ステロイドの塗り薬が「ぜんそく」を予防する? | 子肌育Blog アトピーに負けない生活。

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ステロイドの塗り薬が「ぜんそく」を予防する?


こんにちは。橋本です。


アトピーの子供は、将来「ぜんそく」になりやすいといわれています。


そこで、子供がアトピーでも、「ぜんそくになるのを予防できないか」が気になります。


「ステロイド外用薬」と「将来のぜんそく予防」の関係。


今日は、そのお話です。


「アトピーの子供が、ステロイドの塗り薬を使うことで、将来のぜんそくを予防できるなんてありえるのでしょうか?」


ステロイド軟膏とアレルギーマーチの関係


まずは、参考になるデータを。


アトピーの3歳児67人で、ステロイド軟膏の使用状況を「使わなかった」「悪化したときだけ使った」「つねに使った」、3つのグループにわけ、その後、ぜんそくになった割合を調べた調査。


ステロイド軟膏の使用状況と、ぜんそくにかかた割合を比べると・・・


使わなかった(58%)

悪化したときだけ使った(60%)

つねに使った(12%)


ステロイド軟膏を治療に「使わなかった」グループと、「悪化したときだけ使った」グループで、ぜんそくになった子供の割合が、明らかに高かった。


それに比べ、「つねに使った」グループは、ぜんそくを発症する割合が低かった、と報告されています。1)


このデータは、何をみたかったのか?


「ステロイド軟膏を使ってアトピーをおさえれば、将来のぜんそくが防げるのではないか」という仮説を確かめるため。


そのために、この調査はおこなわれたんですね。


仮説の流れは、こうです。


ステロイド軟膏をうまく使えば、皮膚は正常に戻り、バリア機能も回復する。


皮膚がきちんとバリアしてくれれば、ダニなどのアレルゲンが皮膚の中に侵入しづらくなる。


ぜんそくの多くは、ダニなどのアレルゲンがきっかけで始まる病気。


皮膚がきちんと、アレルゲンをバリアしてくれれば、ぜんそくにかかりにくくなるんじゃないか。


これが、仮説です。


そして、データをみる限りでは、仮説は正しいのかもしれません。


ステロイド軟膏を使うことで、ぜんそくの発症率は、およそ5分の1になっています。


残念ながら、ぜんそくの発症をゼロにおさえることまでは、できていませんが。


しかし。


将来、ぜんそくになるリスクを少しでも下げたい。


そうであれば、ステロイド外用薬をうまく使うことも、大きな助けになるようです。



参考文献:

1) 井口正道, ほか: 日小児会誌 110(11): 1534, 1540, 2006.