車椅子のおじさんの小説660 | 車椅子のおじさんのブログ

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 そんな1人言を毎日ブツブツと言っている希美女を見ている母親と父親は、こんな話をした。

 希美女は早くも天国を飽きてきたみたいなあ。

 そうだね。

 できたら希美女を地上に戻してあげたらいいけど、私たちには何もできないや。

 この間からきみちゃんに(地上復活クイズの事を言おうかなあ)と思うわ。

 そうか。

 あなたは、きみちゃんにそのクイズの事を言うのを反対するの?

 あまり反対しないけど、もしも途中で失敗したら地獄に落とせてしまうから、あまりそのクイズの事を言ってほしくないなあ。

 たとえ、地獄に落とせる事になってしまっても、地上に戻れるチャンスをきみちゃんにきちんと与えるのが私たちの使命だと思うわ。

 そうだなあ。たとえ、結果的に地獄に落とせる事になってしまっても、希美女にそのチャンスを喜んで与えてあげよう。おまえの話を聞いていたら、だんだんそう思えるようになってきたさ。

 それじゃ、明日2人できみちゃんにそのクイズの事を話しましょう。

 話そう。

 そんなわけで、父親と母親は希美女にそのクイズの事を話す事にした。

 その次の日、お花畑の中で自分の背中に羽が生え始めてきた事で嘆きながら泣いていた希美女に父親と母親が近づいていった。

母親 何で泣いているの?

希美女 背中に羽が生え始めてきた事がものすごくいやだから、泣いているの。

父親 希美女は地上では50歳過ぎの人生経験豊かなおばちゃんだったのに、泣く事があるのか?

 希美女 いくら人生経験豊かなおばちゃんでも、泣きたい時は泣くわ。こんな羽なんかいらないから、大人らしい体つきのままでいたいわ。

 希美女はそう言って、さらに泣き出してしまった。

父親 しまった。

母親 大切な娘をこんなに泣かせてしまって、あなたはだめな父親だね。

父親 自分でもそう自覚しているよ。そろそろれいのチャンスの事を言おう。

母親 それじゃ、言いましょう。

希美女 れいのチャンスの事とは何?

 父親の言葉が聞こえた希美女は、突然泣き止んでそう聞いてきた。

母親 それじゃ、話すね。

 母親はそう言って、地上復活クイズの事を希美女に話し始めた。

母親 天国には、地上復活クイズという制度があって、それにチャレンジして、そのチャレンジが成功したら、地上に戻れるよ。

希美女 そのクイズは、だれが出題するの?

父親 希美女が問題を作って、出すさ。

希美女 私が作った問題をだれが答えるの?

母親 天国の神さまだよ。

希美女 天国の神さまだね。それで、どういうルールなの?

母親 天国の神さまに毎日2問ずつ出題していって、1年間710問したら、天国の神さまが10問しか正解しなかったら、きみちゃんは地上に戻れるわ。

希美女 もしも天国の神さまが10問以上正解したら、私はどうなるの?