「会社と人をキラリと光る存在に変える」

未来価値創造パートナー 渡邉敦です

 

「“まだ見ぬ未来に向けた価値創造” が
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ミッションを掲げ

「自己実現した人にしか見えない風景の

創出に関わる」 

ビジョンを実現します

 

 

こんにちは。

 

今日は多面的アプローチと重点思考の統合といった話を書いてみます。

 

さて、昨日ご紹介した「論理的思考問題」(野村裕之著)から始めてみます。

 

テーマは「多面的思考」です。対象となる物事に対して複数の側面について考える、それが多面的思考です。例えば、雨が降ってきたというトラブルも傘の販売店や農家の視点に立てば嬉しい出来事です。

 

1つの事実も視点を限定せず、光を当てる側面を変えるとそれまで見えていなかった別の真実が見えてきます。

 

多面的思考とは視点を変えて考えることです。その感覚をつかめる簡単な問題を早速出してみます。

 

●泥のついた2人

あなたは一緒に庭仕事をしていた兄と家に戻ってきた。


2人ともお互いの顔は見えるが自分の顔は見えない。

2人の顔を見た父親が少なくとも1人の顔に泥がついていると教えてくれた。

 

そして父親は2人に向かい合わせにしてこう言った。

 

「自分の顔に泥がついていたら手をあげなさい」


しかしあなたも兄も手をあげなかった。


そこで父親はもう一度「自分の顔に泥がついていたら手をあげなさい」と言った。

 

さてみなさんならどうしますか?少し考えてから以下をお読みください。

 

(解説)

なぜ、あなたも兄も最初は手を挙げなかったのでしょう。そして最初の質問で答えられなかったのに、もう一度同じことを聞かれたところでどうしようと言うのではないでしょうか。考えられる状況はそれほど多くはありません。兄の視点にも立って考えてみましょう。

 

●意外と単純な状況

手を上げるべきかどうかを判断するには、2人が置かれた状況を把握する必要があります。あり得る状況は次の3つのパターンです。

 

①あなたのみに泥がついている

 

②兄のみに泥がついている

 

③あなたと兄の両方に泥がついている

 

では、どの状況に置かれているのか考えていきましょう。

 

●どちらかの顔にしか泥がついていない時

もし兄の顔に泥がついていないならあなたはこう考えるはずです。「少なくとも1人は泥がついているはずなのに兄の顔にはついていない、ということは泥がついているのは自分だ」と。

 

これは兄から見た場合も同じです。もしあなたの顔に泥がついていないなら、兄は即座に泥がついているのは自分だとわかります。

 

つまり、どちらが片方だけ泥がついている場合は、泥をついている人はすぐに泥がついているのは自分だとわかるわけです。

 

しかし、2人とも1回目の問いかけでは答えられなかった。よってこの状況は、

 

③あなたと兄の両方に泥がついている

 

のパターンしかありえません。兄の顔には泥がついているけれど、自分の顔に泥がついているかどうかはわからなかったためあなたは手を上げられなかったのです。

 

●兄はなぜ手をあげなかったのか

こういった思考が、多面的思考です。兄が手をあげなかった理由を兄の視点も踏まえて考えてみるとこうなります。

 

「もし私の顔に泥がついていないなら、兄は自分の顔に泥がついているとわかるはずなのに、兄は手をあげなかった」

「ということは私の顔にも泥がついていて私と同じように答えを出せなかったということだ」

こうしてあなたの顔には泥がついていると分かりました。

 

(正解)あなたは手をあげるべき

 

(まとめ)

自分の視点だけにとらわれず様々な角度から考えることが多面的思考の基本です。相手のこの行動は相手の視点で考えるとこういう意味を持つ。この視点をずらす感覚が今後も重要になっていきます。

 

多面的思考のポイントとは、視点を変えて考えること。この場合相手はどう考えるかと考えることが基本です。

 

以上ここまでです。

 

多面的思考については、ここまでにして、もうひとつ、大事な思考をお話します。それは何かというと「重点思考」です。

 

「今何が重要か?」「中でもどれが大事か?」と、優先順位をつけて考えます。そうやって、大胆にメリハリをつけ、要領よく進めていかないと仕事は回りませんよね。

 

●重点思考は多面思考とをセットで考える

冒頭でとりあげた「多面思考」とは、いろんな視点・視野・視座から考えることです。ところが、多面思考にもジレンマがあってやればやるほど、考えがまとまらなくなる恐れがあります。

 

そんなときは、「どの視点・視野・視座を優先させるか?」を決めないといけません。つまり、多面思考は重点思考とセットにして使わないと、泥の話であればともかく、ビジネスの現場では実際にはうまくいかないんです。

 

たとえば、「〇〇すればもっと売り上げが伸びる」と主張する人がいたとします。その考えが浅いと思ったら、多面思考で考えを広げることを促すようにします。

 

「売り上げだけでいいの? 利益は考えなくてもいい?」(視点)、「短期的にそれでよくても長期的には?」(視野)、「自社によくても競合はどう出るだろうか?」(視座)といったように。あるいは「他には?」だけでもよいかもしれません。

 

そうやって、いろんな観点で考えられたら、次は重点思考の出番です。

 

「なかでも、どの視点が重要?」「どのアイデアが最も望ましい?」と問いかけて、考えを絞り込んでいきます。

 

ここで大切なのが、2つの思考をきっちりと分けることです。

 

両者を混ぜて使うと、それぞれの良さを台無しにしてしまいますから。多面思考をやっているうちに、「分かった。△△すればいいんだ」と早合点をしてしまう「飛びつき病」が悪い例の典型です。

 

特に大人数で議論しているとそうなりがちです。「意見を発散する(広げる)ステージと収束する(絞り込む)ステージを混ぜない」という会議の原則を忘れてはいけません。

 

●重要なことに資源を集中する

重点思考を進める上で大事なのが、重要なものを見極めることです。

 

重要とは、物事の本質や根本に大きく関わる、価値の極めて高いことです。大げさに言えば、それによって自分たちの行く末が決まるようなものです。

 

ビジネスに当てはめると、目的の達成に大きく貢献したり、その成否に多大な影響を与えたりすることが、重要なものに他なりません。つまり、目的をはっきりさせることが、重要なものを見極めるための一番のポイントとなるわけです。

 

ビジネスでは、重要な20%によって結果の80%が生み出されているという「パレートの法則」が働くことがよくあります。

 

上位20%の顧客(商品)が売り上げの80%を占めている、20%のセールスパーソンが全体の80%の販売を担っている、重要な20%の業務が仕事の80%の成果を生み出している、といったように。

 

だったら、重要なものに資源を集中するのが効率的です。残りは完成度を少し落としたり、アウトソーシングをしたり、もっと効率的なやり方に切り替えることを考えます。

 

そもそも、人はマルチタスクができるようにデザインされていません。多くの人は、シングルタスクで一点集中するほうが仕事の効率も高まります

 

●マネジャーの一番大切な仕事とは?

この考えを組織全体で進めていくのは大変です。目的を理解していない人がいたり、さまつなことにとらわれる人がいたりして、「何が重要か?」のベクトルがそろわないからです。

 

そこで大切になってくるのがマネジャーです。

 

一番しっくりくる日本語は「やりくり」だと思います。与えられた資源(ヒト・モノ・カネ)をやりくりして、どうにか組織の目標を達成する。それがマネジャーの責務です。

 

そのためには、「何を目指しているのか?」「今何をすべきか?」が共有できていないと始まりません。つまり、マネジャーの一番大切な仕事は、「何が重要か?」、言い換えると仕事の優先順位をブレずに、全員に徹底させることです。まさに、重点思考の旗振り役に他ならないのです。

 

平時はもちろんのこと、非常事態になればますますそうなります。右往左往する現場に的確に方向性を示せないと、組織の力がひとつになりません。不透明で不確実な時代に生きるからこそ、重点思考が僕たちに求められているんだと考えます。

 

 

それでは、今日も笑顔あふれる素敵な一日をお過ごしください!

 

頑張り屋のみなさんを応援しています!

 

「A&W コンサルティング」
 代表・中小企業診断士 
    渡邉 敦 (Atsushi WATANABE)

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