●「虫刺されの薬」のように、ステロイドを使ってはいけない。
ども、こんにちは。橋本です。
「“虫刺されの薬”を使うような感覚で、ステロイド外用薬を使ってはいけません」
いきなりそう言われても、なかなか意味がわかりませんよね。
「ステロイドは毒だから使うな!」と言いたいわけではないので、お間違いなく。
薬の使い方って重要なので、今から順番にわかりやすくお話していきます。
さて。
昨日、ドラッグストアに行ってきました。
入り口から入って、正面のコーナーに、どっさり虫刺されの薬が置かれていました。
まさに、山積み。
夏になると、どこの薬局でも、こんな感じなのでしょうか。
いろんな商品、種類がありすぎで、はっきり言って、商品別の違いがよくわかりません。
ひとくちに“虫刺されの薬”といっても、その成分はいろいろです。
いちばんロングセラーな「ムヒS」というやつは、主成分がかゆみ止めです。
ステロイド成分は入ってないので、皮膚の炎症をおさえる力が弱いかわりに、副作用もあまりありません。
で、最近CMでプッシュされているのが、「ムヒアルファ」「液体ムヒ」など。
これには、ステロイドと、かゆみ止めの成分が入ってます。
ステロイドは強さによって5段階に分けられていますが、一番弱いランクに該当するものが入っています。
いろんなメーカーから、虫刺されの薬は市販されていますが、ほとんどが一番弱いランクのものです。
一番弱いランクのものでも、虫刺されぐらいのかゆみなら、即効でひいていきます。
虫に刺されると、刺された部分に炎症がおきます。
この炎症をしずめるために、ステロイド成分が使われているわけですね。
皮膚の炎症がおさまることで、かゆみも同時にひいていくのです。
で、この“虫刺されの薬”というのは、蚊に刺されたときなんかに使いますよね。
赤くプクッとなったところに、ちょんちょん塗って、すり込みます。
刺されて、「かゆいなー」っていうのを、スッとおさえてくれるので。
ただの“虫刺され”なら、そういう使い方で、大正解です。
しかし、ステロイドの塗り薬を使うとき。アトピーの湿疹、赤み、かゆみに対しては、違います。
“虫刺されの薬”を使うような感覚で、ステロイド外用薬を使ってはいけません。
なぜか?
アトピーによる皮膚の炎症は、ステロイド外用薬をちょこっと塗ったぐらいでは、きちんとおさまらないからです。
おさまらないから、またすぐにぶり返してしまいます。
さらに、ちょこちょこ使っているだけだと、短期間に湿疹が繰り返します。
そうすると結果的に、同じところに長い間塗り続けることになり、部分的に皮膚が薄くなるなどの副作用が出てしまいます。
なので、ムヒでやるような「ちょこちょこ塗り」は、ステロイド外用薬では、やってはいけません。
「かゆみがなくなり、すべすべの肌に戻るまで、しっかり塗り続ける」
これが、ステロイド外用薬の塗り方のコツ。正しい使い方です。
そうやって皮膚の炎症をきちんとおさえてから、あとは保湿剤でぶり返さないようにケアをするんですね。
どうですか?
“虫刺されの薬”を使うときの感覚とは、正反対ですよね。
ちょこっと塗って、かゆみをおさえただけでは、アトピーの場合、まだ皮膚の奥のほうに炎症が残っているのです。
虫刺されは、急性の炎症。いっときだけ。
それに対して、アトピーは、慢性の炎症。同じところに長く続くもの。
その違いによって、薬の使い方にも差が出てくるんですねー。
同じ“塗り薬”なので、意外と同じような使い方をしてしまいがちです。
というわけで一度、日頃のステロイド外用薬の使い方をチェックしてみてください。
“虫刺されの薬”と同じ感覚で、ステロイド外用薬を使ってはいけません。