8月は、年に1回の健康診断。

検診の病院までは徒歩で30分程度。

8月にそれくらい歩けば、豆苗頭が汗で萎えるだろうと踏んで出発したが、想定をはるかに上回る発汗ぶり。今年1番の大発汗。

遅刻しそうで急ぎ足だったこともあり、汗だくのハカハカした状態で到着した。

着ていったTシャツは汗でびちゃびちゃだが、時間もギリギリなので急いで検査着に着替え、いびつなフォルムに変化した豆苗頭をかえりみることなく、呼ばれるがまま最初の問診に。

事前に記入していった問診票の既往歴に“髄膜腫”などの記載をしたので、「腫瘍は良性でした」とか「まだ通院している理由は」などの質疑応答があるのかと思っていたが、何も質問されず拍子抜け。


問診票と言えば、10年以上前、人間ドックを受診した時に、受付の方にとても怒られたことが忘れられない。
事前に配られた資料に “食事は抜いて” と書いてあったので、前夜からしっかり書いてあることを守り、万全の状態で当日を迎えた。

が、当時の私はなぜか飲み物はOKだと思い込んでいて、予約時間まで時間があったので、近くのカフェに寄ってから出向いたのだ。
そのまま会場に到着し、笑顔の素敵な受付の方に
「飲食はしていませんよね?」

と確認され
「今、カフェに寄ってきました!」

と実に無邪気に返事をしたのである。
途端、受付の方の表情が一変、
「はあぁああ?何してるんですか????何飲んだの???????」
と突然豹変した。

その口調にビビり散らしながら
ハニーラテを・・・1杯だけ・・・」

ともごもごと返事をしたところ
「そんなの飲んでいいわけないでしょう!!!!」

と盛大に叱られた。
さらに、問診票に巨大な乱暴な文字で
“ハニーラテ摂取”

的なことを書かれてしまった。


当然、その後ずっと“ハニーラテ”と書かれた問診票を持ち歩きながら検査を回る羽目になり、時おり検査技師の方に「ハニーラテ・・・」と呟かれ、「すみません・・・」と謝り歩くことになったのである。
その日は、仕事の途中で人間ドックを受けていたので、会社に戻りその話をしたところ、その日はみなさんから “ハニーラテ” と呼ばれ、翌年の人間ドックの際には出発前に「ハニーラテ飲まないように行くんだよwww」と、かわるがわる言われたことは忘れられない。
100%完全に私の責任で、検査関係者のみなさまにご迷惑をおかけしたことをとても反省したことは言うまでもないのだけれど、あの頃の私が一体何を考えていたのか今でもよくわからない。

どう考えてもダメだろう。
ハニーラテの甘くて苦い思い出である。

 


閑話休題。

 


問診を終えた私は、血液検査やら胸部レントゲンなどをこなし、いよいよ身も心も削られるマンモグラフィー

今年はすでに開頭手術して痛い思いをしたのだから、乳がん検診は痛いマンモグラフィーを避けて、エコーでいこう、と思っていたのだが、予約時の「40代以上の方はマンモグラフィーを推奨します!」という強めのアナウンスに押し切られて申し込みをしてしまった。
 

逃げ出したい。
なんでマンモグラフィー申し込んじゃったんだろう。

今年の私、結構頑張ってるよね。

小泉元首相なら、

「痛みに耐えてよく頑張った!!!」

って言ってくれるくらい痛みに立ち向かってるよね。

なのに、なんでマンモグラフィー申し込んじゃったのだろうか。

でも、自分で申し込んだんだよな・・・。

あれ?・・・デジャヴ?

いや、違う。

これは・・・デジャブでもなんでもない。

もみあげ再縫合の時の待合室での私の記憶だ・・・。

しかし痛みを前にした私は、全く成長しないな。

と、どうでもよいことを考えていると、すぐに番号を呼ばれたので、弱い心を振り切っていざ出陣。
 

今年も痛かったーーー!
マンモグラフィーの痛みだけなら我慢できるのだけど、何より心が折れる・・・
親の仇のようにぎゅうぎゅうと機械に挟みこまれたお胸が、非道なまでにギリギリとつぶされていくあの過程。
どうしても、トムとジェリーの潰れてペラペラになったトムがひらひらと舞っている映像を思い出してしまう。

涙目になりながらも頭の中では “トムとジェリー仲良くケンカしなっ♪” と、心とかけ離れたメロディーが流れ、“コトムだって生き物さっ” などと現実逃避をしているうちに検査終了。
私の胸、千切れてないよね?と確認したところ、ついていた。

よくぞ千切れず戻ってきた、という安堵感とともに、こんなに医療が発達しているのに、なんでマンモグラフィーはあんなに原始的な方法で、胸も心もつぶすような検査なのだろうか。

疑問が止まらない。

汗が全く乾いていないじっとりとしたTシャツに着替えながら、来年こそはエコーにしようと心に誓った今年の健康診断だった。

 

 

余談だが、姉から傷口の様子の確認連絡がきたので「たまに開いたりするけど、大丈夫だよ」と返事をしたところ、「その、開いたり閉じたりするの何なの?おかげで、“むーすーんでーひらーいーて♪”の歌が頭から離れないんだけど。」と言う斜めからのクレームを受けた。確かに、“まーたひらいてー 手をうってー♪”って歌詞あるな・・・。術後の余波が思わぬ形で姉を襲っている。