「自己実現に夢中になる人で満ち溢れた世界をつくる」

そして、

「自分らしく生きる人で満ち溢れた社会をつくる」

その結果、

「自己実現した人にしか見られない風景を誰でも見られる世界をつくる」

そんなビジョンを掲げる

「自己実現コーチ」の渡邉敦です

 

 

こんにちは。

 

今日はビジネスにおけるデザイン思考の重要性といった話を書いてみます。

 

日経にこんな記事が出ていました。

 

「元プロレスラーの故アントニオ猪木さんと熊本県のPRキャラクター「くまモン」のコラボ企画が12日、始まった。猪木さんにちなみ、「闘魂ガウン」姿のくまモンのTシャツが発売され、収益の一部は熊本地震などの災害復興に充てられる。猪木さんの功績を振り返る展示も始まり、会場は、応援に駆け付けたくまモンと来場客の熱気に包まれた」

 

アントニオ猪木さんと熊本の関係を存じあげていなかったのですが、猪木さんの母方の故郷が熊本だというのがご縁なんだそうです。猪木さんとくまモンがプロセスのコンビだとしたら、間違いなく人気の組み合わせになるんじゃないかなぁ、と思いました。

 

で、今日は、くまモンについて、と言ってもくまモンそのものではなく、くまモンの生みの親でもある水野学さんについて少し、お話させてください。

 

僕の自宅は、最寄り駅が相鉄(神奈川の私鉄相模鉄道)の駅になります。この相鉄グループの創立100年を礎に、次の100年をつくるというコンセプトで進められている「相鉄デザインブランドアッププロジェクト」というのがあり、そのプロジェクトを手掛けているのが、水野学さんです。

 

「安全×安心×エレガント」というデザインコンセプトを打ち立て、相鉄の認知度をアップに尽力されています。水野さんは、こう言っています。

 

「通常、鉄道会社のデザインやブランドを考える上で、『安全』や『安心』は当たり前のこと。ただ、あえてこの言葉を入れ込むことには、僕なりの仕組みがありました。デザインはかたちや飾りのことだと思われがちですが、機能を満たしてはじめて装飾できます。あくまで安全性をベースに、エレガントさを加えていくというのをきちんと明文化することが、このプロジェクトがうまく進むか否かの分岐点になると考えました」

 

水野さんのようにデザイナーの思考プロセスや物事の見方を用いて、顧客の持つニーズを的確にとらえ、理解し、価値を生み出すことも思考法があります。「デザイン思考」と呼ばれているもので、モノの形状や機能のみならず、ユーザーの「体験」をよりよい形にデザイン(設計)して満足度を高めます。

 

●新たな市場や顧客を創造するための思考法

ユーザーが潜在的に持っている本質的なニーズを探しだし、斬新な方法で問題解決を図るのがデザイン思考です。背景にあるのは社会の成熟化です。

 

世の中に商品やサービスはあふれかえり、顕在的なニーズのほとんどが満たされています。しかも、顧客のニーズは多様化する一方で、不特定多数に向けたものでは通用しなくなっています。

 

もっと言えば、社会が複雑化し、変化も目まぐるしく、今までの常識が当てはまらなくなってきました。僕たちは、不確実で不透明な社会に対し、新たな市場や顧客を創造するための方法論を生み出さないといけません。その一つがデザイン思考というわけです。

 

デザイン思考

(1)顧客に共感(Empathize)

(2)問題を定義(Define)

(3)アイデアを創造(Ideate)

(4)アイデアを試作(Prototype)

(5)市場でテスト(Test)

の5つのステップで検討を進めていきます。

 

これだけを見ると、さほど目新しい考え方のようには感じられないかもしれません。ところが一連のステップを、徹底的にユーザー視点で、かつ解決志向で紡ぎ直すところに真骨頂があります。

 

実際、相鉄のプロジェクトを進めている水野さんもこんな思考プロセスで車体の色をネイビーブルーに決めました。

 

「列車の車両や駅のホームは、お客さまとじかに接する相鉄の『顔』として機能するものです。ここにネイビーブルーなどの暗めな色を設定することについて、はじめは疑問視する声もいただきましたが、『サインの視認性を上げるために、ホームを濃い色にするのはどうですか?』といった提案など、ただ格好つけるのではなく、安全・安心の観点から逆算して最適なデザインを考えていくことで、理解を得られました」

 

「あくまで利用客の快適を考え対話が進められる中で、車両の色については、膨大な数の検証を重ねていったという。

 

「ネイビーブルーにしようという構想は初期段階からありました。これはコンセプトの『エレガント』にもかかわり、横浜という街のブランド価値を車両にまとわせたいという想いがあったからです。

 

ただ、夜間における視認性などを心配する意見もあって。そこで、白い救急車が雪道を走った際の事故率を調べるなど、検証というより、一休さん対一休さんのような話し合いも重ねています(笑)」

 

そして、さらにプロジェクトを進めるにあたり、沿線住民や鉄道ファンの気持ちを置いてけぼりにしないことにも神経を注いだそうです。

 

デザイン思考では、単にモノではなく経験をデザインすることを目指します。

 

たとえば自動車をテーマにするなら、車の機能や外観をデザインするのではなく、その車に乗ればどんな経験ができるのかを考えるのです。

 

誰と車に乗り、どこに出かけ、どんな時間を過ごし、どのような楽しみを味わえるか。それをユーザー目線で追究していくことになります。

 

●インサイトを集めて本質的な欲求を見抜く

デザイン思考でイノベーティブなアイデアが生まれるかどうかは、第2ステップの「問題の定義」にかかっています。ここで単純に、顧客が抱く不満をそのまま問題だと定義してしまうと、従来と変わらない発想に陥ってしまいます。

 

不満の奥底にはどんな欲求があるのか。その欲求の元になる願望は何なのか。とことん掘り下げて考え、ユーザーが潜在的に抱えている本質的なニーズを見抜かなければなりません。

 

しかもそれは、みんなが気づいていない新しいものであり、かつ解決できるものでないと価値がありません。そんな問題を洞察できるかどうかが、まさに勝負どころとなります。

 

そのために大切なのが、ひとつ前の「顧客に共感」のステップです。たとえば、毎日調理をする主婦が対象顧客であれば、実際にお家にお邪魔して、どんな振る舞いをしているか、台所やリビングで観察することになります

 

それも、単に眺めているだけでは鋭いインサイト(ひらめき)は得られず、一挙手一投足を記録していきます。さらに、「なぜこのときに〇〇をする(しない)のか?」を、観察結果を元にひたすら考えます。

 

ときには、自分も台所で同じ振る舞いで調理をしてみて、どんな気持ちを抱くのかを実際に味わってみます。そうやって顧客に心の底から共感することで、今まで表に出てこなかったものが見えてくるのです。

 

●遊び心いっぱいのプロトタイプづくりを

デザイン思考でもう一つポイントとなるのが、「アイデアを試作」のステップです。といっても、ここで言う試作(プロトタイプ)は、市場性や事業性を検証するためのものではありません。

 

アイデアやコンセプトの方向性が間違っていないかを調べるためのものです。言い換えると「これでいいのか?」という自分自身の疑問を解消するためであり、「これでいいんだ」と他者を説得するのが目的ではありません。

 

試作をすれば少なからず不具合が見つかります。どうせ失敗するなら早いに越したことはありません。そうやってアイデアを思いついたらすぐ試作をして確かめ、またそこからアイデアを考える。発想と試作のサイクルをできるだけ速く回すことが肝要です。

 

試作をするのは、あくまでも商品(名詞)ではなく経験(動詞)です。先ほどの例で言えば、主婦がキッチンでどんな体験をするかを、演劇やストーリーを使って表現していきます。

 

そこに登場する商品については機能や使い勝手が分かればよく、紙細工やスケッチなどアバウトなもので問題がありません。そこにストーリーを加えて、コマーシャルやニュースをつくるのもよくとられる方法です。

 

おそらく、試作をする過程で新たなひらめきが生まれ、アイデアがどんどんブラッシュアップされていきます。そのためには、あまり真面目に考えるのは禁物。遊び心を利かせることが、試作に限らずデザイン思考全体でとても重要になります。

 

 

それでは、今日も笑顔あふれる素敵な一日をお過ごしください!

 

頑張り屋のみなさんを応援しています!

 

「A&W コンサルティング」
 代表・中小企業診断士 
    渡邉 敦 (Atsushi WATANABE)

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