名曲『遠くで汽笛を聞きながら』のGt Soloフレーズを分析してみる | 五線譜が読めなくても問題なし。ギターで学ぶ音楽講座

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難しく考えがちな音楽理論を極力専門用語や音符を使わず、ギターに置き換えて解説していきます。
実際の曲を使ってギターや音楽を学んでいきましょう。

アリスの名曲『遠くで汽笛を聞きながら』を弾いてみました。 

↓↓↓動画はこちら↓↓↓

https://youtu.be/HL4JAJ74b_o


譜面を作成しましたので、興味がある方はぜひ一度譜面を見ながら弾いてみてください!

第2回となる今回は『ギターソロ』セクションについて考えて行きます! 


【コード進行】

今回もまずはコード進行を見ていきましょう。

(上記譜面の1段目は前セクションからのピックアップなので、2段目から分析しています)


前回と同じようにコード進行をアナライズするためにローマ数字(ディグリーネーム)に置き換えてみると

Ⅰ-Ⅴ-Ⅵm-Ⅲm-Ⅳ-Ⅰ-Ⅴ
Ⅰ-Ⅴ-Ⅵm-Ⅲm-Ⅳ-Ⅴ-Ⅰ 

となります。

ちなみに5小節目から8小節目は前回のイントロと同じコード進行です。


『1小節目から4小節目』と『5小節目から8小節目』を見比べると、後半だけが異なります。 

『1小節目から4小節目』は最後にドミナントの役割であるⅤのコードを配置することで、5小節目のⅠに向かうように構成されています。


それに対して『5小節目から8小節目』は、7小節目から8小節目はⅣ-Ⅴ-ⅠとⅠに解決するコード進行にすることで、このギターソロセクションを一区切りさせるように構成されています。


ギターソロを一区切りさせて歌に戻りたいという作者の意図が垣間見えますね。

そしてコード進行の一部分を入れ替えるだけでこんなにも意味が変わるのは、とても興味深いことです!


【フレーズ】 

次に使用されている音を見ていきましょう。

上の図は今回のフレーズで使用されているポジションを図にしてみました。 

Introに比べると、少し使われている音が多くなっています。


今回もペンタトニック以外に使用されている音について考えてみましょう!


まずは2小節目の2弦10フレットで弾かれているラ♭の音。
これは前回のイントロでも出てきた補助音です。
補助音の復習ですが、コードトーンから半音、又は全音動いてコードトーンに戻る音のことでしたね。

今回の例ではバックでなっているコードがFmなのでm3rdから半音上のMaj3rdに寄り道して再度コードトーンであるm3rdに帰って来るような動きになっています。

理論を習ったことがある方の中には「マイナーコード時にMaj3rdを弾くなんて不謹慎だ!」と思う方がいるかもしれません。


ここでのポイントは短い音価であることと、最終的にコードトーンに戻っていることです。

長い音価で弾いてしまうと外れたように聞こえてしまう音ですが、コードトーンにしっかり解決することで、効果的に使われています。

何の音でも使い方によって効果的に利用できる良い例だと思います。

恐れず弾いていきましょう!


次に3小節目と7小節目に出てくるソ♭の音ですが、これはkeyのスケール内の音です。
又その時のバックのコードはG♭(ソ♭シ♭レ♭)なので、コードトーンを意識して弾いているんだろうなと想像することができます。

次に4小節目に出ているドの音ですが、これもバックでなっているコードA♭(ラ♭ドミ♭)のMaj3rdの音です。

また、ここのドの音ですが、3小節目4拍目ウラウラの16分音符から弾いています。

このようにメロディが先行して、次のコードトーンを先取りしている音を『先取音』といいます。

先取音を自分の演奏に取り入れるためには、実際に今演奏している小節より先の小節を常に考えなければいけません。

例えば自転車に乗る際、一寸先までしか見えていなかったら危険ですよね。

もっと先まで見通しておくことで、安全に自転車に乗れるはずです。


同じように演奏するときも、ある程度先の小節まで見ておくことで、次のフレーズの準備をしたり余裕を持って演奏することができます。

これはなかなか難しいことですが、身につけることができると演奏やアドリブのレベルがぐっと上がります。

まずは1曲、自分の1番好きな曲を何度も繰り返し、先の小節が意識できるようになるまで練習しましょう。

次に5小節目に一瞬登場するミの音。
その時鳴っているコード D♭に対してミの音はm3rd
これはなぜ出てきた音なのか?

実はこの音も音楽を聴いていると非常によく出てくる音です。

ギターの教則本を見ているとよく見かけるメジャーペンタ+♭3rdというアイディア。


♭3rdの音はブルーノートと呼ばれ、この音を弾くことでギターソロをブルージィにする力を持っています。
ただこの音も、長い音符で弾いてしまうと『間違えているのでは』とあらぬ疑いをかけられてしまいます。

今回のようにハンマリング・プリングで♭3rdの音を挟んでみたり、半音上のMaj3rdの音にスライドや半音チョーキングで解決するのが、王道の使い方です。


次に6小節目2拍目オモテに出てくるドの音。

その時のコードはB♭mですので、コードにとって9thという音になります。

その前に弾かれている音はB♭mのm3rdであるレ♭の音ですから、補助音と考えることができるでしょう。


次に2拍目ウラのドの音ですが、m3rd>9th>rootという音の流れになっています。

このように異なるコードトーンの橋渡しをしている音のことを、『経過音』と言います。


コードトーンだけだと音程に開きがあるので、経過音を使用することでメロディが滑らかに進んでいきますね。


【その他のポイント】
まず入りですが、今回はギターソロセクションの1拍前からピックアップして入っています。
前回のイントロは小節の頭が休符からフレーズが始まっていました。
前のセクションの最後からフレーズを始めることで、スムーズにギターソロセクションへ移動できる印象があります


【演奏時のポイント】
今回は基本的な1音チョーキングを始め、チョーキングした状態でピッキングするチョークアップ、半音チョーキングなど様々なチョーキングが使われています。


また、2小節目2拍目では1回のピッキングの後に左手のみでの音程のコントロールがあります。

左手だけで音程とリズムをコントロールしないといけないので、注意が必要です。


そして6小節目ですが、運指の都合上人差し指での半音チョーキングが出てきます。

半音チョーキングではありますが、人差し指でのチョーキングは慣れるまで難しいかもしれません。
手首の回転を利かせ、いかに力を使わずに音程を上げることができるか自分なりに試行錯誤をしてみてください。

また2小節目の4拍目には小指でのハンマリング・プリングが出てきます。
多くの人にとって小指というのはどうしても1番動きにくい指だと思います。
小指でのフィンガリングだけ音が小さくならないよう注意しましょう。