こんにちは。
今日は「色彩心理学による効果的なブランディング」といった話を書いてみます。
こんにちは。
「無意識にできてこそ本物」というのは、サッカーの三浦知良選手です。
日経のコラムから抜粋します。
「僕が19歳のころ。一つ上のカテゴリーの選手にドリブルも何も全く通用しなかったのだけれど、ある時ふと、いつの間にか抜き去れるようになった。鍛錬ゆえ、偶然の産物ではないとしても、一つのドリブル突破、ゴール、プレーを機に、自分がワンランク上がった手応えがふいに舞い降りるようだった。
意識して取り組み続けてきたことが、無意識にできるようになる。そのとき初めて、何かを身につけたといえる。意識しなければできないうちは、まだ本物じゃないんだ。
FWでいえば、前線でDFがいようがスペースが狭かろうが、ボールを受けたらすぐに前を向けることは一つのスキルだ。前を向かないFWなんて怖くない。そこで僕らは日々、前を向こう、向こうと取り組む。考えて動いているうちはまだ、しっくりこない。これが「いつの間にか」前を向ける瞬間がある。体が無理なく、スムーズに求められる動作に応える。
空いているスペースを察知する、受けたパスを1つ目のタッチでどこそこに止める、相手の位置に即してポジションへ動く。すべて、意識することで身につけていくものでありながら、意識してやっているうちはまだ二流。これ、チームの「一致団結」でもそう。
考えなくてもシンクロできるかのような相互信頼、一体感。こればかりは、一選手の姿勢や監督の指導だけで生み出せるものでもない(ここまで)。
僕たちも、街を歩いていて、無意識に意識していることがあります。例えば、自分の妻が妊娠してお腹が大きいときは、街でも妊婦さんに自然と目がいきます。自分の両親が、杖をついて歩いていれば、同じように杖をついた老人がいつもより目につきます。
これを「カラーバス」と呼んでいます。バスはBATH。色を浴びる、ということです。「考具」(加藤昌治著)で紹介されています。考具とは「考える道具」という意味です。
この本ではカラーバスを「アイデアを出すコツ」として、「街を歩くごとに特定の色を探す」という内容があります。
これはやってもらえるとわかるのですが、「赤いものを探そう」と思って街を歩くと、普段気づかなかった看板とか、お店とかに気付きます。
人間の脳はよくできていて、興味ないもの、必要ないものに関しては無視しています。たとえば「この車を買おうかな」と思った瞬間に、街中でその車をよく見かけるようになる、上記の例のように、妊娠した女性に目が向く、杖をついた老人に目が向く、というのはよくありますよね。
逆に言うと、自分の興味外の情報を取得するのは、結構無理やりやらないとうまくいきません。つまり、意識する仕組みが必要なわけです。僕もブログを書くときに、情報収集をしますが、ネットでピックアップする記事は、自分の好みの情報しか摂取していなかったりしています。これは、実は同じような情報を集め続けていたりして、効率が悪かったりします。
というわけで、いつも同じ道を通っていても「今日は赤のものを探そう」とか「今日は青」「明日は、漢字が3つ並んでいるものを探そう」とするだけで、自分が摂取しなかった情報を手に入れられ、新しい発見があります。これが、一番シンプルな、アイデアの幅を広げるための情報収集の方法です。
そして、この手法をより発展させるなら、「なんらかの仮説を持つ」といいと思います。そうすると、さらに深い気付きを得られます。
たとえば、「中華料理屋さんは赤色の看板が多いはずだ」と仮説を立ててみてみると、「5店中4店が赤だった」と気づきがあったとします。では、残りの1店舗はなんだろう、と思って見てみると、大阪王将でした。
実は、大阪王将の看板は、最初から黄色だったわけではありません。少し古いデータなんですが、2018年11月くらいから看板を黄色に変えたそうです。そうしたら、東京・西五反田店で、翌月の売上・客数が前月比で130%を記録したそうです。
詳しくはこの記事に書いてありますが、他にも黄色は「気軽さ」や「安い」という印象にもつながりやすいそうです。確かに「マツモトキヨシ」「ドンキホーテ」や「鳥貴族」など、「低価格」を特徴とするお店の看板には「黄色」が使われています。なるほどなぁと思いました。
こういった感じで、仮説を持って、それを検証するために調べたりすれば、気付きや新しい情報が手に入ります。つまり、慣例的に、この色が使われる、というものをあえて変えてみるとか、業界の慣習で、この色が使われているものを変えてみる といった発想が大切です。
ちなみに、色は人の感情や体験や記憶と結び付きやすく、人は色に「イメージ」や「象徴的な意味」を重ねます。モノを見るときに色のイメージを重ねることもありますし、色の持つ「心理的効果」で人の行動が促されることもあります。
うえの大阪王将の例では、店舗看板の色を変えましたが、看板はお店の第一印象を決めるため、色づかいはとても大切です。色を使い分けることで「店舗の印象」や「求める客層」に影響を与えることもできますし、店舗を見つけてもらいやすくする「工夫」とすることもできるでしょう。
・黄色
「希望・喜び・意欲・好奇心・無邪気」などの印象を与えます。
「明るい、楽しい、親しみやすい」といった感情を感じさせます。
・黒
「重厚感・高級感・威厳・プロフェッショナル・強い意思」などの印象を与えます。
信頼性を感じさせることから、従業員の制服などにもよく採用されます。
・赤
「自信・活動的・情熱・達成感」などの印象を与えます。
「情熱や自信」と関連しやすい色とされています。
このうち、黄色と赤はどちらも暖色系の色ですが、「赤」に「黒」を組み合わせた改装前の看板より、新しい「黄色」の看板の方が「明るさ、気軽さ、入りやすい雰囲気」を与えます。
なぜなら「黒」は「重厚感」や「高級感」を演出できる色ですが、反面、敷居の高さや緊張感につながり、気軽に入りにくい印象を与えてしまうこともあるからです。西五反田店の場合、大きな面積の「看板」全体を「黄色」に変えたことで、店構えがより明るく、カジュアルで気軽に入りやすいイメージに変わりました。
こんなふうにしてアイデアを広げていく癖をいつもつけておくと、仕事でサクサクとアイデアがでる人になれたりします。しかし、それを邪魔するのが、固定観念であったり、常識だったり、慣例・慣習だったりするわけです。
違和感を覚えることでも、上の例であげたように色彩心理的には、イメージアップにつながる色だったりするわけです。こう考えてみると、仮説と検証を繰り返せば、思わぬヒット商品を生み出せるチャンスは、じつは、世の中にたくさんあるのかもしれませんね。
それでは、今日も笑顔あふれる素敵な一日をお過ごしください!
頑張り屋のみなさんを応援しています!