渡航から2か月が経ちました。待ちに待って待って実現したカナダ生活は、悲しいくらいあっという間に「日常」として過ぎ去っていきます。でもこの「日常」が子ども達に与えたかったそのものなので、それが一番ありがたいことです。
【2か月目】
★子ども達の様子
渡航して新天地で知っているものが「0」の生活から1秒1秒を重ねていく過程で、子ども達にも慣れ、楽しみ、喜び、大変さ、新しい課題、様々が顔を出し始めた2か月目でした。彼らにとっては得体のしれない言語で全てをこなすことは、きっと私には理解できないほど大変なこともあると思います。けれど自分でやりたいことを見つけ、どうやったら出来るかを考え、言語が違おうが知っている人がいなかろうが果敢に(または、何も考えずに(笑))向かっていく様子はまさに成長だと嬉しく思います。今回印象深かったのが、二人が「学校で△△と話しているとき先生に怒られた!」「クラスメイトの○○君、嫌い!」などと言いはじめたことです。子ども達は真剣に悩んでのことですが、私はむしろ安堵と嬉しさを感じながら聞いています。私がまったく英語を話せない頃、英語学校で何も分からない、話せない、話したくないと緊張で固まっているとき、英語で友達と話して英語で先生に怒られるなんて考えられないことでした。存在を消し、「無」でした(笑)。でも子どもって2カ月もするとクラスの一員になり始めるのかぁとびっくり。「そうなんだ~、大変ねぇ~」と調子を合わせながらも、心の中では彼らがこちらでの生活や英語に根を下ろし始めたことに安心し、心底うらやましい母です。
息子も娘たちも、加速していく学校の授業に喰らいついて行きながら(喰らいついていけなかったものも・・・。詳しくは後述。)、息子は二つ目の音楽活動(日本の部活動の様なもの)も開始し、娘はバレエを週2日行きながら息子と同じ音楽活動も一つ始めました。
加えて、息子がクラスメイトに誘われたことから学校の教会で週1回夜に行われる若者向け集会に参加し、娘も一緒に行きたいといい二人で行き始めました。夜の6時30分から9時までという日本の感覚では遅い時間帯ですが、専任の若い牧師さんもついて聖書に関するお勉強を挟み、大音量で流れるポップミュージックを聞きながら、大きな画面でTVゲームをして、夕飯もみんなで一緒に食べて、隣接の体育館でスポーツも出来、まさに「こどもの城」。はたからみたらパーティー?!仲の良いクラスメイトも来ていることから、この日は二人とも朝から楽しみにしています。
≪写真・若者向け教会の集会≫
息子は学校で、1学期中に8時間以上のボランティアをするという長期の課題があります。来たばかりで「つて」の無い私たちはどこでボランティアなどやってよいか分からず、ネットからボランティア募集を探し、動物好きの彼は乗馬セラピーの団体でボランティアに参加することになりました。
こうなってくると結構忙しいです。待ち時間や空き時間に駐車場で宿題、次の日の授業の辞書ひきをすることも増えました。
≪図・中2と小6のカナダ留学の1週間の様子≫
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早朝 |
放課後 |
夜 |
●曜日 |
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息子:音楽活動 娘:音楽活動 |
息子:教会 娘:バレエ&教会 |
●曜日 |
息子:音楽活動 |
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●曜日 |
息子:音楽活動 |
息子:音楽活動 娘:音楽活動 |
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●曜日 |
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娘:バレエ |
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●曜日 |
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土曜日 |
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息子:ボランティア |
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日曜日 |
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加えて、憧れの滞在先の優しいお兄さん&お姉さん方と遊んでもらうのが何よりも好きな子ども達は、そのために「今日、宿題を早く終わらせて遊び行くから!」と滅多に見られない「本気」を発揮。やることを終わらせてドアから矢のように飛び出してき、就寝時間前に満面の笑みで帰宅します。
その他、子ども達の興味があるもの、こちらならではの生活を感じに、、、
日本で盲導犬候補の仔犬を預かるボランティアをしていた経験からこちらの介助犬協会に見学に行ってみたり、
≪写真・介助犬協会≫
地元の空港に飛行機を見に行ったり、
≪写真・地元の空港≫
近くの公園まで散歩したり、
≪写真・近くの公園≫
サーモンの養殖所を見学に行ったり、家で楽器を練習したり、な日常です。
私は子ども達が学校に行っている間に子ども達だけではまだできない勉強の手伝いの準備や、子ども達のことで学校の先生にEmailしたり、時に直接話しに行ったり。放課後から夜にかけてはひたすら運転手に従事して、息子の課題のボランティアで一緒にリサイクルセンターに行ったり、娘の習い事の送迎、その合間に食料の買い出し。本当はもう少し母は自分のやりたいこともありますが、今は子どもの心身の健康、Happyが優先です。
★子ども達の英語
生活の中での必要な英語は吸収しはじめているのを感じます。中でもリスニングは一番変化が現れたかと思います。渡航する前と渡航した直後は私が英語で話した内容を子ども達に逐一訳して子ども達も「ふ~ん」と聞いていたのですが、先日いつものように訳した後に「今の位、分かるよ」と言われました。聞いて理解できる範囲が広がり始めたのを感じました。スピーキングは、リスニングよりは変化を感じるには時間がかかりました。やっと1語~5語前後の様な、良く使う決まった文句、例えば"I know."、"Can I go with you?"、 "What are you doing?"などを友達との会話で使い始めたようです。友達や先生との会話のなかで聞くのに懸命だったころに比べ、自分からも伝えたいという意識が芽生えたようで、「△△って英語でなんていうの?」「こういう時、どういえばいいの?」と私に聞いてくることが増えました。面白いのは、登校前に、こんなことを今日聞かれるだろうから言い方を教えてほしい、と友達との雑談の「予習」を始めたときは思わず笑ってしまいました。
比較して、学校の授業に必要な英語は、・・・、壁は高い。日本のGrade 8(日本でいう中2)までが一般の生徒さんと同様に通常のクラスに、それ以降はELLという英語を専門に勉強する授業をしっかり受けながら通常のクラスの比重を増やしていくという流れの様ですが、我が家の子ども達はGrade 6と8、つまりELLに行かないギリギリで通常のクラスにもぐりこんでいることになります。
私としては現地の英語に触れる時間をなるべく増やし、時間はかかっても徐々に吸収していければと思っていたのですが、1か月目を過ぎるかすぎないかの頃学校でTOEFL Juniorを受けますと連絡があり、子ども達はもちろんゼロ点に近い点数を持ち帰り、その後クラス担当から娘、息子それぞれ3、5コマ/週を別室で英語の学習を受けると伝えられました。「授業中に何も分からずいるのは子ども達には負担が大きいのではないか。子ども達が学校でHappyでなくなることを一番に避けたい」という学校側の配慮からです。子ども達はなるべくクラスメイトと一緒にいたいと言い、私としても「生の英語に触れさせたい」という思いから、どちらが子ども達にとってベストかとても迷いました。クラス担任や別室の英語の先生、副校長にも話を聞きに行き、ご意見、ご助言をいただき、こちらの希望も伝えて現在の形、これからの形を決めたところです。
先生方との話し合いの中で、学校側が子ども達の希望、私の希望、私達が滞在する予定期間やカナダ滞在の目的まで聞いて、ケースバイケースで私たちの場合にはどれが得策かを一緒に考えてくれたことはとても新鮮でした。現在通学している学校の誠実さ、思いやりが垣間見られた時間でした。並行してこちらの希望、思いも伝えながら、初めて留学生を受け入れる立場と留学する側、保護者と教師が協力して子ども達にとってより良い環境を作り上げていくことにつながることを実感。渡航後よく学校の先生方に「分からないことはいつでも聞きに来てください」「質問はいつでも大歓迎です」と言われていたのですが、その意義を改めて感じました。
★学校の教科のこと
先週、「中間成績表」を子ども達が持ち帰りました。学校は3学期制で、1学期9月~11月中旬、2学期:11月中旬~3月初旬、3学期:3月初旬~6月中旬ですが、学年の最初の1学期だけ、途中経過を保護者が把握できるように中間報告が出るとのことで、全教科を3段階評価したものが渡されました。子ども達が友達と見せ合いっこした話では、ほとんどがオール3の様です。これはほめて伸ばすカナダなのかなと思います。娘は問題なかったのですが、息子が・・・(笑)。現地の中2のレベルに英語で挑んでいるのですから、私にとって「大したもんだ!」ですが、英語を通して理解しなければならない情報も桁違いに多いのでもう少し手助けが必要のようです。すぐにクラス担当にEmailをして、授業中何につまずいているのか、家で私ができることを話し合いです。
↓教科別の印象↓
・子ども達が気軽に楽しんでいる教科:
‐体育
鬼ごっこ、バレーボール、ドッジボール、陸上など。イギリス出身の先生だそうですが、どの授業も堅苦しくなく、本当にみんな休み時間の延長のようにキャーキャー言いながらやっていて楽しそうです。
‐音楽
日本の音楽の授業は、歴史、楽器の種類、記号の意味などを覚えることもあるかと思いますが、こちらでは学年の初めに子ども達それぞれが好きな楽器(クラリネット、フルート、トロンボーン、サックスなど)をレンタルショップから一年分レンタルし、一年かけて数曲をクラスごとに仕上げていきます。つまり、授業はほぼ楽器練習ということのようです。それを、保護者向けに披露する「演奏会」が年に数回あるそうです。自分で興味を持って選んだ楽器であること、だんだんクラス全体のハーモニーが仕上がっていく様子、同じ楽器のお友達でさらに仲良くなっていく様子など音楽教育のアプローチの違いは見ていて興味深いです。
‐数学
数字であることから英語が分からない支障が軽減されますが、文章も多いので辞書ひきは事前にやっています。宿題が毎日でます。こちら独特の考え方、問題形式もありますが、それらはネットで検索しながら対応しています。
‐ADST
日本の技家にあたる気がします。最近多いのが、パソコンで3Dの家、人間、飛行機を作ったりしていますが、自分の好きなものを想像してつくるので時間を気にせずやっています。
・ハードルが高い教科:
‐英語
1つの小説が全員に配布され、一冊まるまる読んでいきます。授業中先生が音読した後、ちょうど日本の国語の授業のように、新しい単語の意味調べ、読解問題のプリントをやっています。英語話者が読む中2の小説はこんなに難しいのか、、、、私も辞書片手にしか理解ができないほどです。先生から日本語版を見てもいいよと言ってもらいましたが、こちらでは入手できません。私が先に読んで理解して、それを息子と一緒に解読して、問題を解いて。私にもこれが一番の大敵です。
‐社会
授業中に話し合いの機会が多く、スピーキングがまだ力不足の今は発言できていない様子。渡航後2カ月でディスカッションに参加は確かに難しいでしょうから、徐々にでよいと思っています。
‐聖書
これが結構難しい。聖書の節を暗記したり、その意味、思想、教えを理解し、文章問題の様な問題に答えながら宗教を深く噛み砕いていきます。聖書独特の英語の言い回しであること、キリスト教でない私達には思想の部分の知識がないことから、英語を理解する→日本語訳をネットで探しその背景にある教えを理解する→英語の問題に戻る、という数段階となります。
★車の運転について
この2カ月で劇的に機会が増えたのが車の運転です。来る前に大きな気がかりの一つでしたし、今でも電車とバスで行った方が簡単&安いときは迷わずそちらを選びますが、そうでないケースは運転せざるを得なく、そのうちにやっと慣れてきました。
私は日本の免許書をそのまま持ってきて、こちらで日本総領事館で翻訳を発行してもらい、それをICBCという免許センターに持参、視力検査、口頭で交通ルールに関する問題を3問ほど受け、写真撮影ののち、2週間ほど滞在先に郵便でBC州の免許証が届きました。
口頭で交通ルールに関する問題は、用紙に英語で「隣のレーンを走っていた車があなたのいるレーンの方向にウィンカーを出しました。どうしますか?」「路肩に駐車していた車がウィンカーを出しました。どうします?」などの様な問題が書いてあって、何十秒かで答えなさいと言われました。「注意します」「道を譲ります」など、一般常識内に答えれば問題ありませんでした。
実際の恐れていた左ハンドル運転ですが、人や自転車、バイクが日本ほど多くないことと、道は広くまっすぐで見晴らしがよい点は日本より運転しやすいです。実践は学校の行き来や近場の食料品店などから初めて少しずつ慣れていきました。私は方向音痴なのですが、Google Mapの道案内機能を音声が出るようにし、後部座席から息子にも助けてもらいます。道にはほぼ迷わず生活している自分が自分でびっくりです。スマホのおかげで地図を片手にハラハラした時代はどこへやら。
いちばん気を付けているのは、、、
① 交差点で右折と左折のあとどっちのレーンにはいるか分からなくなる
交差点で方向転換して感覚が狂い、どのレーンに入っていくか分からなくなります。さらに工事中で一車線使えなくなっていてレーンが色々変更していると余計に混乱します。子ども達が「右(折)は手前!」「左(折)は奥!」と後部座席から声掛けしてくれるのでそれを復唱しながら曲がっています(笑)。車のウィンカーとワイパーのレバー(?)が左右反対なのもよく間違えました。曲がろうとしてワイパーがシャーシャー動いて家族みんなで大笑い。
≪動画・交差点≫
② 赤信号でも右折できる場合多々
車や人がいない安全な場合、赤信号でも右折できること多々というびっくりルール。自分の中で右折、直進、右折はそれぞれ別で考えるようになりました。
≪動画・赤信号での右折≫
信号手前から右折専用のレーンがある場合も多いです。
≪動画・右折専用のレーン≫
③ターンアバウト
交差点などで、信号の代わりに中心にある丸い植木やコンクリを左回りに回って方向転換します。左にいきたくても一度右に行かなければいけない間隔が慣れるのに時間がいりました。
③ All way stop
交差点で信号の代わりに、停止線で一度完全に一時停止、停止線にとまった車の順番で交差点に入っていくというこちらもびっくりルール。微妙な差で誰が最初か分からない時しばしば(笑)その場合のルールもきちんと決まっていますが、とにかくスピード出しすぎず、安全確認しながら運転しています。あると知らずに交差点に止まらず突入するのが怖いので、この標識には注意して運転しています。
★手荷物で持ってきてよかったもの
数日前船便で送った段ボール3つが無事届きました。ぴったり2カ月!!到着までの生活で、手荷物で持参して良かったものもありました。
‐冬服
防寒対策は頭にありつつ、猛暑の中荷造りしたので無意識に夏服も多く持ってきていました。10月中旬くらいからダウンを着始める人も出始める気候だったので、船便が届くまで少しハラハラしました。
‐自炊が整う数日中のカップヌードル
‐学校用電子辞書
無くされることを覚悟して安価なもの、でも軽くて子どもでも理解しやすいのを一つずつ持たせています。最初は一人だけ辞書をひくというのが恥ずかしかったようですが、最近では先生も「ここ辞書ひいていいよ~」と声をかけてくれ、使用頻度は高いです。
‐運転用サングラス
強い日差し、朝もや&逆光などで前方が見づらい時用
‐予備の眼鏡
眼鏡着用の娘、つけたまま友達とバレーボールして早速壊しました。予備、持ってきて良かったです。
以上、2か月目のこちらでの生活、子ども達の様子でした。3か月目に突入していきます。「どんな生活だろう」と見て知って驚いているだけだった1か月目、色々見て自分たちで色々選択しはじめた2か月目、その結果が少しずつ出始める3か月目な予感がします。そんな大きな結果という意味ではなく、今まで築いてきたクラスメイトとの友情を基板に遠足のようなものの予定があったり、毎日練習してきた音楽の演奏会があったり、毎週通っている教会の中でも小さなグループでお出かけをする話があったりと行動範囲も広がってそこから子ども達は色々収穫していくように思います。最近「保護者の方はお外でお待ちください」なんて言われることが増えました。母も少しずつ少しずつ子ども達をこの地で自由に泳がせるタイミングが来ているようです。子どもにくっついてカナダの学生生活を疑似体験し楽しんでいた母はとても残念で寂しくもありますが、子ども達が収穫して帰ってくる「結果」を私も楽しみにしています。
こんなに色々書いてしまって次回ネタが尽きてしまうのではと思いますが、きっと時がたてばそれだけ色々あるのが異文化体験のやめられないところ。どんなことが待っているか大腕広げて待っていようと思います。
丁寧に留学生活をお伝えいただいて感謝です。
お子様に寄り添って
ご家族でポジティブに留学生活を楽しんでいらっしゃる様子が良く分かります。
留学の成功の秘訣は、実は楽しむと言う事。
英語は分からなくて当然、文化も分からなくて当然
だから卑屈になる、こもってしまう、日本人としかつながらないではなく
外国人です!学びに来ました!楽しみに来ました!
を発信する事。とっても大切です。世界が広がります!
今日からウインタータイム、時間が1時間遅くなり夜が長くなります。
憂鬱な雨のシーズンも、ゆっくり夜の夜長を楽しむ時間になると良いですね。