、常に疑いの心を持つことも大事です。「○○の視点で見たらどう見えるか」と時間・空間・人物をずらして考えるのもよい方法です。

 

●とはいえ、時には根拠なき自信も必要

ダニング・クルーガー効果は悪い面ばかりではありません。程度にもよりますが、自己評価を盛り気味にすれば、自尊心を高められるからです。自信を持って行動できるようになり、やる楽しさも増します。

 

そのおかげでよい結果がでれば、さらに自信が高まります。そうやっているうちに、自分の実力と認識のズレがなくなる可能性があります。

 

また、「根拠なき自信」があるからこそ恐れを知らずチャレンジできる、とも言えます。「分相応の実力をつけてから」「私はまだ半人前なので」なんて言っていると、千載一遇のチャンスを逃してしまいかねません。

 

第一、未知の領域の仕事にチャレンジするときは、多かれ少なかれみんな実力不足です。それどころか、これからどんな知識や能力が必要になるかも分かりません。

 

後で振り返ると、自分の無知さ加減にゾッとするくらいです。どうせ、無知や無能は、やればすぐに痛いほど知らされます。勝負はそこからであり、事前の自己認識は大した問題ではないのかもしれません。

 

大切なのは、「必ずできる」「どうにかなる」と根拠なき自信を持って一歩踏み出すことかもしれません。時には、ダニング・クルーガー効果を逆手に取るくらいの気概が必要ですね。

 

 

それでは、今日も笑顔あふれる素敵な一日をお過ごしください!

 

頑張り屋のみなさんを応援しています!

 

「A&W コンサルティング」
 代表・中小企業診断士 
    渡邉 敦 (Atsushi WATANABE)

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