こんにちは。
今日は「視野を広げてビジネスの可能性を探る」といった話を書いてみます。
小学校では、春の運動会シーズン真っ盛りです。梅雨前の今がギリギリのタイミングです。その運動会では、「手つなぎゴール」という都市伝説があったそうですが、ご存じですか?
運動会の徒競走でぐんぐん差がついているのに、テープの手前でみんなストップ。いちばん遅い子がやってくるのを待ち、仲良く手をつないでゴールイン。かつて戦後教育のあしき平等主義の象徴としてよく語られていたそうです。
こういう学校は実際にはほとんどなかったといいます。なので、都市伝説といわれているのでしょう。ちなみに、「手つなぎゴール」をネットで調べてみました。ゆとり教育の一環として、それらしき運動会があったとか、なかったとかの、投稿がある程度でした。やはり実在しない話のようです。
「みんな一緒」主義を、見直そうという考え方は、企業にも個人でも当てはまります。
企業であれば、例えば「出る杭は打たれる(みんなと違うことが尊重される)」をスローガンにしてぬるま湯体質を改善しようと取り組んでいることがあてはまります。
社外取締役を迎え入れ、異なる指摘やアドバイスを求めようとしているのもそうです。
共通するのは考え方や発想が似通ってしまい、同調や共感するつながりが強くなり過ぎてしまっていることを打破したい、そのためのきっかけをつくろうとしていることです。つまり、つながりをあえて弱くしているわけですね。
経営理論の中には、「弱いつながりこそが革新を引き起こす」という「弱いつながりの強さ」理論というものがあります。組織はつながりの強いネットワークだと、いろいろな人から同じ情報を得ることになり、情報流通のムダが多くなると言われています。
逆につながりが弱ければ、多様な情報を効率よく入手できます。
企業が目指すイノベーションは、実は社内の強いつながりの中で、既存の知と知の組合せから、起こそうとしているため起こりにくく、外との弱いつながりをどれだけ、多く持っているかがカギだといわれています。
この「弱いつながりの強さ」理論というのは、アメリカの社会学者マーク・グラノヴェター氏が、「Strength of weak ties(弱い紐帯の強さ)」という論文で示したものです。
それは、「個人のキャリアに大きな影響を及ぼすのは、その人の家族や同じ職場の仲間といった強いつながり(strong ties)よりも、ちょっとした知り合い 知人の知人といった弱いつながり(weak ties)からの情報である」というものです。
弱いつながりをたくさん持っている人は、普通は手に入らない情報をたくさん入手できることができるというわけです。
みなさんの中に、今の自分のキャリアに不安や違和感を抱いているならば必要なのは、「自分の視野の外に出ること」です。多くの人は迷ったときに、自分の現時点での活動範囲の中から、答えを探そうとします。
しかし、気心の知れた似たような集団の中にいたままでは、求めている情報を探しても、正直しっくりくる答えはなかなか見つかりません。
スポーツ選手や芸術家のみなさんは常に上を目指し 目標となる師匠や先輩がいたりします。自分のレベルや実力が思うように伸びず、悩んでいるとき 近くにいる同僚や先輩などに相談することが多いのではないでしょうか?
同じ練習を積み同じ道を歩んでいる彼らとは強いネットワークでつながっているため、答えのヒントが得られると考えるからです。
しかし、自分を大きく変えたいと思ったときでも、聞かれるアドバイスはいつも同じで、実は納得した答えが得られないことも多い、と感じた経験はないでしょうか?
僕のある部下は、会社の中で一通りのことができるようになり、人からも頼られ高いパフォーマンスを常に出していました。
しかし、彼は「本当に今のままでいいのだろうか」と自分のキャリアに疑問を感じるようになり、同僚や先輩に相談しましたが、納得できる答えは見つからなかったようです。そこで視野を広げるために全く別の分野の方が集まる夜間の大学院に通い出しました。
その大学院では色々な職種や立場の人が、集まっていたため、今まで考えもしなかった視点からのアドバイスをもらえた」とイキイキして語ってくれました。
「自分がいかに狭い常識の中で凝り固まっていたか痛感しました」と弱いつながりの強さを実感したわけです。
自分のまわりにいるのはいつも一緒の人たちで、その人たちは自分と共通の友人を持ち、彼らとやりとりするのも同じSNSや動画を見ていたりするため、自然と価値観も似通ってきたりします。
つまり、自分が気付かないうちに、つながりの強いネットワークになっています。話は合うのですが、新しい情報は必ずしも多くは得られません。
一方 弱いつながりの人たちとなら、異なる交友関係や趣味を持っているので新しい情報を提供してくれます。
視野を広げたいと思っている方、ぜほ、弱いつながりをたくさん持つことで新たな発見を楽しんでみましょう。
最後になりましたが、またか!と思われるかもしれませんが、いつものクイズをとりあげます。「狭い視野にとらわれない思考」ができる人だけが解ける問題です。(『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』(野村裕之著)から一部抜粋した内容です。)
●狭い視野から抜け出せるか?
柔軟な発想をするには、考える「対象」を変えることも有効です。この問題、ある部分に目を向けることがポイントになるのですが、わかるでしょうか?
「天秤と9枚の金貨」
あなたの目の前に、天秤と、9枚の金貨がある。
どれも見た目はまったく同じだが、1枚だけ他の金貨より軽い金貨がある。
天秤を使って、軽い金貨がどれかを特定したい。
ただし、天秤を使えるのは2回まで。
さて、どうすればいい?
脳のトレーニングとしてもよく出てくる「天秤問題」です。
海外では「Balance Puzzle」「Counterfeit Coin Puzzle」と呼ばれる、論理的思考問題の王道ジャンル。
これは、その初級編です。
●「天秤問題」の基本戦略
このタイプの問題の基本となるのが、
「天秤を1回使えば3グループの詳細がわかる」
という考え方。
「いや、天秤は2つのものの重さを比べるものなのでは?」
と思うかもしれませんが、例を挙げて考えてみましょう。
「3枚のうち1枚だけ軽い金貨を、天秤を1回使って見抜け」
この場合、3枚のうち2枚を、それぞれ天秤の左右に載せて量ります。
天秤が傾いた場合は、左右どちらかの金貨が軽いということ。
では、天秤が釣り合ったら?
天秤に載せなかった金貨が「軽い金貨」という事実を表します。
つまり天秤は使い方によって、
「天秤に載せなかったものの正体」もわかるのです。
●2回の計量で「9分の1」を見抜く方法
今回の問題は、天秤の基本戦略を2回繰り返すだけです。
まず1回目の計量では、9枚の金貨を3枚ずつ3つのグループに分け、そのうち2つのグループを天秤で計量します。
これで「どのグループに軽い金貨が含まれているか」がわかります。
天秤が傾けば、皿が上がった方のグループに「軽い金貨」が。
釣り合えば、天秤に載せなかったグループに「軽い金貨」があります。
そして2回目の計量では、軽い金貨が含まれているグループの3枚のうち、2枚を天秤の左右に載せます。
これにより「どの金貨が軽いのか」を特定します。
天秤がどちらかに傾けば、皿が上がった方の金貨が「軽い金貨」。
天秤が釣り合えば、天秤に載せなかった金貨が「軽い金貨」です。
<正解>
金貨を3枚ずつのグループ(A,B,C)に分け、グループAとBを天秤に載せる。
どちらかに傾けば皿が上がった方のグループに、釣り合えばグループCに「軽い金貨」はある。
「軽い金貨」があるグループの金貨3枚のうち、どれか2枚を天秤に載せる。
どちらかに傾けば皿が上がった方の金貨が、天秤が釣り合えば残りの1枚の金貨が「軽い金貨」である。
●「思考」のまとめ
「天秤なんて、実社会で使わないよ」という気持ちはわかります。
私も使ったことなんて一度もありません。
ただ、「確認していないことに、目を向ける」という視点の転換はさまざまな場面で役立つ思考法なので、覚えておいて損はないと思います。
・確認したことだけでなく、「確認しなかったこと」に目を向けることで、わかってくることがある
今日も長くなりましたが、最後までお付き合いくださりありがとうございます。
それでは、今日も笑顔あふれる素敵な一日をお過ごしください!
頑張り屋のみなさんを応援しています!