バベル<映画> | Timeless Hrglass

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言葉では何パーセントの気持ちが伝えられると思う? ブログネタ:言葉では何パーセントの気持ちが伝えられると思う? 参加中



モロッコ・メキシコ・アメリカ・日本を舞台に
それぞれの国で異なる事件から一つの真実につながっていく


人はどうしたら繋がり合えるのだろう
 
言葉というコミュニケーションの伝達方法を持つ私達人間は

日々様々な思いを交錯させ伝え

そして時には分かり合えたり 離れたり 傷つけあい そして生きている

モロッコの原野にて放たれた一発の銃弾はやがて世界を捉えていく

運悪くもその銃弾に当たってしまったアメリカ人夫婦の

スーザン(ケイト・ブランシェット)リチャード(ブラッド・ピット)の物語は

痛みによってこの世界の怖さを感じ取る


得体の知れないものに打たれた恐怖が広がっていく

アメリカ人夫婦の子供が預けられているのは

メキシコ人の乳母(アドリアナ・バラッザ)の元


彼女は息子の結婚式に向かうため甥(ガエル・ガルシア・ベルナル)の車に乗り一路メキシコへと向かう


その先にあるのは ほのかな希望なはずだった

銃を発砲したのは モロッコ山中に住む兄弟の仕業だった

そしてその銃の書類上の持ち主は 

日本に住む会社員・ヤスジロー(役所広司)だった


彼の娘のチエコ(菊池凛子)は聾唖の女子高生で

この親子はある傷を抱えたまま東京という原野を彷徨い歩く

右往左往して人に助けを求めてしまう人達

あまりにも伝わらない思いにもどかしさと焦燥感が募っていく


言葉というルールを介しているのに 人は分かってくれない

言葉を使えないのに人は分かってくれる

今まで曖昧だった世界に切り口を見つけ

そして言葉で名前を付けることによって世界を捉えようと 多くの人間が適所によって描いてきたのが今の世界だ

けれども世界は国境という線で分けられ そして言葉もまた分かれた

三つで分かれていく人々はそれぞれに助けを求めている

自分の心の傷を埋めてくれる人を探しそれぞれに世界を彷徨い歩く構図が訪れる


バベル


この物語のキーともなっているのは 伝える事である


リチャードは妻を助けるために 言葉の壁にぶち当たりながらも

必死でもがき 動き 自分の妻への思いを伝えていく

そこにはある文化の違いが浮き彫りになりつつも 感謝の念も存在する


そこに言葉は介在しない

ある状況下に落ちたメキシコ人の乳母は

一縷の希望を伝えようと必死で言葉で伝えようとし

勢いだけで取り繕おうとする甥は 

対立軸を知らず知らずの内に作ってしまう

しかしその思いを分かってくれる訳ではなく 彼らの思いは相殺されてしまう


例え言葉が同じでも伝わらないものは伝わらない


疑念は広がり人の先入観を顕にする

手話によってコミュニケーションを広げようとするチエコはその傷を隠し

大胆さでごまかそうとする


自分の肉体で語ることで何かを分かってほしいと思うが

それも一時のごまかしにすぎない事を知りつつも止められない

思わぬ期待に身を染めても スルスルとその思いは抜けていく

それでも彼女は温もりを求めてしまう


それは彼女の体から発露するが

それを受け止める存在はこの世にいるのだろうか・・・


バベル


聾唖の女子高生を演じた菊池凛子はその存在感を光らせる

彼女の目に浮かぶ悲しみと憂いの表情には

思わずこの作品の根幹が見え隠れする

アメリカ人夫婦を演じた ブラッド・ピットとケイト・ブランシェット

ただの観光客にしか見えない二人だが

ある忌まわしい記憶を抱えて旅行に来ている

二人の会話で 全てが説明されるわけではないが

一連のシークエンスでラストに浮かび上がってくる夫婦の関係性が

ひどく胸を打つ

兄弟の間で生まれた競争が生み出した悲劇が

ここまでに波及するとは思いもよらない


人は人を助けるために勇敢にも動く時がある


言葉と体で必死に伝えようとする

その思いには繰り返せない悲劇の重みもまた横たわる

人間が思いを伝えるという事は、とにかく難しい


それを表すのは必ずしも言葉だけでは無いのかもしれない

時にはその表情で 体で・・・その思いで伝えていく


いつか伝わるはずである


旧約聖書に出てくる伝説の巨大な塔【バベルの塔】
はるか昔 言葉はひとつだった 人間達は神に近づこうと 天まで届く塔を築く
怒った神は言葉を乱し 世界はバラバラになった・・・



この旧約聖書に記された「バベルの物語」と絡めた
映画の【バベル】というタイトルはピッタリだと思う
このタイトルが物語の全てを語っているような気がする



・・・デジャヴ(;´▽`A``


m(u_u)m <(_ _*)>