母子でカナダに渡った感想を書く機会をちょうだいしました。
私は来る前どんなことを知りたかったかなぁと想像し、また自分のランドマークのように書いてみたいと思います。
【渡航前のこと】
★自己紹介
母(43歳、シングルマザー)、息子(13歳、中1)、娘(11歳、小6)の3人家族。昔から海外、異文化、英語に興味が絶えず、「いつかは子どもと海外へ」と思っていた私(母)から、子ども達に1年間行ってみないかと持ちかけました。渡航の目的は、脳の柔らかい吸収力の高いうちに子ども達に日本以外の世界も見てほしい、異文化を体感してほしい、日本以外の空気を味わってほしいという思いと、生活の中で使われる英語を脳にしみこませてほしいという思いからです。子ども達は最初冗談と思ったそうですが、最終的に「それも、いいね」と渡航が決定。留学先としてカナダを選んだのは、まず親として安全であることが一番、次に子ども達が最初に吸収する英語として聞きやすい、使いやすい英語であるという点でカナダに絞っていました。
子ども二人はRegent Christian Academyの中2、娘は小6に編入。私は今は自身の学校には通わず、もっぱら子ども達専任の運転手・通訳・翻訳・家庭教師・しばしば“しもべ”をしています。滞在先は学校から車で10分ほどの戸建てのいわゆるゲストルームを「間借り」して三人で暮らしています。
★どういう形で渡航するか
3人で行こうと決めてから悩ましかったのがどういう形でいくか。当初一番安く、長くいられる方法はどれかと考えました。私が就労+子ども達帯同、私が就学+子ども達帯同、子ども達が就学+私が帯同、など三人それぞれが取るビザ・パーミットの種類がちがった形があって、それぞれ費用や期間、生活の様子もまったくことなるので悩みました。金銭的には私がこちらで仕事がでれば一番長く滞在できる方法ですが、仕事を見つけてそのビザを維持していくこと(=クビにならないということ)と、子ども達の心身の安全確保とサポートを全て一手にできるかを考えたとき、今の私達にはリスクが高いと思いました。
また子ども達が公立に通う形の方が安そうだとも考えましたが、公立は安全面や環境面で日本の公立とは違うと耳にして「カナダ初心者の私達には第一候補ではない」と判断したこと、また英語が話せない息子と娘が公立に通った場合、通常授業よりも英語クラスに出席する時間が多く1年では大きな英語力向上は望めないと複数人から聞いたので期間限定の滞在の私達の選択肢として外しました。最終的には母子三人が安定して過ごせる形、短期集中で英語を見聞き出来る形として「子ども達が就学+私が帯同」の形を選びました。
★どうして中野さんのところでお願いしたか。
他の方々も含めてコンタクトしてやり取りしましたが、最終的には中野さんがこの地で育児をしてきた「おかあさん」だったことに尽きると思います。私が日本からすべての学校を吟味選択して、入学してみて経験してから選ぶということは不可能です。でしたら私自身の大事な子ども達を住ませる環境・通わせる学校に、中野さんが自身の大事なお子様を住まわせた環境・通わせた学校にという選択基準は私にとってはシンプルでした。
★渡航前の英語学習
何も分からず飛び込んで全く良いと思うのですが、私の場合は1年と言う限りがあること、英語の不便さやストレスが極力早く軽減されて、それ以外を楽しむ時間を多くしたいと思ったので来る前から英語を教えていました。日本の中1~中3の英語の教科書と別売りCDを繰り返し聞き、ほぼ暗記をしました。こちらにきて英語話者の話すスピードにはまったく太刀打ちできませんが、英語を前にしてもひるまない、相手の言っていることの大体の意図がくみ取ってYes かNoが言える、教科書や学校の配布物に知っている単語がちらほらある、多少難しい部分も辞書を片手に問題がとける、このあたりのくらいまでを登校開始から3週間ほどまでに変化が見られたので、準備をしておいてよかったと思います。
【渡航~1か月】
★生活環境の立ち上げ
新しく生活環境を立ち上げるまではいつでも大変かと思いますが、今回は意外と速く1週間くらいで終わってあとは学校が始まるまでのんびりしていました。どの学校にするか、登下校に必要な車の車種や費用、家具付き滞在先も来る前に決まっていたことが大きいと思います。こちらにきてからしか出来ないこと(学校指定の文具の買い物、現地の銀行の口座の開設、カナダの免許証取得など)は中野さんに出会ってから挨拶もそこそこに怒涛のごとくすべて説明され(笑)、あとはそれに従って実行すればよかったので1~2日で終わりました。
学校が始まる8日前というギリギリに渡航ましたが、余裕がでた時間で、大事な食事に関するスーパーを親子で見たり、近くの野菜屋さんにいったり、散歩したりできたので旅行疲れをとるには良かったです。今思えばこの間に学校から教科書を借りて辞書ひきをしておいてもよかったと思います。私は運転が苦手な上に、来る直前5年もペーパードライバーだったので、学校開始前に通学路の運転練習もしました。トウモロコシ畑を地平線の向こうまで続く一本道を進むとき、カナダは広い、そう思います。
≪写真・通学路≫
★滞在先のこと
本当によくしてくださり、いつも「なにか不便なことがあったら言ってくださいね」と気遣ってくださいます。そして母としてもとてもとても有難いことは、本当に素敵なお子様方が4人いらして息子と娘は今彼らの大大大大大ファンです。
★子ども達の様子
生活に馴染むのにはまったく問題なく、早かったです。肉好きな息子は日本では見られないような大きくおいしい肉にテンションが上がり、母には焼き加減は任せられないと自らキッチンに立って焼いています。動物好きな娘は庭にリスがやってくるのが窓から見えて歓び、また滞在先の方から「ドアをあけっぱなしにするとアライグマが入ってくるから気を付けて!」と言われたのが嬉しくて(笑)、見られる日を楽しみ(?)にしています。それぞれが興味があることを楽しみながらここならではの環境に順応していく様子はたくましく、来てよかったと思います。
≪写真・庭にリスが来て追いかける娘≫
★子ども達の学校
敷地内と思われるところに、幼稚園、小学校、中学校、高校、チャペル、カフェテリア、音楽室、体育館、遊具のある公園があります。公園からその後ろはもはや森?と言いたくなるような空地。息子がそこでウサギを見たそうです。
≪写真・手前に息子や娘の教室と、その向こうの“森”≫
生徒さんたちは、一言でいうと「世界の縮小版」。カナダは移民の国とは聞いていましたが、子ども達のクラス内にカナダ人、インド人、中国人、韓国人、シンガポール人、フィリピン人、またアラブ系、アフリカ系、ヨーロッパ系と思われる世界中からといっても過言ではない多くの場所からのクラスメイトがいます。日本からのご家族の方々は今まで2家族会う機会がありました。伺うともう一家族いらっしゃるとか。息子と娘が学校で路頭に迷っているのを見て助けて下さった生徒さんがいて私からお礼を伝えると、「自分も来たときはそうやってみんなに助けてもらったので」とサラリと仰り、皆さん異国で素敵な成長をされているんだなと感じました。
≪写真・登校初日の様子≫
★勉強
旅行気分も、学校が始まって一転。子ども達の授業が早い!正確に言えば、早いというより「英語が分からない」ために学校で何をしているかまったくわからず、帰宅して宿題も分からず、予習もできず、次の日またその繰り返しで雪だるま式に「遅れ」が蓄積していきます。内容としてはどの教科もさほど難しくは感じません。中2の内容も小6の内容も、日本で習っていた緻密で正確で難しい学習に比べれば、数年前にやったような記憶がある問題も並んでいます。一度息子の数学をみていたら、数字に1をかけても答えは変わらない。0をかけると0になる、などを見たときは、息子とびっくりしたことがあるくらいです。ただ、これが英語となれば話は別で、教科書の問題、解説全てが理解できないのでお手上げです。一語一語辞書を引くことに時間がかかります。
宿題や次の日の持ち物が全く分かっていないで下校してきたり、特に息子のクラスではGoogle Classroomというオンラインで課題、提出物がどんどん流れてきます。本人も分かっていないし、私も分かっていないうちに未読の連絡、未提出の課題が知らない間にたまっていて驚愕したこともありました。私が迎えに行ったときにクラス担任を捕まえて私が聞き直したり、一冊ノートを決めて子ども達に質問を英語で書かせて先生のところに行って見させたり、読ませたり。あの手この手で「なにが起こっているか」についていくのに必死です。下校後は辞書ひき→夕飯→辞書ひき→就寝です。英語に関して最初の1-2か月で努力しておけば後が楽と思っていますが、とうとう子ども達から「もっと遊べると思った」とクレームが出始めました・・・。勉強と遊びの両立と言いたいところですが、今のところ勉強が追いかけてくる感が強い毎日です。
★先生
二人のクラス担任、教科担任、事務担当、どの方もやさしく、責任感も強く、親切です。聞けば納得するまで対応してくれます。そのうち子供たちが質問しにいっただけで「よく来たね~~!!」と両腕掴んで大喜びして子ども達を積極的に勇気づけてくださる先生もでてきて、子どもはそれが嬉しくてこまめに先生の所に通っている様子です。分からないことを私からEmailしても返信も早いです。保護者会のようなものが先日あり、出席しました。BC州の指導要綱、自校の指導目標やカリキュラム、先生たちの指導力向上のためにどんな取り組みをしているかなどのスライド説明があり、その後各教室で担当から学校での子ども達の様子、これからの予定などの説明がありました。
★お友達
初日は友達と呼べるような友達も出来ず「明日から不登校する」と悪態ついていた子ども達も、1週間目くらいで話しかけてくれる友達、分からないと手伝ってくれる友達ができ始め、2-3週目くらいでランチグループに手招きして入れてくれる友達、休み時間に鬼ごっこの仲間に入れてくれる友達、日本語を教えて~と聞いてくる友達(良い日本語も悪い日本語も(秘))が出始めました。3-4週目くらいになるとランチの交換をして時に多く食べたり食べられたりしながらじゃれ合ったり、気に入った料理の名前やレシピを聞いたり、得意技を紹介し合ってやり方を習ったりなども。英語が話せるか、話せないかではなく、興味や好奇心の元で交わり、関係していく様子は子どもの強みだなと改めて感じます。
★授業以外
日本の部活動にあたるようなもので音楽とスポーツにそれぞれ色々な授業外活動があります。必須でなく、任意です。一つも入っていない子も複数入っている子も見かけます。音楽ではコーラス部、ジャズバンド部、オーケストラ部の3つ、スポーツではバレーボールやスイミング部などの募集のチラシを見かけました。日本で吹奏楽部だった息子は音楽2つに行きたいといって入りました。英語をすっとばして演奏できるこういう時間は良い息抜きになるようです。またいつものクラスメイト以外の高校生の生徒さんたちとも肩を並べることになるので、また違う「居場所」になっているように見えます。
≪写真・ジャズバンド部の練習の様子≫
音楽室には色々な楽器や楽譜台がその辺に自由に並んでいて(放置されていて?)生徒が自由に入室して演奏したり、また個室が5つあってこれも自由に使用して音楽に自然に親しんでいる様子が見られます。娘が「日本では先生がいない時は音楽に鍵がかかっていたのに」とその差に驚いていました。こんな文化の違いも一つ一つが子ども達には貴重な体験と思って聞いています。
その他ボランティア活動、遠足、布教活動旅行など色々授業以外のイベントもこれからあるようです。ボランティアはつい先日開始して、敷地内のゴミ広いとか、空き缶拾いなどです。
★週末の過ごし方
土曜日はゆっくり起きてゆっくり朝食をとり、学校で必要なものや食料の買い物にショッピングモールに行ったり、遅れた勉強を取り戻したり。日曜日は午前中に学校の敷地内にある教会に行きます。私たちは無宗教ですが、これまでの日曜礼拝の印象を覆すようなテンポの良いバンド演奏は聞いていて楽しく、テンポの速いお話しも聖書や英語の勉強にもなります。そして子どもたちはクラスメイトに遭遇したり、終了後の茶菓子が楽しみだったり。
≪写真・終了後の茶菓子≫
渡航以来雨の週末が続いているので、晴れたら公園にも行きたいし近くの市民プール的な施設も行きたく、天気予報チェックに余念がない親子です。
★習い事
娘はバレエを4歳から続けていて、こちらに来ても続けたいとのことでネットで色々探し、その中から複数見学に行き、最終的に娘が選んだ学校に申し込みをして先日初回のレッスンがありました。英語が分からないことを娘は不安で先生に言っておいてほしいというので、「来たばかりでまだ英語が話せません。でもなるべく早く必要な単語は覚えますので」と伝えたら、「こちらもジェスチャーで示したりしますので大丈夫。バレエで使う単語はフランス語ですしね!(笑)」なんて言ってくださり、親切な印象をうけました。レッスン内容の違い(具体的には娘は日本ではトゥシューズを履いていましたが、こちらではまだ履けないとのこと)はもちろんありますが、この地のバレエを知ることもとても大事。この地の「習い事友達」を大事に楽しんでほしいと思います。
以上、来る前に知ってみたかったことや、来てから分かったことなど書かせていただきました。二か月目に突入していきますが、子ども達は学校の授業やイベントにさらに慣れていくこと、それ以外の余暇をもっと作ること、息子は次期に始まるもう一つの音楽活動に慣れていくこと、娘はバレエの友達に慣れていくこと、私は子ども達の勉強をもう少しフォローしたいし、彼らの長期の課題の手助けも着手しなければいけません。子どもたちがもう少し自力でできることが増えていったら、自身でもしたいこともあるので、要するにやりたいこと山積みです。母子ともに体調一番で、カナダの空気をたくさんたくさん吸いながら一日一日を三人でまっすぐ過ごせればと思います。
中野さん、また色々見えてきたころでまた書かせてくださいませ!
------------------------------
ただいま絶賛留学中のH Familyからリアルタイム留学生活をお伺いできる事となりました。
ネットで探しても出てこない、貴重な情報です。 感謝します