車椅子のおじさんの小説108 | 車椅子のおじさんのブログ

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寅次郎と車椅子の乙女

出会い

 平成17年5月。

寅さんは、旅先で知り合った万博の職員に頼まれて、長久手日本館の前で1週間ぐらい、バナナのたたき売りをやっていた

「ご用やお急ぎではない見てちょうだい。このバナナは、色が赤っぽいだか、1番おいしいと言われる国の物だ。だから、すごい高いなんだ。エーイ、今日は万博だから、1番高く手を上げた人に50円で差し上げます」

寅さんが言い終わると、観客がいっせいに手を上げた

寅さんが観客を見ていたら、車椅子に座っている乙女を見つけて、思わず「そこの車椅子の人に差し上げます」

他の観客たちは、なんだか不満そう。

車椅子の人が一生懸命、手を上げていたから、あの人にしたんだ。何かあるか?」

観客たちは、去っていった。

その人にバナナをわたした寅さんは、夜空を見ながら電車に乗りに行った。

電車に乗ったら、車椅子の人もヘルパーさんと乗ってきた。

「さっき、私にバナナをくださって、ありがとうございました」

「いえいえ。「私、何歳に見える?バカな後輩が、20代の半ばに見えると言いますけど」

「男は、女の歳の事を言わない物だ」と少し恥ずかしそうにいった。

二人はしばららく話し込んだ。

寅さんは、こんな事を言った。

「車椅子に座っていても、なんだか楽しく生きているみたいからいいなあ」

今まで、がんばっているねと何回も言われたけど、楽しく生きているから、いいなあと言われた事がないから、うれしいの。がんばっているねと言われるよりも、楽しく生きているねと言われた方が、すごくうれしいわ」

寅さんたちは、終点まで乗って、寅さんは塒へ、車椅子の人は家に向かった

                                     つづく