五線譜が読めなくても問題なし。ギターで学ぶ音楽講座 -2ページ目

五線譜が読めなくても問題なし。ギターで学ぶ音楽講座

難しく考えがちな音楽理論を極力専門用語や音符を使わず、ギターに置き換えて解説していきます。
実際の曲を使ってギターや音楽を学んでいきましょう。

みなさんこんにちは、ギター講師の神田です。
今日から数回に分けてDA PUMPさんのUSAのフレーズを分析してみたいと思います。
タブ譜も作成してありますので、よかったら弾いてみてください!

【コード進行】

早速、コード進行をアナライズするためにディグリーネームに変えてみましょう。

Im7-♭Ⅵ-♭Ⅶ-Im7-♭Ⅲ-Ⅳ


ディグリーネームに♭がついていたり、少し難しく感じるかもしれません。

そういった方は一度、メジャーキーとマイナーキーのダイアトニックコードについておさらいをしてみてください。


今回のコード進行で注目したいのは、4小節目に登場するⅣのコードです。

本来マイナーキーのダイアトニックコードの場合、ⅣはⅣマイナーになるはずですが、今回はⅣメジャーになっています。


なぜⅣメジャーになったのでしょうか?


音楽理論の中にモーダルインターチェンジというものがあります。

この理論を使うと一時的に転調をし、同主調のダイアトニックコードを借りて使用することができます。


同主調というのは例えば「CメジャーとCマイナー」とか「DメジャーとDマイナー」とか主音を表すアルファベットが同じで、メジャーとマイナーが違う関係のことを言います。


今回の例ではBマイナーキーの曲なので、同主調であるBメジャーキーのダイアトニックコードであるE(Ⅳメジャー)を借りてきています。


【フレーズ】
基本的にはパワーコードをブリッジミュートを交えて弾く、ロックでよくある王道のフレーズなのですが、コードがBm7の時の3拍目、4拍目に注目して下さい。

何やらスライドで動いています。
実はこれコードトーン+ペンタトニックスケールで構成されています。

そしてこのコードトーン+ペンタトニックスケールのオブリですが、これが非常に便利!
ダイアトニックコードで登場するマイナーコードであれば、どのコード上でも使用することができます!

今回はコードがBm7なので、Bマイナーペンタトニックスケールの音を使ってフレージングされています。

使用されている音を見てみましょう
赤丸に数字が入っているところが基となるBm7のコードフォームです。
そして青丸がコードフォーム周辺のペンタトニックスケールの音。
赤い矢印は今回のフレーズで使用されているスライドのポジションです。


今回は演奏されていませんが、緑色の矢印のポジションも同じアイディアで使用可能なポジションです。
ぜひ実際に使ってみてください。


ただしこのアイディアの注意点が1つあります。
それはなるべく着地点をコードトーンにすること!

今回のように

コードトーン>ペンタトニックスケール>コードトーン

の流れで使用するとハマるフレーズも

ペンタトニックスケール>コードトーン>ペンタトニックスケール

の流れにするとハマらないこともあります。

ちなみに基となるコードフォームをわかりやすくするために、ペンタトニックの色(青色)で図に書いてありますが、3小節目に登場している4弦&3弦の4フレットの音はBm7のコードトーンです。


なので3小節目のスライドを

7F>4F>7F

から

4F>7F>4F

に入れ替えても使用できます。


もし6弦ルートのBm7ではなく、5弦ルートのBm7を抑えた時は

4F>7F>4F

の方が自然かもしれません。
合わせて覚えておきましょう!


そして今回は2本の弦を同時にピッキングしていますが、これはもちろん1本の弦でスライドしてもいいですし、例えば4弦でスライドした後に3弦のスライドで戻るなど、アイデア次第でどんどんバリエーションが出てきます。


譜割りを変えたりするだけでもだいぶ印象が変わって、様々なシチュエーションで使用することができるので、いろいろ試してみましょう!


【その他ポイント】
偶数小節に登場する、2拍目8分裏からのシンコペーションにも気をつけましょう!

【演奏時のポイント】
まず気をつけたいのは、スライドをする時のリズムキープです。
左手だけのフレーズになる際はどうしてもリズムが不安定になりやすいので、気をつけましょう。


それとブリッジミュートですが、右手を置く位置や押さえる力加減でミュートの音が変わります。

最適なポジションと力加減を見つけましょう。


個人的には意識的に若干ブリッジ寄りでピッキングすると、いい感じかなと思います。



こんにちは、ギター講師の神田です!
今日は日々練習するときの音作りについて考えてみます。

僕がギターを始めた学生時代の教則本には、クリーントーンで練習すると良いと書かれた教則本がたくさんありました。


最近の教則本でも書かれていることはあるのでしょうか?



その理由は
・クリーントーンで練習する=ちゃんと弾かないと音が鳴らない=上手くなる
・歪んだ音で練習する=ちゃんと弾けなくても何となく音が鳴る=上手くならない
というような理由でした。

実際、私もよくクリーントーンで練習したものです。


たしかにその通りと思う部分ももちろんあるのですが、今回は練習時に必ずしもクリーントーンが◎、歪んだサウンドが✖︎ではないことをお伝えしたいと思います。



それはなぜか?

練習の意味が変わるから!



たしかにクリーントーンで演奏すると、しっかりフィンガリングして、しっかりピッキングして、両手をしっかりシンクロさせないと綺麗な音が出ません。

そういった意味ではクリーントーンの練習は効果が高いと思います。

また歪んだサウンドに比べてクリーントーンの方がピッキングのニュアンスが出やすいので、そういった面でもクリーンサウンドにアドバンテージがあると思います。


しかし逆に、クリーントーンでは鳴ってしまっているノイズに気付きにくいという弱点があります!


ギターという楽器は1本の弦を弾いている時、残りの5本の弦を鳴らさない(ミュートする)必要があるのです。


そしてノイズの音は歪ませた方が大きくなります。

つまり歪ませたサウンドで演奏する場合、ミュートがしっかりできていないと、ノイズだらけの汚い音になってしまうということです。


ここに歪ませて練習する価値があると思います。

結論から言うと歪ませた音とクリーンサウンド、どちらも練習しないといけないのです。
特にギター初心者の方は正しいフォームを身につけるためにも、重要です。

また歪んだサウンドとクリーンサウンドでは、カッコいいサウンドを出すのに別の技術が必要です。

例えばクリーンサウンドは強くピッキングしてしまうと、バチバチとアタックだけが強い音になってしまうことがあります。
逆に歪ませたサウンドではある程度強くピッキングしないと音の輪郭がぼやけてしまうのです。

歪ませた音とクリーンサウンドでは根本的に考え方が違います。

それぞれのサウンドでいい音を出すには、それぞれの音で練習して、その時のベストなピッキングを使い分けられるように準備しておく必要があるのです。



次に音量ですが、余裕のある大きさで練習するようにしてください。

音量が小さいと細かなニュアンスを出す練習ができないだけでなく、強くピッキングする癖がついてしまうことにつながります。


また普段小さい音で練習していると、スタジオのアンプで大きい音を出すと戸惑ってしまい、普段の力を出すことができないことがあります。


アンプなどの機材は大きい音量が出せるようにセッティングしておき、ギターのVolノブやピッキングなどで音量やトーンをコントロールする。

これができるようになると、演奏の幅が格段に広がります。

たまのスタジオ練習だけだとなかなか身につけるのが難しいので、普段から意識して練習しましょう。



最後になりますが音作りも含めてギターの練習です。

練習するときのサウンドに少し気を使うだけで、新しい気づきに出会えるかもしれませんね!


【著者プロフィール】

 10歳よりギターを始め、高校卒業後、MI JAPAN GITを卒業 卒業後はプロギタリスト山口和也氏に師事

自身も生徒としてレッスンを受けながら、並行してサポート活動やレッスン活動を開始


twitter アカウント:https://twitter.com/atsushi_0209

facebookアカウント:https://www.facebook.com/Atsushi0209

Instagramアカウント:https://www.instagram.com/canda0209/


『あなたの好きな曲で学ぶギター、音楽』をコンセプトにしたギタースクールを運営中

guitar school Facebookページ https://www.faceSchool-1733083876938580/?Guitar-book.com/Beginners-fref=ts


月に1度、誰でも参加できるバンドサークルを主宰しています 全パート、初心者から上級者までメンバー募集中です。 お気軽にご参加ください!

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全3回に分けて分析してきたアリスの『遠くで汽笛を聞きながら』もついに最終回となりました。
今回はアウトロについて考えていきましょう。

譜面を作成しましたので、良かったら弾いてみて下さい。

【コード進行】

まずはコード進行を分析していきます。

アナライズのためにローマ数字(ディグリーネーム)に置き換えると

Ⅰ-Ⅵm-Ⅳ-Ⅴ

Ⅰ-Ⅵm-Ⅳ-Ⅰ

となります。

今回のコード進行も、全てダイアトニックコードだけで作られています。


1-4小節目を前半、5-8小節目を後半と分けてみてみると、前半も後半も全体的なコード進行は似ています。

その中で、前半の4小節目にはドミナントであるⅤを配置することで、もう一回しアウトロが続くようにコード進行を循環させ、後半の8小節目にトニックであるⅠを配置することで、曲の終わった感じを演出しているのがポイントです。


【フレーズ】
今回も使用されている音を見てみましょう。

今回も基本的にはペンタトニックスケールを主体に構成されており、随所にダイアトニックスケールの音が追加されています。

こうやって見てみると、今回はダイアトニックスケール以外の音がないですね。


今回もペンタトニックスケール以外の音を見ていきます。
まず2小節目の最後から3小節目に登場するソ♭の音。

これはイントロ、ギターソロでも出てきましたが3小節目のコードがG♭(ソ♭シ♭レ♭)なので、コードトーンを意識して弾いています。

数小節先のコード進行を把握した上で演奏しているので、2小節目の4拍目ウラウラから次のコードに向けてしっかりと流れに沿って音が選ばれていますね。

次に登場するのは4小節目と5小節目に出てくるソ♭の音。

この時に鳴っているコードですが、それぞれ4小節目はA♭(ラ♭ドミ♭)、5小節目はD♭(レ♭ファラ♭)なので、ソ♭の音は4小節目のA♭にとってはm7th(key=D♭のとき、A♭は4和音にするとA♭7)、5小節目のD♭にとっては11thなので、D♭の3rdであるファの音に半音でアプローチする接近音(m2ndもしくはMaj2ndのインターバルからコードトーンに解決しようとする音)として捉えることもできるのですが、今回に関してはコードトーンを意識したというよりも、曲のキーであるD♭メジャースケールとしてポジションを見て弾いているんだと思います。


次に6小節目のドの音。
その時のコードはB♭m(シ♭レ♭ファ)なので、9thの音に当たります。

9thから半音上がってコードトーンであるレ♭にアプローチ(接近音)し、m3rdから9thを通過(経過音)してコードトーン(root)のシ♭に解決するこの動き。

ポジションこそ違いますが、前回のギターソロパートでも出てきました。

【その他ポイント】

今回のポイントは何といっても4小節目から5小節目にかけての速いフレーズでしょう。

早いフレーズを弾く、高い音程の音を弾くことは、その場を盛り上げる効果があります。


壮大なこの曲のラストを盛り上げる素晴らしいソロだと思います。
また今回のように同じフレーズを繰り返す奏法をラン奏法と呼びますが、ラン奏法も盛り上げる為によく使用される方法です。
合わせて覚えておきましょう。


【演奏時のポイント】
演奏時のポイントも4小節目から5小節目にかけた早いフレーズだと思います。
今回のフレーズではプリングが多用されています。

1音目をピッキングし、2音目をピッキングしないで演奏しますが、プリングは単純に指を真上に離しただけではしっかりとした音が鳴りません。


左手の指を離す際に少し下方向にひっ掻くイメージで離す事により、しっかり発音させる事を意識しましょう。

ピッキングしている音と同じ音量を出すことがポイントです。


いかがでしたでしょうか?

シンプルなペンタトニックスケール+αの音だけで、イントロ、ギターソロ、アウトロとメロディアスで美しいソロを構築することができるいい例だと思います。


また使用している音の一覧表を見ていただくとわかるのですが、使用されている音の数はそれほど多くないと思います。


スケールと聞くと難しそうとか、覚えるのが大変そうとかネガティブな印象を持ってしまう方もいるかもしれません。

そういった方は、いきなりスケールを全部のポジションで覚える必要はありません。


まずは好きな曲で使用されているポジションだけ覚える。

次に好きな曲に合わせてそのポジションだけで自由にアドリブをして遊んでみる。

そうすることで、楽しくスケールやフレーズが身につくのではないでしょうか?


これからも様々な曲を教科書として取り上げたいと思います。

最後までお付き合いいただきありがとうございました!



全3回に分けて分析してきたアリスの『遠くで汽笛を聞きながら』もついに最終回となりました。
今回はアウトロについて考えていきましょう。

譜面を作成しましたので、良かったら弾いてみて下さい。

【コード進行】

まずはコード進行を分析していきます。

アナライズのためにローマ数字(ディグリーネーム)に置き換えると

Ⅰ-Ⅵm-Ⅳ-Ⅴ

Ⅰ-Ⅵm-Ⅳ-Ⅰ

となります。

今回のコード進行も、全てダイアトニックコードだけで作られています。


1-4小節目を前半、5-8小節目を後半と分けてみてみると、前半も後半も全体的なコード進行は似ています。

その中で、前半の4小節目にはドミナントであるⅤを配置することで、もう一回しアウトロが続くようにコード進行を循環させ、後半の8小節目にトニックであるⅠを配置することで、曲の終わった感じを演出しているのがポイントです。


【フレーズ】
今回も使用されている音を見てみましょう。

今回も基本的にはペンタトニックスケールを主体に構成されており、随所にダイアトニックスケールの音が追加されています。

こうやって見てみると、今回はダイアトニックスケール以外の音がないですね。


今回もペンタトニックスケール以外の音を見ていきます。
まず2小節目の最後から3小節目に登場するソ♭の音。

これはイントロ、ギターソロでも出てきましたが3小節目のコードがG♭(ソ♭シ♭レ♭)なので、コードトーンを意識して弾いています。

数小節先のコード進行を把握した上で演奏しているので、2小節目の4拍目ウラウラから次のコードに向けてしっかりと流れに沿って音が選ばれていますね。

次に登場するのは4小節目と5小節目に出てくるソ♭の音。

この時に鳴っているコードですが、それぞれ4小節目はA♭(ラ♭ドミ♭)、5小節目はD♭(レ♭ファラ♭)なので、ソ♭の音は4小節目のA♭にとってはm7th(key=D♭のとき、A♭は4和音にするとA♭7)、5小節目のD♭にとっては11thなので、D♭の3rdであるファの音に半音でアプローチする接近音(m2ndもしくはMaj2ndのインターバルからコードトーンに解決しようとする音)として捉えることもできるのですが、今回に関してはコードトーンを意識したというよりも、曲のキーであるD♭メジャースケールとしてポジションを見て弾いているんだと思います。


次に6小節目のドの音。
その時のコードはB♭m(シ♭レ♭ファ)なので、9thの音に当たります。

9thから半音上がってコードトーンであるレ♭にアプローチ(接近音)し、m3rdから9thを通過(経過音)してコードトーン(root)のシ♭に解決するこの動き。

ポジションこそ違いますが、前回のギターソロパートでも出てきました。

【その他ポイント】

今回のポイントは何といっても4小節目から5小節目にかけての速いフレーズでしょう。

早いフレーズを弾く、高い音程の音を弾くことは、その場を盛り上げる効果があります。


壮大なこの曲のラストを盛り上げる素晴らしいソロだと思います。
また今回のように同じフレーズを繰り返す奏法をラン奏法と呼びますが、ラン奏法も盛り上げる為によく使用される方法です。
合わせて覚えておきましょう。


【演奏時のポイント】
演奏時のポイントも4小節目から5小節目にかけた早いフレーズだと思います。
今回のフレーズではプリングが多用されています。

1音目をピッキングし、2音目をピッキングしないで演奏しますが、プリングは単純に指を真上に離しただけではしっかりとした音が鳴りません。


左手の指を離す際に少し下方向にひっ掻くイメージで離す事により、しっかり発音させる事を意識しましょう。

ピッキングしている音と同じ音量を出すことがポイントです。


いかがでしたでしょうか?

シンプルなペンタトニックスケール+αの音だけで、イントロ、ギターソロ、アウトロとメロディアスで美しいソロを構築することができるいい例だと思います。


また使用している音の一覧表を見ていただくとわかるのですが、使用されている音の数はそれほど多くないと思います。


スケールと聞くと難しそうとか、覚えるのが大変そうとかネガティブな印象を持ってしまう方もいるかもしれません。

そういった方は、いきなりスケールを全部のポジションで覚える必要はありません。


まずは好きな曲で使用されているポジションだけ覚える。

次に好きな曲に合わせてそのポジションだけで自由にアドリブをして遊んでみる。

そうすることで、楽しくスケールやフレーズが身につくのではないでしょうか?


これからも様々な曲を教科書として取り上げたいと思います。

最後までお付き合いいただきありがとうございました!



アリスの名曲『遠くで汽笛を聞きながら』を弾いてみました。 

↓↓↓動画はこちら↓↓↓

https://youtu.be/HL4JAJ74b_o


譜面を作成しましたので、興味がある方はぜひ一度譜面を見ながら弾いてみてください!

第2回となる今回は『ギターソロ』セクションについて考えて行きます! 


【コード進行】

今回もまずはコード進行を見ていきましょう。

(上記譜面の1段目は前セクションからのピックアップなので、2段目から分析しています)


前回と同じようにコード進行をアナライズするためにローマ数字(ディグリーネーム)に置き換えてみると

Ⅰ-Ⅴ-Ⅵm-Ⅲm-Ⅳ-Ⅰ-Ⅴ
Ⅰ-Ⅴ-Ⅵm-Ⅲm-Ⅳ-Ⅴ-Ⅰ 

となります。

ちなみに5小節目から8小節目は前回のイントロと同じコード進行です。


『1小節目から4小節目』と『5小節目から8小節目』を見比べると、後半だけが異なります。 

『1小節目から4小節目』は最後にドミナントの役割であるⅤのコードを配置することで、5小節目のⅠに向かうように構成されています。


それに対して『5小節目から8小節目』は、7小節目から8小節目はⅣ-Ⅴ-ⅠとⅠに解決するコード進行にすることで、このギターソロセクションを一区切りさせるように構成されています。


ギターソロを一区切りさせて歌に戻りたいという作者の意図が垣間見えますね。

そしてコード進行の一部分を入れ替えるだけでこんなにも意味が変わるのは、とても興味深いことです!


【フレーズ】 

次に使用されている音を見ていきましょう。

上の図は今回のフレーズで使用されているポジションを図にしてみました。 

Introに比べると、少し使われている音が多くなっています。


今回もペンタトニック以外に使用されている音について考えてみましょう!


まずは2小節目の2弦10フレットで弾かれているラ♭の音。
これは前回のイントロでも出てきた補助音です。
補助音の復習ですが、コードトーンから半音、又は全音動いてコードトーンに戻る音のことでしたね。

今回の例ではバックでなっているコードがFmなのでm3rdから半音上のMaj3rdに寄り道して再度コードトーンであるm3rdに帰って来るような動きになっています。

理論を習ったことがある方の中には「マイナーコード時にMaj3rdを弾くなんて不謹慎だ!」と思う方がいるかもしれません。


ここでのポイントは短い音価であることと、最終的にコードトーンに戻っていることです。

長い音価で弾いてしまうと外れたように聞こえてしまう音ですが、コードトーンにしっかり解決することで、効果的に使われています。

何の音でも使い方によって効果的に利用できる良い例だと思います。

恐れず弾いていきましょう!


次に3小節目と7小節目に出てくるソ♭の音ですが、これはkeyのスケール内の音です。
又その時のバックのコードはG♭(ソ♭シ♭レ♭)なので、コードトーンを意識して弾いているんだろうなと想像することができます。

次に4小節目に出ているドの音ですが、これもバックでなっているコードA♭(ラ♭ドミ♭)のMaj3rdの音です。

また、ここのドの音ですが、3小節目4拍目ウラウラの16分音符から弾いています。

このようにメロディが先行して、次のコードトーンを先取りしている音を『先取音』といいます。

先取音を自分の演奏に取り入れるためには、実際に今演奏している小節より先の小節を常に考えなければいけません。

例えば自転車に乗る際、一寸先までしか見えていなかったら危険ですよね。

もっと先まで見通しておくことで、安全に自転車に乗れるはずです。


同じように演奏するときも、ある程度先の小節まで見ておくことで、次のフレーズの準備をしたり余裕を持って演奏することができます。

これはなかなか難しいことですが、身につけることができると演奏やアドリブのレベルがぐっと上がります。

まずは1曲、自分の1番好きな曲を何度も繰り返し、先の小節が意識できるようになるまで練習しましょう。

次に5小節目に一瞬登場するミの音。
その時鳴っているコード D♭に対してミの音はm3rd
これはなぜ出てきた音なのか?

実はこの音も音楽を聴いていると非常によく出てくる音です。

ギターの教則本を見ているとよく見かけるメジャーペンタ+♭3rdというアイディア。


♭3rdの音はブルーノートと呼ばれ、この音を弾くことでギターソロをブルージィにする力を持っています。
ただこの音も、長い音符で弾いてしまうと『間違えているのでは』とあらぬ疑いをかけられてしまいます。

今回のようにハンマリング・プリングで♭3rdの音を挟んでみたり、半音上のMaj3rdの音にスライドや半音チョーキングで解決するのが、王道の使い方です。


次に6小節目2拍目オモテに出てくるドの音。

その時のコードはB♭mですので、コードにとって9thという音になります。

その前に弾かれている音はB♭mのm3rdであるレ♭の音ですから、補助音と考えることができるでしょう。


次に2拍目ウラのドの音ですが、m3rd>9th>rootという音の流れになっています。

このように異なるコードトーンの橋渡しをしている音のことを、『経過音』と言います。


コードトーンだけだと音程に開きがあるので、経過音を使用することでメロディが滑らかに進んでいきますね。


【その他のポイント】
まず入りですが、今回はギターソロセクションの1拍前からピックアップして入っています。
前回のイントロは小節の頭が休符からフレーズが始まっていました。
前のセクションの最後からフレーズを始めることで、スムーズにギターソロセクションへ移動できる印象があります


【演奏時のポイント】
今回は基本的な1音チョーキングを始め、チョーキングした状態でピッキングするチョークアップ、半音チョーキングなど様々なチョーキングが使われています。


また、2小節目2拍目では1回のピッキングの後に左手のみでの音程のコントロールがあります。

左手だけで音程とリズムをコントロールしないといけないので、注意が必要です。


そして6小節目ですが、運指の都合上人差し指での半音チョーキングが出てきます。

半音チョーキングではありますが、人差し指でのチョーキングは慣れるまで難しいかもしれません。
手首の回転を利かせ、いかに力を使わずに音程を上げることができるか自分なりに試行錯誤をしてみてください。

また2小節目の4拍目には小指でのハンマリング・プリングが出てきます。
多くの人にとって小指というのはどうしても1番動きにくい指だと思います。
小指でのフィンガリングだけ音が小さくならないよう注意しましょう。



アリスの名曲『遠くで汽笛を聞きながら』を弾いてみました。

↓↓↓動画はこちら↓↓↓

https://youtu.be/HL4JAJ74b_o


譜面を作成しましたので、興味がある方はぜひ一度譜面を見ながら弾いてみてください!

そして今回から3回に分けて『イントロ』『ギターソロ』『アウトロ』を分析してみたいと思います。

 第1回目の今回は、イントロを考えてみます。


【コード進行】
まずはコード進行を見ていきましょう。

今回のコード進行をアナライズするためにローマ数字(ディグリーネーム)に置き換えてみると

I-V-VIm-IIIm-Ⅳ-Ⅴ-Ⅰ

となります。


すべて曲のkeyのダイアトニックコードですね。

このコード進行について特に解説するようなポイントはないのですが、非常によくあるコード進行ですし、とても美しいコード進行なので、覚えておくときっと役にたつと思います。


【フレーズ】

 次に使用されている音を見ていきましょう。

上の図は今回のフレーズで使用されているポジションを図にしてみました。

ほとんどがペンタトニックスケールの音で構成されています。


こうやって図にしてみると、4小節あるイントロの中で、ペンタトニックスケール以外の音はたった2つしか使われていないことがわかります。 

ひとつは2弦7フレットのソ♭の音、もうひとつは1弦12フレットのミの音です。

それ以外はすべてこの曲のkeyであるD♭メジャーペンタトニックスケールだけで構成されています。
ではなぜその2つの音はそこに登場したのでしょうか?


まずソ♭の音ですが、曲のkeyであるD♭メジャースケールの音です。

なので比較的登場しやすい音だといえます。


さらに注目していただきたいのはその時のコードです。

ソ♭の音が強調されている3小節目前半のコードはG♭(ソ♭シ♭レ♭)、つまりバックで鳴っているコードのコードトーンを弾いているのです。 

このように随所にしっかりコードトーンを取り入れることで、何気ないペンタトニックスケールのフレーズが、曲のコード進行に沿ったメロディアスなフレーズに早変わりします。 


最初のうちはペンタトニックスケールを弾きながらコードトーンを見つけるのが難しいのですが、例えば慣れるまでは「この小節のこのコードだけは絶対コードトーン弾く」という感じでポイントを絞るとやりやすいと思います。


次にミの音ですが、その時のバックに鳴っているコードA♭(ラ♭ドミ♭)です。

ミが登場する箇所を見てみると、ミ♭>ミ>ミ♭と言う音の流れになっています。 

このミ♭の音ですが、実はA♭のコードトーンなのです。


このようにコードトーンから半音、もしくは全音動いて元のコードトーンに戻る音のことを補助音と言います。

つまりこのミの音は、A♭のコードトーンであるミ♭の補助音として登場しているのです。 


そして補助音を使用するポイントですが、あまり長く弾いてしまうとミストーンに聞こえることがあります。

特に今回の補助音であるミの音は、曲のキーであるD♭のダイアトニックスケールに出てこない音なので、注意が必要です。


【その他ポイント】

注目したいのはフレーズの入り方。
16分休符休んでからフレーズが始まっています。

1拍目オモテから弾き始めるのはとてもシンプルでわかりやすいのですが、場合によっては少し幼稚なイメージになってしまうこともあります。


そこで、このように意識して1拍目オモテを外してフレーズを始めることで、同じフレーズを弾いても洗練されたイメージになります。

特に今回は使用されている音のほとんどがペンタトニックスケールのシンプルなフレーズなので、リズムを少し意識して複雑にしてあげると、バランスが取れるかもしれませんね。 


そして今回のポイントは何よりペンタトニックスケールのフレーズながらも、コードの変わり目でしっかりコードトーンを捉えているところがこのフレーズの美しさの秘密だと思います。


【演奏時のポイント】

テンポが遅く、シンプルなフレーズなので、ニュアンスが特に重要になってきます。

チョーキングをするときは、いつもより若干ゆっくり音を持ち上げるように意識することで、この曲の雰囲気に合う感じで演奏することができました。