千羽鶴 / 川端康成
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おすすめ度:★★★
父の女と。女の娘と――。背徳と愛欲の関係を志野茶碗の美に重ねた、川端文学の極致。
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鎌倉円覚寺の茶会で、今は亡き情人の面影をとどめるその息子、菊治と出会った太田夫人は、お互いに誘惑した とも抵抗したとも覚えはなしに夜を共にする……。志野茶碗がよびおこす感触と幻想を地模様に、一種の背徳の世界を扱いつつ、人間の愛欲の世界と名器の世 界、そして死の世界とが微妙に重なりあう美の絶対境を現出した名作である。他に「波千鳥」(続千羽鶴)を収録する。(出版社HPより)
エロいです。美しいです。同じ川端の『みずうみ』は、変態の妄想小説と言い切ってしまいましたが(ブログ記事はコチラ)、この『千羽鶴』はとにかく美しい。具体的な描写はゼロなのにエロい。でも受ける印象はエロくない。昼ドラも真っ青のドロドロ愛憎劇なんだけど、清らか。ミニマルな表現なのに色鮮やか。なんでこんな世界が書けちゃうんでしょうね。川端康成の美意識、すごいです。そりゃあ、ノーベル賞ももらっちゃうわけですよ。
なんだけどねー、何度か読み返すうちに男の身勝手さもチラホラ見えてきたりして。男の人が書いた本だから仕方ないんだろうけど、あっちにもこっちにも手を出して、手を出した女は自分から身を引いてくれて、自分は気に入った女の人と結婚。手を出された女達、表に出してる以上の何かがあるはずよー、気付いてないのは能天気な男の人だけよー、と思ってしまいます。それとも川端、そんなことは百も承知の上であんな描きかたをしたのでしょうか?
と、ケチの1つもつけたくなるほどの完璧さ。おすすめ度は文句なしの星3つです。
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