こんにちは。
今日は「『孫子』から学ぶ経営の極意」といった話を書いてみます。
今年になって、「孫子」が注目されてますね。そのきっかけは、「キングダム」だったり、守屋淳さんの新刊「孫子×ビジネス戦略」が影響しているんだと思います。
以下、PIVOTに出演の守屋さんの対談がわかりやすいので、これまで馴染みのなかった方も是非視聴されてみてください。
『孫子』(そんし)は、紀元前500年ごろの中国春秋時代の軍事思想家孫武の作とされる兵法書。武経七書の一つ。古今東西の軍事理論書のうち、最も著名なものの一つである(Wikipedia)
つまり、兵法書で孫武という方が書いたとされる書です。「孫子」の「子」は先生を意味します。「孔子」「孟子」も同じで、孔先生、孟先生となり、孫子も孫先生ということになります。
うえの動画で、守屋淳さん(守屋洋さんの息子さん)が語っていますが、アメリカ軍はベトナム戦争の敗戦後、完全に「孫子」を学んだ戦略・戦術を取り入れているそうです。「孫子」は、ビジネスの世界でもスポーツの世界でも、人生においても、多くの人たちが学び参考にしています。
松下幸之助は「孫子」を暗誦していたといいますし、ビル・ゲイツは座右の書にしているといいます。IT業界の大物はほとんど愛読書にしていますし、プロ野球の世界では、長嶋茂雄や今年大リーグカブスに移籍した今永昇太も読んでいるそうです。
ライバルが多い中で、自分(自社)はどう生き残るのか、これは、スポーツ選手だけでなく、ビジネスパーソンならば絶対に押さえておきたい点ですよね。
守屋さんの解説によると、孫武は抽象的な表現で孫子を書き上げているため、解釈が何千、何万とおりもあるが、どれが正しいかどうかは判別できないといいます。一般には断片的に名言が切り取られて語られることが多いのもそのせいかもしれません。間違いないことは、戦い方のポイントをまとめたものだということです。
当時、国は亡べば終わりです。人は死ねば生き返りません。戦争はやり直しがききません(むろん、やりなおしなんてとんでもない話ですが)。「孫子」とは、そんなやり直しのきかない戦争で構築されたノウハウです。
ビジネスはよく戦いにたとえられます。競合他社がひしめくなか、限られた資源を最適に配分しながら成果をあげていかなければいけません。
そう考えると、たしかに、ビジネスと戦争はよく似ています。生きるか死ぬかの真剣勝負のなかで磨かれた「孫子」のスキルは、ビジネスという名の戦争のなかで大いに応用できます。
会社であれば事業計画、個人であればアクションプラン、といった感じで成し遂げたいゴール、そしてその過程で達成したい目標を策定します。僕も人生の転機には、セミナーや書籍からも、ヒントを得るようにしています。特に煮詰まったときには、目から鱗のような考えに出会うものだから不思議ですよね
冒頭で取り上げたような著名人でなくても、会社で管理者に昇進したときとか、担当者として売上の戦略を考えたいときなどに、ハウツーものをそのままパクるのもありですが、抽象的で様々な解釈が可能な中国古典から学び、具体策を自分に置き換える作業は有用だと思います。
そんなとき、どれを選択しようか悩まれるようでしたら、も圧倒的に支持されている「孫子の兵法」はおススメです。
守屋洋さんは、孫子の兵法は以下の7つに集約されるとしています。
①彼を知り己を知れば百戦して殆うからず。
②主導権を握って変幻自在に戦え。
③事前に的確な見通しを立て、敵の無備を攻め、その不意を衝く。
④敵と対峙するときは正(正攻法)の作戦を採用し、戦いは奇(奇襲)によって勝つ。
⑤守勢のときはじっと鳴りをひそめ、攻勢のときは一気にたたみかける。
⑥勝算があれば戦い、なければ戦わない。
⑦兵力の分散と集中に注意し、たえず敵の状況に対応して変化する。
コンサルタントをしている僕も、戦略を説く「孫子」は、すごく腑に落ちます。守屋淳さんの著作「最高の戦略教科書 孫子」は、おススメです。が、これでも難解だ、という方でしたら、冒頭で取り上げた、「孫子×ビジネス戦略」は、図解なのでわかりやすいです。
〇最善の策とは、戦わないで敵を屈服させること
「百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」という言葉が「孫子」にあります。
百回戦って、百回勝っても、百回も戦えば資源や組織や自分自身もボロボロになります。下手をすれば漁夫の利をさらわれてしまうかもしれません。それでは、勝ったところで何にもなりません。最善の策とはいえません。
最善の策とは、戦わないで敵を屈服させることです。戦わずに相手を屈服させ、相手の資源もろとも取り込んでしまえばいいのです。ビジネスの世界でも、ライバルと競争して疲弊するくらいなら、吸収合併してしまうほうが賢明だと置き換えて考えてみるとわかりやすいです。
同業者を敵と思わず、仲間だと思えばいいわけです。例えば、「裁判を起こして訴訟などしない」という考えです。特に大手企業と張り合うとつぶされてしまいます。一緒にやることを模索するのが賢明です。余談ですが、日本は裁判官が不足しているため、裁判が待ち行列になっています。ですので、訴訟ではなく、示談を勧め、早期決着を目指す流れになっています。
ビジネスで競合他社とは、普通は相手をたしなめたり、邪魔をしたり、法に訴えるなどするのがその業界では当たり前だったりすることもあります。しかし、相手と潰し合いをするより、お互い時間と労力をお金を使うくらいなら、共存共栄の可能性を探すこともありです。
これも孫子の「戦わずして兵を屈する」の教えに沿っています。
〇戦いを避けながら伸びていくこと
よくマーケティングでは、レッドオーシャンに飛び込むのではなく、ブルーオーシャンで勝組みになれ、と言われたりします。私の知り合いの営業系コンサルタントは、実力もあるのですが首都圏への進出は一切考えていません。
なぜなら、「東京は同業者がたくさんいるから、そんなところで頑張っても疲れるだけ。だから、地元のナンバーワンコンサルタントを目指しているんだよ」と。彼も「孫子の兵法」の愛読者です。
ビジネスの世界にも弱者と強者がいます。弱者の最たるものが1人で起業した人たちでしょう。あらゆる分野で後発ですし、資源も限られています。だからこそ、大手企業や先行者らを研究し、相手が関心を持たないところを見つけ、戦いを避けながら伸びていくことが求められます。彼の戦略もまさに「孫子」のスキルを実践しています。
〇彼を知り、己を知れば、百戦して殆(あや)うからず
守屋さんおススメの①である「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」があります。孫子はこのとき、「敵」という言葉を使わず「彼」としています。この「彼」には「敵」以外の環境すべてが含まれるとする研究者もいるので、ビジネスでいえば、ライバル会社だけでなく、政府の方針転換や市場の変化、消費者動向といったことを調べなさいという教えととらえることもできます。
さらに、「彼」よりも、「己」を知ることのほうがはるかに難しいのではないでしょうか。
実は、中国でも孫子は人気ですが、その中国では、「己を知り、彼を知れば百戦して殆うからず」と逆になっているそうです。おそらく、自分の方が知りにくいからではないかと。ライバルのことは客観視できますが、自分のことは見えにくい、だから己を知る者こそ勝てる人間だ、というのが中国の古典では大切にされている価値観のようです。
で、話もそう考えてみると、自分が本当にやりたいことは何なのか、これを知らずにビジネスは始まらないと思うんです。多くの人は自分のことなのに、自分よりも外に答えを求めようとします。僕も今、この歳になって、「自己理解」に多くの時間を割いて自分を振り返っています。昨年は外に出て、いろんな人との交流を深め、自分の居場所を探していましたが、今は自宅で自分に問う時間を意図的に作っています。
ということで「孫子」のスキルはいくらでも現代に応用できます。兵法とは「戦いのノウハウ」ですが、基本的には理詰めであり、ロジカルシンキングです。ですから、時代を超えて、あらゆる分野に使えるスキルです。
勉強にも、人間関係にも、家族内の交渉事にも十分対応できますので、興味や関心のある方は少しかじってみてはいかがでしょうか?
それでは、今日も笑顔あふれる素敵な一日をお過ごしください!
頑張り屋のみなさんを応援しています!