今日は、4月上旬に、陰嚢水腫の手術のため、入院した夫のお話である。

 

髄膜腫の手術ブログだと言いながら、陰嚢水腫の手術について書く日がくるとは思わなかった。(文字的にも “腫” しか合ってないし)

 

今回の手術にあたり、夫もネットで色々検索したらしいのだが、大人の陰嚢水腫の手術体験記というのは非常に少ない。

私は当事者ではないので、どんな様子だったか、ということがメインになるし、誰の役にも立たない予感すら漂っているが、夫の了承も得た上で書くことにした。

 

 

【入院前】

入院日の1週間前に、入院前検査で造影剤を入れてCT撮影をしたり、入院時の準備物などの説明も受けたようで「褌(ふんどし)がいるみたい」と連絡がきた。

T字帯のことな。

褌と案内されたのであれば、説明した側に随分古風な方がおられることが伺われる。

他には

・入院着はレンタル、タオルは持参

・上履きは不要、履いていく靴(スニーカー)で過ごして問題ない

・部屋は、有料の4人部屋は埋まっており、初めての手術で不安もあるだろうから、トイレ付きの個室を選択

・面会は午後3~5時のうち、15分程度、家族のみ。

洗面用具や着替えなどの通常の入院グッズと、特殊な準備物としては、尿漏れパッドを準備するように指示があった。

 


【入院1日目】
午前10時前に来てください、ということだったので、早めに到着。

受付関係を済ませ、部屋に案内されると

・今日は検査も何もない

・明日の手術は午後4時くらいからを予定している

・今日は夕飯以降絶食。明日は朝から点滴予定

・面会は通常15分だが、手術日のみ、手術前に行き、終わるまでいてもOK

以上、ということで看護師さん退室。

「明日の夕方からの手術なのに、なぜこんなに早い時間に入院しなければならないのか」とぶつぶつ言いながらも、早速、夫は入院着に着替え病人を気取っている。

私も、それ以上することもなくなったので、この日は部屋の見学などをして早めに帰宅。
夫は、これまで仕事が忙しかったこともあり、昼寝しまくっていたようだ。


【入院2日目・手術日】
手術日は、面会時間などは気にせず来てよいとのことだったので、午後2時半到着を目指して病院に向かった。

ベッドの上の夫は・・・不安そう。

いや、朝から点滴はしているものの、昨夜から絶食しているので、不安そうで不満そう。


4時くらいになると、手術室へ移動。

手術室の前室という扉前まで行くと、「ここから奥は入れませんので、こちらのベンチにおかけになってお待ちください」と、夫のみ入室。

「はい」

と大人しくベンチに腰掛ける。

フリをしつつ、扉のガラス窓から中をガン見。

しばらく、ベッドに横たわって看護師さん達に囲まれる夫を眺めていたが、奥に運ばれて見えなくなる。

病棟の看護師さんが戻ってきたので、一緒に病棟に戻る。

40分程度で終わる予定ということで、部屋で待つ。

 

・・・・・・・・・・・・・

 

待つ。

 

・・・・・・・・・・・・・

 

もう50分は待ってるんですけど?

 

・・・・・・・・・・・・・

 

1時間経つんですけど!?

 

・・・・・・・・・・・・・

 

無理!

 

ムリムリムリムリムリムリムリムリ!!!

 

平静を装ってましたけどね、文章も淡々と綴ってみたんですけどね

 

私、心配性なんですよ!

 

自分が手術する時は、何も考えてなかったんですけどね!

ヘラヘラしながら手術に挑んできたんですけどね!

 

これが身内になると話が別なんですよ!!

 

“夫が不安そう” なんて書いてますけど、私のほうがよっぽど不安で、昨夜から家の中を無駄にうろついたりしてましたから!!

 

なんでこんなに待つの?

なにかあった???

 

もうすぐ1時間半ですけど!?

 

椅子に座ったまま自分の荷物が入ったリュックを背負ってみたり、おろしてみたり、立ち上がってみたり、座ってみたり、冷蔵庫を開けてみたり閉じてみたり、と、私が医療関係者だったら別室でカウンセリングを勧めるんじゃないかというほど、落ち着きを失っていく。

 

冷蔵庫の中をのぞくこと3回目が過ぎたころ

「終わったみたいなんで、迎えにいきましょう」と

やっと、本当にやっと、看護師さん登場。

動揺しすぎて、手足が軽く震えるくらいだったのに、我に返ったコトム、突然、すんっとなり

「ええ、わかりました」と。

我ながら、どれだけ見栄っ張りなのかと。

今からでも自分にカウンセリングを勧めてあげたい。

 

そんなこんなで、迎えに行ったのだが、ベッドに横たわって運ばれてきた夫、苦悶の表情

 

 

え!?超痛そうなんですけど!!!!

 

これ、大丈夫ですか?

失敗したのけ!!??

 

小声で「痛い?」と聞くと

「痛ぇ。途中で・・・麻酔が・・・切れた・・・」

 

えええええええええええええええ!!

 

そんなことある!?

嘘でしょ!!!

 

病室に戻り、看護師さん達が不在の隙に話を聞いたところによると(小心者なので、なぜかこそこそ話してしまう)、どうやら執刀したのが新人さんだったようで、麻酔の時点で数回失敗した上に、先輩の指導を受けながら手術を進めるため、途中で麻酔が切れるという地獄の状況が発生。麻酔を追加したが、また作業に時間がかかるもんだから、手術が終了した時点ですでに麻酔切れ、ということのようだ。

そんなおそろしい手術が、意識がある状態で進んでいく。

 

無理!

 

ムリムリムリムリムリムリムリムリ!!!

 

ちなみに、夫は、非常に痛みに強い。

昔、仕事で転倒して盛大に足首を腫らした際も自力で帰宅し、翌日も歩けないくらい腫れているのに、繁忙期だから、と、仕事に行こうとしていた。

ケガをしても、基本的に無視。

軽い火傷も無視。

 

そんな夫が、「・・・痛い・・・みぞおちまで・・・痛い・・・」と堪えている姿は見ていられない。

 

一方、看護師さんに「ちょっと痛みます?」と聞かれると

「そうですね、少し(キリっ)

と、見栄を張る。

 

キリっとかいいから、すごい痛いって言わないと痛み止めもらえないよ、と思ったが、第三者が入ると平静を装うあたり、我々はよく似てる。

 

私と言えば、夫の辛そうな姿を見て、

こんなに辛そうな姿、見てられない!

(←術後、前室の窓から覗き込んでまでしっかり眺めてはいたが)

代われるものなら代わってあげたい!

(←代われないし、代われるとしても性別から変わらないと)

と動揺しまくり、挙句の果てに泣きそうになった。

の割に、ここで泣いたら、

“あの奥さんってば、ご主人の手術で泣いてたわよ”

“マジで!?ないわぁwww”

“全然命に関わる手術じゃないのにねぇwww”

“こんな簡単な手術で泣くってドラマティックにもほどがあるっつうの。ねぇ。”

とか思われたら、それはとてもとても恥ずかしいので、

すんっ である。

 

その後、病院の面会時間も大幅に過ぎてしまっているので(手術が長引いたせいなんですけどね)帰宅を促され、動揺したまま帰路についたのだが、夜10時過ぎに

「少しだけ落ち着いた」とLINEが入り、ようやく私も落ち着きを取り戻した。

 

 

【入院3日目、手術翌日】
手術の翌日は、痛みのピークは過ぎたようだが、夜中は痛みで、寝たり起きたりを繰り返していたらしい。ほとんど動けないだろうし、眠っていることも多いだろうから、お見舞いは控えておく。

そもそも私自身もダウンしてしまったので(何もしていないくせに)休養をとることにした。

この日は尿管を抜いてもらったようなのだけど、これ、男性は女性よりも本当に痛みが強いらしく、瞬間風速的には術後の痛み以上らしい。

後日、「どのくらい痛いの?」と聞いてみたところ、

イナズマの形相で

「ぎゃっ!!」

と実演してくれた。

傷口はガーゼで覆われているし、怖いので見ていないようだが、ドレーンがついているとのこと。

 

 

予感が的中して、誰の役にも立たなそうな内容となってしまったが、長くなったので、今日はここまで。