「会社と人をキラリと光る存在に変える」

未来価値創造パートナー 渡邉敦です

 

「“まだ見ぬ未来に向けた価値創造” が
普遍に変わる喜びを50万人に伝える」

ミッションを掲げ

「自己実現した人にしか見えない風景の

創出に関わる」 

ビジョンを実現します

 

 

こんにちは。

 

今日は価格戦略と心理理解といった話を書いてみます。

 

昨日(4月1日)より、いろんなものが値上げしました。

 

・日本ハムでは、改定率は1.1~27.6%

・キッコーマンでは、4月1日納品分より「デルモンテブランドのトマト調味料・飲料・おろしシリーズ」および「キッコーマンブランドのソース」の改定率は約5~23%です。

 

といった食品に加え、

・電気料金は、東京電力エナジーパートナー 3月: 7,560円 4月: 7,576円(+16円)

・宅配料金は、ヤマト運輸で180サイズは3,870円から4,090円(+220円)に、200サイズは4,530円から5,190円(+660円)

に値上がりします。

 

特に食品・菓子関連では、値上げとともに注意したいのが、広告です。割安感を演出する広告に、引き寄せられ、結果的に値上げ前より、購入してしまった、なんてことのないように気を付けたいところです。ですが、僕たちは数字に対するイメージが無意識に働いてしまい、それが邪魔をしてしまうんですね。

 

さて、そんな話をする前に、先週年度末で忙しかった会社も多いのではないでしょうか?取引先から納品できない連絡を受けた社員が上司に報告しました。

 

上司は、「え、月末である年度末に製品が納入できないって?納入が2週間遅れる(4月になってしまう)かもしれない?それはないでしょ。あれだけ念押ししたのに……」と問題視したところ、部下は、

 

「せめて1週間程度に抑えられないか、先方と今から交渉してきます」と答え、上司は上司で「悪いなぁ。オレのほうは、この遅れが全体の計画に響かないよう、他と調整してみるよ」

 

なんていう年度末の締め間近のバタバタがありました。こんな会話は、実は年度末に限らず、職場でよくあるシーンです。

 

さて、その一方で、適切な対処が求められるのに、こういったトラブルめいたことが日常茶飯事ゆえに、対応のまずさが埋もれてしまうこともあります。で、上の事例を見て、どこかまずいところはありませんでしたか。とはいえ、リスクを最小限に抑えようと機敏に対処しており、悪いところはどこにもないように見えますよね。

 

しかし、そう思った方がいたとしたら要注意です。思考のワナに引っ掛かってしまっているといえるからです。実は、それが、毎日忙しく仕事に追われている理由かもしれません。

 

何が一番まずいかといえば、「納入が遅れる」という話をうのみにして、対処しようとしていることです。いずれにせよ、遅れることが動かせない前提となって話が進んでしまっています。

 

本来考えるべきは「どうやったら遅れないで済むか?(=予定通りに納品できるか?)」のはずです。

 

それには、「納期遅れは許せない」と相手を責めるだけではいけません。「そのために何が互いに協力できるか?」を一緒になって考える必要があります。

 

それが、本当の「問題解決」です。それでもよい知恵が浮かばなかったときには、このような会話を始めるべきです。

 

僕たちには、先に与えられた情報が錨(アンカー)となり、無意識にその情報の近くで考えてしまう傾向があります。これを「アンカリング」(係留効果)と呼んだりしていますが、わかりやすく言うと「思考のゆがみ」というやつです。

 

これは、行動経済学者ダニエル・カーネマンは唱えましたが、彼らが行った実験があります。

まず、ルーレットで実験参加者に0~100の数字をランダムに選ばせます。そのときに、一つのグループには必ず10、もう一つのグループには65になるように仕掛けをしておき、その後で双方のグループに順番に2つの質問をします。

 

「国連加盟国に占めるアフリカ諸国の比率は、あなたが選んだ数字より大きいですか?」

「国連加盟国に占めるアフリカ諸国の比率は、どれくらいでしょうか?」

 

すると2番目の質問に対して、10を選んだグループの答えの平均は25%。65を選んだグループの答えの平均は45%だったのです。

 

仕掛けのあるなしにかかわらず、ルーレットで選んだ数字とアフリカ諸国の比率は、どう考えても何の関係もありません。にもかかわらず、最初の情報から離れられず、その近辺にとどまったままになってしまいました。

 

その理由を2つあって、1つは、アンカーを出発点にして考え始め、調整を打ち止めしてしまうから。もう1つは、アンカーがあるイメージをつくりあげ、そのイメージを基に考えてしまうからです。

 

さて、値上げ時の特売風広告に騙されないようにしてほしい本題はここからです。アンカリングは生活のあちこちで見られます。典型的なのが商品の値札です。

 

「特別価格9800円!」と書かれるのと、「通常価格19,800円が9800円!」と書かれるのとでは、かなり印象が変わります。通常価格がアンカーとなって、お買い得感がより一層際立つからです。後者のほうが売れ行きは、いいに違いありません。

 

あるいは、手軽に手に取れるセール品を並べておいて、「お一人様何個でも」とうたうより、「お一人様10個限り」と制限を表示したほうが、購買個数が増えることが実験で確かめられています。10個がアンカーとなって、それに近い数を購入しようとするからです。

 

ということで、賢い買い物客になれるよう、勢いで買ってしまうのではなく、冷静に考えて行動しましょう。こんなふうにアンカリングは日常生活の中で活用も悪用もできます。お店側の立場の方は、お客様との信頼を損なわない範囲で上手に使いたいテクニックです。

 

では、アンカリングをしてきたときにどう対処すればよいか、先ほどの例なら、まずは、

 

この対処法は簡単で、いくら「通常価格19,800円が9800円!」といっても、買わないのなら出費は0円です。もう一つそこにアンカーを打って19,800円アンカーを打ち消し、9800円という価格が妥当かどうか吟味すべきです。

 

僕たちの身の回りはアンカーだらけです。「損ばかりしている」「世間に流されている」と思う方がいたら、一度、アンカリングという観点で仕事や生活を見直してみましょう。

 

 

それでは、今日も笑顔あふれる素敵な一日をお過ごしください!

 

頑張り屋のみなさんを応援しています!

 

「A&W コンサルティング」
 代表・中小企業診断士 
    渡邉 敦 (Atsushi WATANABE)

Mail: info@aw-consulting-office.com