「会社と人をキラリと光る存在に変える」

未来価値創造パートナー 渡邉敦です

 

「“まだ見ぬ未来に向けた価値創造” が
普遍に変わる喜びを50万人に伝える」

ミッションを掲げ

「自己実現した人にしか見えない風景の

創出に関わる」 

ビジョンを実現します

 

 

こんにちは。

 

今日は「言葉の力とコミュニケーションの重要性といった話を書いてみます。

 

静岡県の川勝平太知事が、「職業差別」と捉えられかねない発言をして問題となっていました。政治家の失言は度々話題になり、中には過剰反応だと感じる人もいます。しかし、政治家のように要職に就いている人が、その言動について国民から評価されるのは、民主主義である以上、当たり前のことのように思います。また、今回はリニア建設に反対していたことも逆風だったかもしれません。

 

さて、政治家に限らず、リーダーというのは、言葉を使うのが仕事です。リーダーという役割を務める人にとって、いかに言葉が重要であるか、自覚すべきことではないでしょうか。

 

知事は仕事の中で、言葉や行動を通じて人に何らかの決定を伝えたり、指示を出したり、あるいは説得したりします。だとすれば、言葉の使用が不適切な者に務まる仕事ではありません。場合によっては、その言葉で、社会に大変な混乱を引き起しかねません。

 

これって、会社でも同じです。打った対策が火種になりかねません。

 

不正会計、私的流用、情報漏えい、偽装、ハラスメント……企業の不祥事は後を断ちません。その度に、「ルールの徹底」「指導管理の強化」「違反者の厳罰化」が声高に叫ばれています。

 

しかし、一方で気になるのは、節度を持って対応している人に対しても、一律で厳しい目を向けることになることです。会社では、同じ不祥事を起こさないようと、問題のない人まで巻き込んで対処する求めたりします。

 

ごく少数の逸脱者のために、みんなが迷惑を被る。個人主義の時代に、そんな考え方が従業員のやる気や連帯感を下げることにつながります。下手をすると、「なんで私まで」と納得できない人が、新たな不祥事を引き起こさないとも限りません。

 

もう一つは、禁止すればするほど、「何が悪いんだ」という心理を助長しないかです。禁止されると、人はかえってやりたくなるものです。

 

結果、裏でコッソリとやられたら、問題が隠れてしまい、コントロールできなくなります。ルールの抜け穴をつくる人が現れると、さらなるルールの強化を招き、イタチごっこが始まります。

 

良かれと思って打った対策のせいで、かえって問題を大きくしてしまった・・・。解決が難しい問題でよく起こるパターンです。そんな悪循環のループに入らないことを祈るばかりです。

 

●不倫にはまるにはワケがある

僕たちは、たくさんの人と意見や利害を調整しながら、この社会を生きています。時には、こちらの意に従わせるために、説得・強制・禁止などを用いて、相手の思考や行動をコントロールしようとします。

 

ところが、人は自分のことは自分で決めたいという「自己決定の欲求」を持っています。それができたときに、自分でやり遂げたという「自己効力感」を得ることができます。

 

そのため、説得・強制・禁止によって自由が制限されると、反発や抵抗をしようとします。これが心理学者J・ブルームが提唱する「心理的リアクタンス」と呼ばれるものです。

 

分かりやすいのが、禁止されるほどやりたくなる、「カリギュラ効果」(ブーメラン効果)です。カリギュラという名前の過激な映画が、アメリカの一部地域で公開禁止となり、かえって世間の注目を集めたことから名づけられました。

 

皆さんも「絶対に見るな」と言われたら無性に見たくなりませんか。「誰にも言わないでね」と言われたら、返って言いたくてたまらなくなる。鶴の恩返しでお爺さんが部屋を開けてしまうのも、みんなカリギュラ効果の仕業です。

 

不倫や禁断の恋にドップリはまってしまうのも、道徳的に許されない行為だから、と言われています(「ロミオとジュリエット効果」とも呼ばれています)。経験のある方は、思い当たる節がないか、胸に手をあてて考えてみてください・・・。

 

●せっかく今やろうと思ったのに

ここで心理的リアクタンスとの付き合い方を考えてみます。

 

たとえば、書店のビジネス書の棚をのぞけば、営業の極意を説く本が山のようにあります。内容でほぼ共通しているのは、「話し上手」ではなく「聞き上手」、「売り込む」のではなく「お困りごと解決」、これらを勧めていることです。

 

下手な営業マンは、一所懸命に商品や提案を説明し、顧客を説得しようとします。売り込めば売り込むほど、心理的リアクタンスを生み、買う気を削いでいることがわかっていないわけですね。

 

対する有能な営業マンは、顧客の不満や不安を受け止めながら、自分で考えられるように思考のプロセスをアシストします。そうやって、顧客が自分で答えを見つけ、自分自身を説得するようにもっていくわけです。

 

また、部下に接するときも同じことが起こります。

 

上司から、「絶対に15時までに仕上げろ」と言われ、「本当に間に合うのか」としばらくして念押しされ、「遅れは許されないぞ」と脅され、と手を変え、品を変え、何度も念押しされると、部下はどんな気持ちになるでしょうか。

 

そのうち、わざと「やってみないと間に合うかどうかわかりません」と返事をはぐらかし、期限ギリギリに仕上げたくなります。学生時分に勉強しようと思っていたのに、親から「勉強しなさい」と言われてやる気がなくなった、という経験があると思うんですが、あのパターンです。

 

心理的リアクタンスを避けたければ、「何時までならできる?」「もう少し早められない?」と尋ねて、自分で決めてもらうようにします。上から目線にならないように気をつけながら、声掛けしましょう。

 

●知らず知らずに北風を吹きつけていないか

誰かと意見がぶつかるときも、考え方はまったく同じです。

 

僕たちは、どうしても自分の正しさを主張して、相手を説得しようとします。しかも、意見の元になる信念や価値観など、相手が大切にしているものを否定しようとしてしまいます。「その考えはおかしい」「そんなことを言っているからダメなんだ」と。

 

ところが、そう言われて相手の考えを素直に受け入れる人なんていません。それどころか、大きな心理的リアクタンスを生み、「絶対に譲らないぞ」と、さらに自分の考えに執着するようになります。相手に対する敵意も高まり、逆効果になるだけです。

 

そうではなく、相手の信念や価値観を一旦は受け入れてみましょう。「同意はできないけど分かるよ」「そういう風にも考えられるね」「それはそれでもっともな話だと思うよ」と。

 

そうすれば、いらぬ抵抗を生まずにすみます。「分かってくれるなら、原則は変えないけど、この程度なら譲ってもいいよ」と、相手も融通が効かせやすくなります。北風ではなく、太陽が旅人のマントを脱がすことに成功するのです。

 

こんな風に、僕たちは知らず知らずのうちに、相手に心理的リアクタンスを生じさせていることがあります。ときには、不用意な発言や高飛車な態度によって、まったく意図しないうちに。

 

もし、みなさんに反発している人がいたら、相手が悪いのではなく、自分の振る舞いに原因があるのかもしれません。関係改善に向けて、自分ができることを探してみましょう。

 

 

それでは、今日も笑顔あふれる素敵な一日をお過ごしください!

 

頑張り屋のみなさんを応援しています!

 

「A&W コンサルティング」
 代表・中小企業診断士 
    渡邉 敦 (Atsushi WATANABE)

Mail: info@aw-consulting-office.com