退院日。

 

相変わらず頭は痛いし下膨れたままであるものの、退院日ということで朝からご機嫌である。

朝食後は着替えたり荷物をまとめたりして、10時過ぎには夫が迎えに来てくれた。会計を済まし、駐車場に行って車に乗り込むと、なんとも言えない解放感に包まれる。「ただいま!!ただいま!!!新生コトム爆誕!」などとはしゃぎ、外を眺めながら「人がたくさんいるねぇ」と、当たり前の風景に感動しながらニコニコと帰宅した。

親族に退院の報告の連絡などをした後、しばらくはしゃいだ気分で過ごしていたが、歩けばフラフラしているし、創部の痛みもあり、集中力も持たず、すぐに電池切れを起こし昼寝。

 

夜は、ずっと楽しみにしていたお風呂。病院でシャワーを浴びることはできたが、時間に追われたり、慣れないシャワーに翻弄されたりして、病院のお風呂に多少のトラウマを抱えていたので、時間を気にせずゆっくりと湯船に入ることが退院後の楽しみの一つになっていた。「やっぱり湯船は最高だなぁ」とじっくりと浸かっていると、洗面所に人影が。心配した夫が様子を見に来てくれたようだ。病院でも普通に一人でお風呂に入ってたから心配しなくても大丈夫、と伝えていたが、さっきまでへらへらとはしゃいでいた妻が静かに湯船に浸かっていると心配になるらしい。

夫「倒れてない?」

私「大丈夫だよ」

夫「具合悪くない?」

私「大丈夫だよ。長湯しないから大丈夫だよ。」

夫「頭ぶつけてない?倒れてない?」

私「www」

改めて、夫には心配をかけているなぁと実感し、感謝の気持ちでいっぱいになった。

私は退院できたことが嬉しくてはしゃいでいたけど、夫は、頭に30針以上の傷をつけたまま下膨れの半病人が帰宅したことで「頭を打ちつけたら」「てんかんを起こしたら」などの心配が尽きないようだ。出会ってから、お互いに入院・手術などを経験していないので、退院後の距離感がつかめず困惑しているのだとわかった。逆の立場だったら、私もはらはらすると思う。心配をかけないように、しばらくはおとなしく過ごそう。

 

振り返ってみると、入院・手術の日程が決まってから、あまりの慌ただしさなどで「最短で入院して、最短で手術して、最短で退院してやる。テーマは“効率とスピード”だ!」と血迷った決意を固めてから一ヵ月弱。予定通り、入院日と退院日を含め入院期間10日間、主治医から聞いていた最短スケジュールだったので目標は達成した。

入院前「奥さんは今、頭に石を乗っけてヘルメットを無理やりかぶっているような状態なんですよ。」と主治医が夫に説明していたが、あれが第一形態ならば、乗っけていた石を取り除き、刀傷を負った武士風情の下膨れの今は、第二形態である。第一形態から第二形態に変わると、ビジュアルも能力もパワーアップするのが定型な気がするが、今回の場合、第二形態のほうがあらゆる面でパワーダウンしている。まあ、「外したヘルメットと石をぶん投げてスピード退院するんで!」と心の中で息巻いていた決意表明は無事達成したし、ビジュアルの面白さだけはパワーアップしたからいいのか。

 

家族や友達、仕事関係の方々、そして治療に携わってくれた方々に改めて感謝いたします。ありがとうございました。

 

また、自宅療養や術後の経過ということでこのブログは継続させてもらう予定です。

引き続きよろしくお願いいたします。