「会社と人をキラリと光る存在に変える」

未来価値創造パートナー 渡邉敦です

 

「“まだ見ぬ未来に向けた価値創造” が
普遍に変わる喜びを50万人に伝える」

ミッションを掲げ

「自己実現した人にしか見えない風景の

創出に関わる」 

ビジョンを実現します

 

 

こんにちは。

 

今日は現場体験から得る洞察力といった話を書いてみます。

 

「上司は思いつきでものを言う」。小説家の橋本治さんが20年前に書いたビジネス書は、2つの理由でファンを驚かせた。東大在学中のイラスト制作に始まり青春小説、古典の翻訳など、企業社会とは無縁の分野の作家だったこと。それなのに分析が的確だったことだ。

 

昭和の日本企業は現場を大切にする経営が強みだった。しかし好景気が終わり、経営者の視野は狭くなり関心が現場から離れる。代弁者たる管理職は、現場社員の提案を理由なくねじ曲げるか却下する――。出入りする出版編集者の愚痴を聞き、古典が描く日本の縦型の官僚組織に重ね合わせて分析したと後に語っている(日経春秋より一部を抜粋しました)

 

日本企業は現場を大切にしなければいけない、と叫ばれていた昭和で「仕事や経営のコツは現場で自得するもの」と説いたのは松下幸之助でした。

 

売れるか売れないか、机の上でいくら検討してみても、ある程度以上のことは分からない。後は手さぐりであっても、まず歩き出すより仕方がない。

 

お客様に尋ねてみることである。机の上だけでものを考えていると、時には売れないものを売れると判定してみたり、逆に売れるものを売れないと判定してみたりということになりかねない。「ヒット商品のヒントはお客様が持っている」と語っています。

 

さて、ここからは、みなさんの現場感覚を確認してみたいと思います。

 

世の中は、GWで出かける方も多いと思います。新緑の季節となり、東京近郊の高尾山は「安近短」で人気の観光地です。ちなみに安近短は、費用が安く、距離が近く、日程が短いことを示した昭和の略語です。

 

この「世界一登山客の多い山」とも言われている高尾山ですが、さまざまなお店がしのぎを削って登山客を呼び寄せることに取り組んでいます。

 

ここからが問題です。

 

登山口の近くもお店(にコンビニ)を新たに出店し、みなさんが店長になったとします。季節はいよいよ本格的な登山シーズンが始まり、気温も上がってきました。熱中症も心配です。それでも、たくさんの登山客が押し寄せてくることは確実です。それに応えるためにライバル店もいろいろ策を練っているようです。

 

このような状況から考えて店長のあなたはどんな準備を真っ先に考えますか?(少し考えてみてから以下をお読みください)

 

恐らく、一番多い答えが、「飲み物を大量に発注する」ではないでしょうか。


たしかに 水分補給は登山に欠かせません。間違いではありません。しかし、ライバル店も同じことを考えていないでしょうか、それでは、差別化にはなりません。

 

「目につきやすい広告物をつくる」「店員の教育をする」という答えもあるでしょう。しかしこれも同じです。何を売りにするのか、戦略を練ってからでないと広告やサービスの方向性が定まりません。

 

僕が考える正解は「高尾山に登ってみる」です。

 

とりあえず店は店員に任せて、店長のあなたは何度も繰り返し登ってみます。そうやって登山者になりきってみます。なぜかといえば、自分の目と耳で現場を体験しないと登山者が本当に必要とするものが分かりません。

 

この季節、寒暖差もあり、雨なのか晴れるか曇るか、黄砂や花粉を感じるのか、風の影響はどの程度なのか、日によってあるいは午前か午後かで 登山者が感じるものも違ってくるはずです。驚くほど軽装備でやって来られる方も増えていると聞きます。ならば、逆に彼らに特有のニーズがあるかもしれません。

 

こういった現場から発想したアイデアはライバル店との差別化に大きく寄与してくれます。こういうときこそ現場から考える「現場思考」がとても重要になります。

 

僕たちはどうしても現場から足が遠のきがちになります。情報はいろんなチャンネルを使って簡単に集められわざわざ現場に行かなくても仕事ができてしまうからです。

 

ところが、現場の状況は時々刻々変化しており、得た情報がすでに陳腐化しているかもしれません。人から人へと伝言ゲームをしているうちに、少なから、真意や真実がねじ曲がって流布している恐れもあります。

 

また、現場には言葉にならない“空気感”があり 新たなインスピレーションを生むもとになります。それは自分の身を置いてみないと絶対に分かりません。

 

最悪なのは、現場を知らない人たちが集まって、見当違いの「机上の空論」を繰り返すことです。冒頭の松下幸之助のコメントでもそう語っています。

 

現場思考はトヨタをはじめ日本のものづくりの根幹であり、現場を大切にする風土は日本文化の底流にあります。こんな時代だからこそ、その良さを再認識することが大切ではないでしょうか。

 

現場思考を徹底させるための実践

現場思考を分かりやすく表した言葉に「3現主義」があります。

 

現場(場所)・現物(モノ)・現実(状況)の3つの現(ゲン)です

 

たとえば、何か問題や事件が発生したら、面倒でも現場に足を運ぶようにしましょう。いくら報告を聞いてもデータを見ても、現場で本当に何が起こっているかは分かりません。

 

現場では、できるだけ現物をこの目で確認するようにします。自らの手で確かめて肌ざわりを感じることが大切です。

 

さらに自分で体験するだけではなく、現場でいろんな人の話を直接耳にして何が起こったのか、現実(What, Who, When, Where, Why, How)を正しくつかむようにします。そうしないと物事の本質は見つからず、答えを見いだすヒントはすべて現場にあります。

 

3現主義にはいくつかの発展形があります

有名なのが 現場・現物・現実に原理・原則を加え「5ゲン主義」です

 

原理に合わないことはうまくいかず、原則に反することは好ましくありません。

原理・原則から考えることで、より本質的な問題解決ができます。

 

さらに、即時・即座・即応で問題解決を図る「3即主義」というのもあります。

 

ヒントをつかめる人、つかめない人

ところが、同じように現場に足を運んでも、ヒントを見つけられる人とそうでない人がいます。「新しい書店のサービスを考える」をテーマに、実際の書店で2時間ほどフィールド調査をした経験があります。

 

事後の報告では、微に入り細に入り詳しくリポートした人もいれば、ザックリと一般的な問題点だけを指摘した人もいました。得た情報量で言えば10倍くらい違っていたことに驚かされました。

 

これは、一つは問題意識の違いから生まれてきているんだと思います。調べたいテーマや仮説があり、自らのアンテナを立てて現場に入らないと情報が入ってこないからです。これを「選択的注意」と呼んでします。

 

違いが生まれるもう一つの原因があります。

 

それは、アンテナの感度です。どれだけ細かいところまで観察するか、人の話を聴く際には、どれだけ言葉の裏が感じとれるかが大切になります。

 

さらに、嗅覚・味覚・触覚なども活用すると多面的に事実を集めることできます。現場思考を働かせるには五感を総動員することが効果的です。

 

ということで、GWにお出かけの際は、初めて見るもの聞くものが多いと思いますので、ぜひ、観察眼を鍛えてみてください。

 

 

それでは、今日も笑顔あふれる素敵な一日をお過ごしください!

 

頑張り屋のみなさんを応援しています!

 

「A&W コンサルティング」
 代表・中小企業診断士 
    渡邉 敦 (Atsushi WATANABE)

Mail: info@aw-consulting-office.com