弦楽四重奏曲第1番 「我が生涯より」 | yamaotokoのひとりごと

弦楽四重奏曲第1番 「我が生涯より」

 今日はこちらのCDを。


『わが祖国』全曲、歌劇『売られた花嫁』全曲、祝典交響曲、他(10CD)

 

 最近はやり?の激安ボックス。10枚組で2510(HMV店頭)。中古店だと1000円前後。


 「我が祖国」全曲、「売られた花嫁」全曲、「ダリボル」全曲の他管弦楽曲、ピアノ曲と室内楽曲がセット。


 我が祖国とオペラ2曲は少し古いモノラルのもの(我が祖国はターリヒの1941年盤)で、他はステレオ。難は色々な音源からの寄せ集めなので、ピアノ曲はダブりが多いこと、室内楽はトラック数が少ない(1曲に1つ!)ことなど文句を言いたいこともあるが、お値段がお値段なので許してしまう。。。


 この中で10枚目のCD、ヴァイオリンとピアノの「我が故郷から」、弦楽四重奏曲第1番「我が生涯から」、弦楽四重奏曲第2番の3曲が入っているのを、今日は繰り返し聴きながら仕事をしていた。


 スメタナの時代のチェコはハプスブルク家のオーストリアの支配下にあり、1848年のいわゆるフランスの二月革命のあと、オーストリアやドイツで三月革命が起こり、ドイツの統一が議論されるようになる。その際に問題になったのがゲルマン民族のみのドイツをつくるか、他の民族も含めたドイツをつくるかであり、そのことはプロイセンが盟主となるかオーストリアがなるかの覇権争いに結びつく。ドイツ統一のための憲法制定会議(フランクフルト国民会議)が開かれた際に多民族による大ドイツ主義を主張する弁者としてチェコの歴史かで政治家でもあったパラツキーが演説し、スメタナもそこにいたとされる。

 このような歴史的な動乱の中でスメタナは我が祖国や9曲のオペラを書いているが、これらは民族色が濃く、愛国心を鼓舞するような曲が多い。それに対して、二曲の弦楽四重奏は晩年にスメタナが聴力を失った直後(梅毒が原因?)の作品で、個人的、内省的な性格が強い。「我が祖国」も聴力を失ってからの作品のようだが、あの管弦楽の色彩感は頭の中だけでなせる技なのか?ベートーヴェンの「田園」と同じか?


 2曲の弦楽四重奏のどちらが好きかと問われると時によって異なるが、今はこの1番の方がやや好きか。

 このCDでは1番はターリヒ四重奏団、2番はパノハ四重奏団が演奏(どちらもライブで会場ノイズ入り)。

 

 聴き所は第3楽章か。自身のはかない幸せを回想しているような楽章だが、そのはかなさがよく伝わってくる。

 終楽章のリズムの切れや息の合い方も素晴らしいとおもう。