渡航から5か月が経ちました。感想文を書き始めて5回目にして、初めて自宅以外でこれを書いています。

子ども達が近隣の大学生に宿題を手伝ってもらう「勉強会」に参加している間、母一人の待機時間。

周囲からはビジネスマンらしき男性二人組の英語、その向こうの家族からはヒンドゥー語、その隣の数人の学生グループから韓国語、右手方向からは動画を見ながら楽しそうに談笑する女学生の英語、そのもっと向こうからはラップトップに向かってそれぞれ課題に取り組む学生たちが見られます。多国籍なこの街らしい風景で、母一人で過ごすこんな時間が、とても今の私たちの生活をよく表している気がします。なぜなら子ども達が自分たちでできること、さらには自分たちでやりたいから手伝わないで欲しいと主張してくることも増えてきて、母も一人で過ごすことも増えてきたからです。

 

生活面では子ども達だけ誕生会に呼ばれたり、放課後に音楽室に残って友達と楽器を演奏したりと子ども達だけの世界がまた広がりました。勉強面では2学期の中間成績表がでました(以前の感想文で、1学期のみ中間成績表があると書いてしまいましたが、二学期にもありました。学校連絡の行き違い、留学あるあると思ってどうぞお許しくださいませ!)。成績表前後で子ども達と話し合い、担任の先生とも相談して今一度学校での子ども達の勉強内容を見直しました。

 

ここまで来ると母は、つきっきりというよりは意識的に距離を置き、間違って理解し実行していないか、またはサボっていないかだけ目を光らせながら見ていないふりをすることも増えました。こんな余裕が少しでもできるまで我が家の場合は5か月かかったことになります。

★生活全体のこと

クリスマスというきらびやか季節が終わると、年末年始の冬休みに突入。年末年始は家でゆっくりとさせていただき、公園を散策したり、フリスビーをしたり、とてものんびりと過ごすことができました。

「節約留学」の我が家は大きな旅行などの豪華なイベントはもちろんなく、その代わりに(?)冬休みに入る前にクラス担任に年が明けてからの学習予定を教えてもらい、扱うプリントを事前にEmailで送ってもらって冬休みの間に全部辞書ひき。子ども達の反発はそれはそれは大きかったですが(笑)、新年授業が始まってから「あれやっておいて良かったわ、楽だわ~」と言っているので結果OK。

冬休みが終わり学校が始まると、「音楽留学だったかしら」と時々錯覚するほど再び音楽三昧の日々。息子は友人にチェロを教えてもらいに二人で「30分くらい」と音楽室に入っていったまま2時間くらい出てこず、私と娘はひたすら廊下の椅子で音楽室から漏れてくるチェロを聞きながら娘の宿題を済ませます。その他にも吹奏楽部の様なもの、教会、勉強会と平日は時間が取りづらいため、宿題や予習は極力週末に一週間分終わらせます。もちろん週末に終わらなかったり、突如出た宿題に追われて母子でぎゃーぎゃーやっていることもたくさんで、その隙間時間、待ち時間にドーナツ屋さんで一息つくのが私の好きな家族の時間。(無料Wi-Fi&コンセント豊富、カナダのファストフード店素晴らしい!)

週末の土日は、両日ともに勉強だけだと子ども達にブーブー言われはじめるので、一日は宿題と予習の日にあてて、もう一日は市民プールに行ったり、、、

ボランティアに行ったり(各学期に8時間以上のボランティア活動をするという課題があります)、、、

といった週末です。

 

★子ども達の勉強のこと

 新年が始まったら各教科の課題や単元が新しくなってしまったので、今まで覚えた英語も一掃、新たに登場する専門用語など全て辞書の引き直し。理科や社会では医学や生物学の用語も並びます。持参した簡易な辞書には載っておらず、携帯電話のGoogleで検索しないと分からないものもあります。英語の授業の中で使う小説も新しくなったので、全て読み直し(涙)。私達が小説に苦労しているのはクラス担任も理解して下さっているので、次の小説を前々に渡してくださり、これを辞書ひき、一緒に音読して、意味を読みこんで、加えてネットで映画版を見たり、図書館でもっと簡単な版を読んだり。私はこちらに来て子ども×2人分と自分の読書会の分と何冊小説を読んだでしょう。。何百語辞書ひいたでしょう。。

 

また授業内容の変化として、発言の機会が多くなりました。例えば、英語の授業では今まで小説を読んでから個々で読解問題のプリントを解くのが中心だったものも、今はグループを作って意見を出し合って話し合うことが中心になりました。話すという段階は、単語や文を理解していないと難しいものだと思います。子ども達も何も分からず輪の中にいるのは居心地が悪いと思うので予習して授業に参加した方が楽しそうです。

 

 どの教科も内容も難しくなってきたことで私では太刀打ちできずどうしようかと悩んでいた折、子供向けボランティアの勉強会があると聞き速攻参加させることに。週1回、2時間、学校の宿題を中心に地元の大学生に教えてもらっています。入会時に、その勉強会の事務の人から学校のクラス担任に記入してもらってくるようにとアンケート用紙が渡され、クラス担任に記入をお願いすると、子ども達の勉強態度、得意不得意、勉強会でフォローして欲しいことなどが書かれていました。学校とも連携して教えてくれて、英語を聞く機会にもなり、私が教えなければいけないことも減り、お菓子とジュースもついて、子ども達に聞くと解説も分かりやすいとのこと。一石多鳥です!

 

娘は相変わらず勉強三昧。日本ではここまで勉強好きではなかったのですが、授業の内容が実践的だったり、ペースが早すぎない、彼女の好きな動物の話題が多いということからか何故か勉強にハマりました。英語勉強中の身分でありながら、先日は先生から頼まれてクラスメイトに算数を教えることもあったそうです。それは喜ばしいことなのですが、休み時間も返上で机に向かっている様子なので、その分クラスメイトとの交流が増えていないのではないか母は危惧。先日転校生がやってきて、その子と一緒にいることが多いそうなので、カナダで今出会う人との出会いももっと大切しながら過ごしてもらえたらと欲の出る母です。

 

★子ども達の2学期中間成績表のこと

 先週、2学期の中間成績表がでました。学期末の成績表に比べれば簡単なもので、A4サイズ1枚に、英語、社会、ADST(技家の様なもの)、数学、理科、フランス語、音楽、美術、体育それぞれに、4段階評価(3~1段階評価と判定不可)があり、その他に聖書の暗記についての評価が記載されています。1学期の経験から言うと、中間成績の成績は「寛大」で、この調子でいいかなと思っていると学期末の本成績表は「あれれ?」ということにもなりかねない気がします。理由としては、学期末にかけて学習の難度が上がっていくことや、%評価なので小テストなどで落としている点数などはそのまま継続していくと積み重ねとして後から大きく影響してくるからだと思います。学校からの解説にもあったのですが、「あくまでも中間地点での指標」の様な役割ととらえ、大きく遅れているものはないか、あれば理由は何か学校と連絡を取るよいきっかけととらえると有効と思います。

 

 わが子たちは1学期の中間成績表や本成績表と比べても成績を上げてきました。はて?なぜ?私も驚き。英語がネックになってまだまだクラスメイトに助けてもらうことの方が多いはずなのですが、基本的な意思疎通のための英語力がついてきた影響かなと思います。子ども達がとても喜んでいたので、その日の夕飯はお祝いに丸焼きチキンとレモンパイでした!(それぞれ800円、300円ほどなんですけど、これが至福!)

 

我が家は一年間の留学なので、私は成績自体はあまり気にしていません。帰国後公立学校にもどるので、もしかしたら留学中の成績自体詳しく見せる機会もこの先ないかもしれません。成績表の評価よりは、もっとざっくりと「子どもが沢山学んで、たくさん遊んでくれればいいやぁ」くらいのどんぶり勘定でしか考えていませんでした。けれど、今まで3回成績表をカナダで手にして、日本では感じなかった良い面も見えてきました。

 

母にとって

・学校での子どもの様子について、学校/先生と話すきっかけ作りになる

下校時子どもが持ち帰った成績表を子ども達と覗いていたら、たまたま通りかかったクラス担任に声をかけられ、どんなことをがんばっているか、あとどんなところをがんばればいいかと立ち話になりました。保護者は日々の授業は覗けません。ですが、子どもが授業を、学校を楽しんでいるかどうかはこういうところで垣間見ることができると思います。

 

子どもにとって

 ・やった分は大きく評価され自信となる

成績表の扱いが結構オープンです。1学期終了後も優秀者・準優秀者の名前が成績順に廊下に貼り出されました。また授業中にも、もちろん芳しくない成績は公にされたりしませんが、良かったものに関しては名前と点数まで先生が躊躇なく公表します(笑)。最初は子ども達も驚いていましたが、それが自信となり、クラスメイトとたたえ合い、勉強に対する動機付けになっている様子です。

 

 ・自己管理につながる

今回最高評価を取れなかった科目に関して、子どもが「お母さん、ちょっと待ってて。これ先生になんでか聞いてくる」と言って中間成績表を持って教室に1人で入っていき、数分後に「この前の点数悪かったテストだって~~!」と笑顔で出てきました(笑)。(前回も書きましたが、成績表のこの論理的なつけ方、生徒への分かりやすい伝え方、相変わらず爽快!)。成績表を通して、子どもが自己評価し自己管理する時間につながっているようです。

 

★子ども達の英語

5か月目、授業内容以外ではほぼ自力で学校での生活をこなせるくらいの「基礎の基礎力」がついてきています。分からないことがあったら今までは私が英語を教えていましたが、今は「どうするか聞いてきて」と日本語のまま伝えればなんとか答えをもらってきます。意識的に私から担任にEmailで聞く機会を減らし、どんどん子ども達が英語を駆使し、人と関わる機会を増やしています。

<スピーキング>

クラス担任から、DVDを字幕付きでみたらどうかとアドバイスをもらったので、冬休みに図書館からDVDを借りてきました。

学校で使える英語が見聞き出来ればと思って「学園もの」のTVドラマを推薦しましたが、娘はよく見ているものの、息子は残念ながらあまり好まずスターウォーズなどを好んでみています。最初に変化が現れたのは娘の方で、なぜか「ライティングが楽になった」そうです。字幕を読んでいるうちに、「主語+動詞+・・・」の様な基本的な組み立て方が繰り返し見られたことによるかもしれません。Yes, Noも言わなかった内気な娘が、転校生とも短いながら会話しているというので成果はあったと思います。息子は楽器の練習時間も多いためDVDも少しずつです。先日「友達との雑談はだいぶ続くようになったけど、授業中の英語は難しい」と言っていました。文法も単語も誤用が多々ですが、この辺は継続しかないと思います。

 

<ライティング>

エッセイのような長文を書くことは今までにも数回しかありませんが、教科書の問題に答える際に、1~5行くらいの文章で答えることは日ごろから多々あります。典型的な日本語話者のミスとして主語を省略して書いたりもあるので、「主語、動詞!」と繰り返し教えいます。いまだに混乱が多いのは、

・3単元のs

・動詞の過去形

・過去&現在進行形

・現在完了、過去完了

・助動詞(can/could、will/wouldなど)

・スペルや音が似た単語の誤用

などです。私は子ども達に英語の文法を教えたことがありません。ネイティブでない私の不自然な英語を覚えてほしくなかったためです。が、上記は日常会話から読み取って使い分けるのは難しいようで、5か月目に入っても混乱する一方の様子。一度整理するくらいは私から教えるか、学校の英語の先生にどのような方法が良いか相談する予定です。

<リスニング>

 だいぶ「楽」そうです。学校ではクラスメイトにも100%お手伝いして頂いていた立場から、友達のお手伝いができることも増えてきました。また息子が1学期のボランティアの課題で通っていた乗馬セラピーに先日1か月ぶりくらいに行ったのですが、以前は仕事内容の説明さえ聞き取れないためにボランティアどころかお荷物になって気まづい場面もあったそうですが、今は仕事説明も休憩時間の雑談も理解できることが増え、そのため初歩的な仕事からさらに踏み込んだ馬の手綱ひきまでやらせてもらうことができたそうです。馬との交流が楽しかったこと、帰る時に「またすぐ来てねぇー」と懇願されたことを話してくれました。やはり聞いて理解できる、ということは大きいです。

 

★保護者の英語について

 子どもが「海外でも結構暮らせるもんだね」と突然言うので詳しく聞くと、「お母さんが英語話せれば、分からないことも聞いてもらえるし、どうにかなったから」だそうです。なんて単純な・・・・(笑)子どもの留学と保護者の英語力の関係が気になった言葉だったので、この5か月で感じたことを少し書いてみたいと思います。

 

 大前提として保護者が英語を話せなければ子どもは留学できないかということはそんなことはなく、留学したいのも、勉強するのも子どもなのですから飛び込めばいいと思います。また普段通り生きていくだけならそこまで高度な英語は必須ではなく、買いたいものをレジに持っていけば買えますし、子ども達の学校も車で行って子ども達を置いて帰ってくれば登校は出来ます。

 

では、保護者である私が英語を話すことの影響ってなんだったのだろうと考えたとき、子ども達が「自分も留学が楽しいと思えるステージまで到着するのを早めることができた」ということが大きいと思います。たまたま私は「英語中毒」で、中学の義務教育課程で英語に出会ってから楽しくていまだに勉強し続けています。勉強する後姿を子ども達はずっと見ているので「勉強に近道はない」ことも理解して学習を辞めることはないし、完全な英語でなくても駆使して多国籍の友人と笑いあう私を見ればそれが楽しいこと、楽しいことにつながることであることも感じていると思います。そして今回の渡航後も私が学校と話す、クラス担任と話す、彼らの友達と話す姿を一緒に見てきて、それは当たり前のことであり、そのうち「楽しそう」に見え、「今度は自分で」と思うところまで移行してきたと思います。

 

学校や子ども達のクラスで、様々な国の背景をもつ保護者がいます。なかには学校の提出物を子どもが出していないことを知らない、子どもが宿題をほぼ毎回やっていないことを知らない、そんな保護者の方々も見かけます。それぞれの背景のそれぞれの考え方があり、絶対しなくてはいけないわけでは決してないのですが、そのために子どもが自信なさげに、楽しくなさそうに、または反抗的に振る舞う姿を見るのは心が痛みます。

 

 学校で子ども達がどんな風に過ごしているのか、元気に楽しくしているのか、否なら原因はなにか、どうすればいいのか、筆談でも、Emailでも、携帯電話でネット翻訳をかけて画面を見せるでもなんでもいいので先生に話しかける、そんな簡単なことでいいのだと5か月目の私も感じています。学校と子どもとの間に保護者が首を突っ込む、友達になりたいけどなり方が分からないクラスメイトと子どもとの間にお節介に入って行って話す機会を作ってみる、そんなタイミングを作るだけで子ども達の居場所も居心地も好転することが沢山あると思います。

 

 全ては子どもの笑顔のため、延いてはその笑顔を眺めてニヤリと一人喜ぶ自分のため。出すぎてもいけないのでバランスは本当に難しいですが、「見る」これだけはこれからも続けていこうと思っています。

 

以上、5か月目のこちらでの生活、子ども達の様子でした。6か月目に突入していきます。日本にいる友人に残りの期間で何がしたいかと聞かれ、あまり出てこない自分に驚きました。お陰様で本当に満足していて、母子それぞれが日本では出会えなかった人々と、日本では経験しなかった経験をしています。こんな日常が継続できて、今まで常識と思っていたことが非常識だと認識させられるような驚きと発見がこれからも続いていけば大満足。

 

とはいえ、息子は早くスキーに連れて行ってほしいと催促激しいし、学校の音楽の保護者向け演奏会で子ども達それぞれ友達と弾くことになったから練習が始まるらしいし、近隣の公園のフクロウのバードウォッチングにまだ行けていないし、娘は相変わらずモジモジして英語話さないのでもっと積極的に話して欲しいし、こちらで出会った台湾出身の友人と2月のチャイニーズニューイヤーにチャイナタウンに両家族合同で一緒に行くことになったし、同じくインド出身の知人からは4月にインドの大きなお祭りがあって食べ物が豪華だから必ず行きなさいと言われているし、同じくカナダ出身の友人からはお勧めのピザクラストがあるから一緒に買いに行こう、あと雪山ハイキングに行こうと誘ってもらって是非行きたいし、そしてまさに私たちの“Home”である滞在先のご家族のもとに私はホッとお話ししに、子ども達は憧れのお兄さんたち、お姉さん達に会いにも伺いたいし。

 

やりたいこと、やらなければいけないことまだまだあります。一つずつ大切にこなしていきながら、たくさんの人とたくさんの時間を共有していくこと、まさにそれらを残りの期間でやっていこうと思います。

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後日談

「ご縁って本当に素晴らしいですね。少し極端な言い方ですが英語はどこでも学習できるかもしれません。でも、カナダの空気はカナダでしか吸えず、今私たちが出会っている全ての人たちにも、カナダに来なければ出会えませんでした。滞在先のご家族しかり、中野さんもしかり、我が家に多大なる影響を与えて下さった方々、ご縁に感謝しています!また来月までにどんなびっくりが待っているか、また楽しんで参ります!!」

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時間と費用をかけた留学と言う冒険を

どんな風に過ごせば有意義なものに出来るか

毎回、沢山のヒントが書かれている感想文をありがとうございます。

カナダと言う大地に立って学ぶ英語は

日本で学ぶ英語とはやはり大きく違います。

お子さんが肌で感じる異文化の経験は必ず将来に大きく役立ちます。

お子様と一緒に新しい事にチャレンジしてクリアしていく

本当の意味の子育てであり、教育だと思います。ニコニコ