忘れられない女子部員としてもう一人います。こちらは三十代後半の方で子供も二人おられた主婦の方でしたが、はっきりと営業で稼ぐと割り切って入ってこられました。
ただ、なかなかトレーニング中にセールストークが覚えられなくて苦労していました。
私達の営業は、アプローチから商品説明、クロージングと最初から最後までのマニュアル通りに話すという決まったセールスの仕方があったのですが、唯一最後まで自己流を通された人でした。
セールスの素人でも出来るようにとマニュアルがあったのですが、どうしても一時間分のセリフを覚えられずに例外を認める事になりました。
私もずいぶんトレーニング時間外にも協力したのですが、結局本人のやる気を認めて特別に例外を認めました。世の中わからないものです、こんなマニュアルも覚えられない人はたいした売り上げもできないだろうと私は考えていました。
商品知識だけはしっかりと教え込んでいましたが、実際にお客様に会ってどういう風にセールスをするかというのがマニュアルになっているわけですが、この人はマニュアルとまるっきり違う方法で売り上げを上げていったのです。
いつものように初めの一週間は、私がマンツーマンで付いて回り、お客様のお宅を入る所から出るまで実際にやって見せます。その後今度は本人がぜんぶ一人でやり、私は横で見ているだけという方法で新人のトレーニングをします。
その場ではよほどのミスでない限り口出しせずに、会社に帰ってからミーティングをしていろいろと指導していきます。私達が使う言葉は大体標準語です、マニュアルにそう書かれています。
ところがこの人は典型的な?大阪のおばちゃんでした。初めの挨拶からまるっきりの大阪弁で始まるのです。これにはもうビックリです。
私のやり方でさせてくださいとの哀願を特別に認めてしまっているので文句は言えませんが、お客が怒らないかとヒヤヒヤしました。