車椅子のおじさんの小説658 | 車椅子のおじさんのブログ

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父親 大泣きしたいのはよくわかるけど、私たちには何もしてあげられないなあ。

母親 そうだわ。だいぶ前に、天国に来た脳性マヒの人が、マヒが完全になくなって、言葉が普通に出るようになり、普通に立って歩けるようになったと聞いた事があるわ。

父親 そう言えば、希美女の言葉が普通に出ていて、普通に聞けるよ。

母親 もしかしたら立って歩けるようになっているかもしれないから、試しにそうしてみてごらん。

希美女 私は、地上では立って歩いた事がないから、その仕方がわからないわ

父親 そう言えば、希美女はその仕方を知らなかったなあ。

母親 ママとパパがその仕方を教えてあげるから、ゆっくりとやってごらん。

希美女 うん、やってみるわ。

 希美女は、父親と母親に教えられて、始めて立ってみようとした。

 意外によろめきながらすんなりと立った。

希美女 私、自分の足で立っているわ。

 希美女は、最高の笑顔でそう叫んだ。

父親 希美女の立ち姿を初めて見たけど、メチャクチャきれいだなあ。

母親 きれいだわ。

父親 だけど、こんな希美女の立ち姿は今しか見られないなあ。

母親 そうね。10日後にはきみちゃんの体もだんだん天使化されてしまうからね。

父親 希美女が17歳ごろに、ずうっと子どものままだった体が変化始めて半年ぐらいでグットプロポーションになった時に「あきらめていた大人らしい体つきになれて、ものすごくうれしいわ。いつまでも大人らしい体つきていたいわ」と言っていたから、自分の体つきが天使化されてしまうのがメチャクチャいやだろうなあ。

母親 それがふしぎな力がある天国という所の現実だわ。

 父親と母親はそう話しながら、初めての希美女の立ち姿をずうっと見ていた。