「会社と人をキラリと光る存在に変える」

未来価値創造パートナー 渡邉敦です

 

「“まだ見ぬ未来に向けた価値創造” が
普遍に変わる喜びを50万人に伝える」

ミッションを掲げ

「自己実現した人にしか見えない風景の

創出に関わる」 

ビジョンを実現します

 

こんにちは。

 

能登半島地震で過酷な生活を強いられているみなさん、どうか生きたいと思う気持ちを強く持ってくださいね。まだまだ、成し遂げられていない夢や希望がたくさんあるはずです。そんな思いを大切にしてください。

 

今日は、「うわさが本当になる」といった話をしてみます。

 

連日の株価が最高値を付けている中、金融庁は、金融機能強化法にもとづき信用組合の上部機関の全国信用協同組合連合会(全信組連)を通じて、はばたき信用組合(新潟市)、熊谷商工信用組合(埼玉県熊谷市)、富山県信用組合(富山市)、豊橋商工信用組合(愛知県豊橋市)に計140億円の公的資金を注入すると発表しました。資本増強で取引先の中小企業に対する資金供給が滞らないよう支援します。

 

公的資金は新型コロナウイルス禍で苦境に陥る地域経済を下支えする目的の「コロナ特例」を使うそうですが、そもそも、改正金融機能強化法は、人口減少地域で合併や経営統合など事業の抜本的な見直しを行う地方銀行や信用金庫を対象に、システム統合や店舗統廃合で発生する費用を支援する目的でしたが、今回は、その点に触れていないのが気になります。

 

全信組連を通じた信組に対する公的資金の注入は20年以来で、全信組連は公的資金を原資として3月末にはばたき信組に30億円、熊谷商工信組に35億円、富山県信組に35億円、豊橋商工信組に40億円をそれぞれ出資する。はばたき信組は20年にも全信組連を通して20億円、豊橋商工信組は15年に30億円の公的資金を受けています。

 

決して、経営破綻を予兆する話ではないと思いますが、たとえ根拠のない予言や期待であっても、当人や周囲が信じて行動することで、結果的にその通りの現実が生まれることがあります。社会学者のR・K・マートンが「予言の自己成就」と名づけた社会現象です。

 

1973年の豊川信用金庫の事件が典型です。女子高生の冗談を発端に、「倒産するらしい」という根も葉もない噂(デマ)が流れ、預金の取りつけ騒動に発展してしまいました。何とか沈静化できたからよかったものの、本当に一つの金融機関がつぶれそうになってしまったわけです。

 

トイレットペーパー騒動も同じ構図です。実際には生産量に問題がなかったにもかかわらず、ひょんなことから「なくなるかもしれない」という不安が広がり、猫もしゃくしも買いだめに走る騒ぎに。

 

なぜ、こうなってしまうかといえば、僕たちの行動のもとになる事実とは、社会的に構成されたものだからです。いつも客観的な事実(真実)をとらえているのではなく、多数の人が信じていることや、予期に合致するものを「○○に違いない」と事実として扱っています。

 

また、人々が取った行動も、次の行動の考える上の手掛かりとなります。事実が次の事実を生むループ構造が生まれ、社会的な事実がどんどん増幅されて、いずれ現実のものとなるわけです。

 

とはいえ、予言の自己成就をうまく使えば、自分の夢や目標の実現を助けてくれます。俗に言う「夢を言葉にすることで現実のものとなる」という話です。

 

「僕は社長になる」「必ず社労士の資格を取る」「20代のうちに結婚する」といった目標を宣言します。特に三番目の「XXまでに結婚する」は、自分の周囲でも宣言どおり叶った友人も割と多かったりします。

 

たしかに、夢を口にすると行動せざるをえなくなり、黙ってやるよりも成功しやすくなるかもしれません。ところが、仮に達成できたとしても、それは、予言の自己成就とはちょっと違うんですね。

 

なぜかと言えば、予言の自己成就とは社会現象を扱うものだからです。人々の期待が循環的に増幅されるところがポイントです。

 

ところが、「XXまでに結婚する」は、個人の能力や決定権を持つ他者の要因が大きく、いくら期待が膨らんでも、それだけではどうしようもありません。みんなの期待が実際の相場をつくる株式のように、社会的な現象でないと働かないわけなんです。

 

しかも、予言が人々の期待や不安に合致していないと、増幅作用は起こりません。「まさに社長の器だ」「結婚するに違いない」と思える何かがないと、ループ構造ができあがらないといわれています。

 

加えて、タイミングが重要です。人々の関心や不安が高まっているときだからこそ、火に油を注ぐわけです。実際に、豊川信金事件はトイレットペーパー騒動が遠因になったと言われています。

 

では、社会的な事実を覆すためには?

予言の自己成就は、悪い方向に働くこともよくあります。もし、そんなことが起こったとしたら、どのようにして自己成就を防げばよいか悩みますよね。

 

ある会社で、「この事業所は閉鎖するらしい」という噂が出回り、辞める社員が続出・・・。人手不足に加えてやる気も下がり業績も急降下。本当に閉鎖するしかなくなってしまった、なんていう冗談のような話も現実にあったりします。

 

ここでのポイントは「この事業所は閉鎖するらしい」という社会的な事実です。

 

これを否定するには、客観的な事実をぶつけるのが最良の方法です。いかにこの事業所が社会に貢献しているか、閉鎖する理由がないことを客観的なデータを元に説明することが大切です。

 

ところが、現実には焦ってしまい、「ムキになって説明するところが怪しい」と言われ、火に油を注ぐ結果になる恐れもあります。「やっぱりそうなんだ」といったバイアスが働き、みんなが望むことが事実になってしまうからです。

 

であれば、まずは “みんな”の数を増やさないことが大切なんですね。増えれば増えるほど、確かな事実になってしまいます(社会的証明と呼んだりしています)。早期に火種を消すことが何より重要です。

 

そのために必要なのが権威です。専門家、役職者、著名人などが言っていることは、信ぴょう性が高いと思ってくれます。実際に、豊川信金事件では、同行の声明は曲解されてパニックに拍車がかかったものの、上位機関(全国信用金庫連合会)の説明によって収拾に向かうことになりました。

 

つまり、できるだけ早く、しかるべき人が出て、事実をつまびらかにすること。まさに、よく見る「謝罪会見」こそが、予言の自己成就を止める特効薬だと思いませんか。まさか、冒頭の信金への公的資金注入ニュースが豊川信金事件と重なって見えてきたら、予言の自己成就の始まりかもしれません・・・。

 

それでは、今日も笑顔あふれる素敵な一日をお過ごしください!

 

頑張り屋のみなさんを応援しています!

 

「A&W コンサルティング」
 代表・中小企業診断士 
    渡邉 敦 (Atsushi WATANABE)

Mail: info@aw-consulting-office.com