車椅子のおじさんの小説393 | 車椅子のおじさんのブログ

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 俺の名前は、重森五郎です。あなたと息子さんの名前を教えてください。

 私は野田島(のだじま)すみれです。息子は重いと丸で重丸(じゅうまる)です。

 息子さんの名前は昔の侍みたいで、メチャクチャかっこいいですね。

 そう言ってくださって、ありがとうございます。亡き夫が時代劇を大好きで、自分の息子に時代劇に出てきそうな名前を付けたいという思いで、まる2日考えて思いついたのは、この名前だったのです。息子も他にはないような名前だから、ものすごく気に入っていました。

 重丸さんの写真をできましたら見せてくれますか?

 いいですよ。

 すみれさんはそう返事しながら、背負っていた真っ赤なリュックサックを近くのベンチに下して、中からショッキングピンクのスマホを取り出して、重丸さんの写真を見せてくれた。

 重丸さんは脳性マヒの強い緊張で体が変形してしまって車椅子に乗っていても上半身が右に倒れ込んだ状態みたいだけど、木村拓哉によく似ていて、メチャクチャイケメンだ。

 それをすみれさんに言ったら、こう言った。

 重丸が生きていて、今の五郎さんの言葉を聞いたら大喜びしたでしょう。

 五郎がビニールレザーのワインレッドのオーバーオールの腰のポケットに入れてある懐中時計をふと見たら、11時前をさしていた。

 もう遅いけど、すみれさんの話を聞いていて、重丸さんに興味を持ちました。

 そうだったら、明日函館山の近くにある私の家に来てください。

 わかりました。すみれさんの家に行きます。今夜は、これでお開きにしましょう。

 五郎さん、おやすみなさい。

 すみれさん、おやすみなさい。

 五郎とすみれさんは、お互いにおやすみのあいさつをして、それぞれの個室に行った。