こんにちは。
今日は「固定観念を打ち破る正しい批判的思考を伸ばそう」といった話を書いてみます。
TVCMでおなじみの「そこに(本当の)愛はあるんか?」ですが、この問いに答えるには「批判的思考力」を身につけるとよいかもしれません。
自分や相手の考えに疑問を投げかけ、「本当に正しいと言えるのか?」「より妥当な考えはないか?」を探究する思考法だからです。
目的は、言いがかりをつけてつぶすことではありません。真実や真理を見つけ出すために、あえて建設的な批判を試みます。これを使えば、本を読みながらでも思考力が高まっていきます。冊数もさることながら、読み方がポイントだというわけです。
批判的思考でよく使う大切な質問があります。
それが、「本当にそうか?」「他に考えられないのか?」の2つです。
一つめの「本当にそうか?」ですが、僕たちの頭にはサボリ癖があります。直観的に判断をして、疑いもせずに簡単に信じてしまうのです。
まずは、「本当にそうか?」と自分や相手に投げかけ、批判的思考モードをオンにしましょう。そうすれば、疑う理由を説明したり、論理のあやういところを指摘したりせざるをえなくなります。
僕たちの思考はバイアスだらけです。僕も毎日バイアス魔との闘いです。世の中には、利用可能性バイアス、原因帰属バイアス、確証バイアスに加え、自己奉仕バイアス、後智恵バイアス、同調バイアスなど、バイアスを数え出したらキリがありません。よほど気をつけないと、本当にバイアスにとらわれて判断を誤ってしまいます。
そして、もう一つよく使うのが、思考のとらわれを解放するための質問、
「他に考えられないか?」です。
人それぞれが持つ認知や解釈の枠組みを「スキーマ」と呼びます。自分の考えに凝り固まり、合理的な範囲を越えて信じるようになると「思い込み」になります。
思い込みを打ち破るには、無理にでも違う考えを探さないといけません。可能性のある考えを洗いざらい出してから、最も妥当なものを選ぶようにします。
そして、最後のとどめの質問があります。どう考えても正しい、他の考えは絶対にありえないと思ったときに使ってみてください。
「もし、この考えで失敗するとしたら、なぜだろうか?」です。そうやって、とことん考え抜くのが本当のクリティカルシンキング(批判的思考)です。
さて、みなさんは、思い込みの罠にはまっていないと思いますが、試しに今日もクイズを出しますので、答えてみてください。問題は「頭のいい人だけが解ける論理的思考問題」(野村裕之著)からの抜粋です。
●「200個の製品」
とある工場に200個の製品があります。
ところが、200個のうち99%が不良品であるとわかりました。
なんとか不良品を外に出して、工場内にある不良品の割合を98%に減らしたいと思っています。
では、不良品をいくつ外に出せばいいでしょうか?
「簡単だな!」と思った方は罠にはまっている可能性があります。
本当にその答えで合っているのか、もう1回だけ考えてみてください。
ちなみに正解は「2個」ではありません。
●「%」の不思議
前提を確認しましょう。
工場には200個の製品があり、そのうち99%が不良品です。つまり、
200 × 0.99 = 198
つまり200個のうち、不良品が198個で、良品が2個です。
では、工場にある不良品の割合を98%に減らすためには、何個の不良品を外に出せばいいのでしょうか?
この問題では、多くの人が直感で「2個」と答えてしまいます。
「全体が200個=1%は2個=2個減らせば1%減る」という思考によってです。わかります。
でも、本当にそうなのか? 実際に検証してみましょう。
不良品を2個減らすと、不良品は196個に。良品は2個のままなので、合計198個となり、不良品の割合は以下となります。
196÷198=0.9898989……
はい、98%ぴったりにはなりませんでした。
不良品を減らすことで、全体の個数(分母)も減ってしまうためです。
●予想外の解答
不良品を2個減らしただけでは98%にはなりませんでしたが、確実に割合は下がってはいます。
つまり、不良品を減らし続けていけば、いつか98%になります。
では、その数とはいくつなのか。それは……
100個です。
「多すぎる」と思うかもしれませんが、検証するとわかります。
不良品を100個減らすと、不良品は98個。
良品は2個のままなので、全体は100個。
つまり割合は、
98÷100=0.98
98%になりました。
100個の不良品を外に出すことで、ようやく「不良品98個、良品2個」となり、不良品の割合を98%にできるのです。
ということで
<正解> 100個の不良品を工場の外に出す
●思考のまとめ
素早く計算ができる人ほどひっかかりやすい問題でした。
実際に計算してみれば簡単にわかりますが、暗算でスピーディーに答えなければならない状況だと多くの人が間違えると思います。
割合など、「%」を求める計算は慎重におこなうのがいいと思います。
「%」はパッと見の印象と実態が異なることが多いので、しっかり検証することが大事です(ここまで)。
みなさんは解けましたか?
解けた方は、すぐにわかった方であれば、かなり批判的思考が身についている人だと思います。
が、ひょっとして多くの方は、最初「2個」と答えを出して、「待てよ?」と疑ったうえで、正解を導いたのでは、と推察します。それも含めて批判的思考が備わっていると思ってください。
しかし、今回は一人で考えるクイズでした。ですが、ビジネスや日常では、自分のまわりには仲間もいると思いますので、是非、批判的思考は、1人で考えるときはもとより、みんなで議論をするときにこそ使ってほしいです。
「1人で考えるより大勢で考えたほうがよい答えがえられる」と誰しも思います。そのためにわざわざ会議をしているのですから。「三人寄れば文殊の智恵」ということわざもあります。
ところが、必ずしもそうとは限らず、みんなで話し合って、とんでもない結論になることもあります。で、みんなの智恵を生かすには大切な条件があり、その一つが批判的思考なんです。
「何となくそう思う」「こんなもんでいいんじゃないの」「多分、合っているよ」と考える人が集まったのでは、いくら議論しても考えが深まっていきません。それどころか「みんな一緒だから間違いないよ」と、誤った確証を得るだけです。
一人ひとりが批判的に考え、違う意見を出し合うからこそ、より間違いのない結論が導き出せます。合理的な意思決定をするには、批判的思考が土台となります。
とはいえ、一部の声の大きい人ばかり発言したのでは、みんなの思考力が結集できません。全員が平等の話し合いに参加できる関係性があることが、もう一つの条件になります。
批判的思考の批判は、あくまでも考えへの批判です(例:その考えはおかしい)。人物への批判ではいけません(例:あなたはおかしい)。論理と人間を切り離さないと、感情論になってしまいます。
「そこに(本当の)愛はあるんか?」と問われ、感情的になってはいけません。冷静になって返答したいというのがオチですね、くれぐれも批判的思考の批判はご注意ください!
それでは、今日も笑顔あふれる素敵な一日をお過ごしください!
頑張り屋のみなさんを応援しています!