マジックアワーというのは映画の専門用語で夕暮れのほんの一瞬のこと
この時間にカメラを廻すと 幻想的ないい映像が撮れるといわれているそうです
一日のうちで 世界が最も美しく見える瞬間
それがマジックアワー
三谷は有能なテレビ脚本家であるが やはり映画人ではないと感じた
というのも 不思議と彼は必ずある特定の「枠組み」を作る
だから 当然のことながら完成度は高い
二度ある笑いは三度ある
というコテコテの喜劇を踏襲しつつも佐藤浩市の人間味が全面に押し出された快活な演技と上手い引き際でポテンシャルを高める妻夫木聡のダメ男ぶりが良い(笑)
冒頭はクラブの支配人 備後(妻夫木聡)とギャングの愛人マリ(深津絵里)のピンポイントから拡げられていく
ボスの愛人に手を出した備後は、ボス(西田敏行)にデラ富樫という殺し屋を連れて来いという命題を受ける
外しは良いが この勢いは妻夫木聡のポテンシャルに関わるし 全く見も知らずの売れない俳優をデラ富樫に仕立て上げて ボスの面前に連れ出すその度胸は向こう見ずという言葉で集約される
またとない度胸と言っても良いが・・・
テンポの外し方に長けている三谷幸喜は 人の勘違いを見事な劇に仕立て上げる
一方は映画の撮影だと思っている売れない俳優が真剣に現場に取り組む滑稽さだが 一方は最強の殺し屋を面前にした人間の要素をおもむろに取り出していく
このちぐはぐさがたまらない
マフィア一味 特にボスは何度も面前で同じ事を行うデラ富樫に人間味と度胸を見初め 売れない俳優はリテイクだと思い 何度もナイフを舐めてデラ富樫になりきるのだ(笑)
アンサンブルキャストによる喜劇というスタイルを取るが 昔のアメリカ映画を観た時にふと入り込むような風采の町並みはセット感が漂い心地よい
この町並みの嫌味の無いゴテゴテ感もまた 物語に一花添えていく
あくまでもセットのような町の中で繰り広げられる彼らの横行劇は
そのチグハグさが妙に堂に入り この街で時に静かに 時にけたたましく広げられていく
キャスト・深津絵里&綾瀬はるかの人物設定がもったいないが
尽くす女こと鹿間夏子の恋慕とマリのヒールへの転換は丁寧に見せて欲しかったかな~
あとマジックアワーの邂逅というノスタルジックさはデラ富樫の人間像を描く上で必要なのかもしれないが これをもっとあっさりと見せてくれれば良かったかもしれない
迷演技!?の佐藤浩市が素晴らしい!!!
いわばその二枚目ぶりを顔面劇と銃撃の笑いと売れない俳優の必死さを見事に笑いの演技に昇華させている
誰からも慕われ人間味が溢れるが 芽が中々出ないという苦悩を裏側に静かに抱えている彼の心境もシンクロしていくがラストがあっぱれ・・・というかやりすぎかな(笑)
しかしながら 冒険とか斬新という点では やはりテレビにおける三谷の勢いを感じることが出来なかった
古畑はもとより「王様のレストラン」であり「総理と呼ばないで」にみられた日本の脚本家としては類い希な独自性を映画の土壌で発揮できないのは 残念・・・
欲を言えば 三谷には「驚きの発想」が不足だったのかな~
テレビではそれが出来るのだから余計に残念だった
作品は面白かったが面白いだけでは三谷作品には満足しないし
主役の村田同様 これで終わって欲しくない逸材だと思った
映画館で観る映画は良いですね~(≧∇≦)



