順が襲われた
そのメールを読んだころから鉄三郎は微熱が出て体がなんとなくだるいという男の更年期障害みたいな症状で半年ぐらい取材に行く事や記事を書く事ができなかった。
そんな鉄三郎の体調が戻ったのは、7月の半ばごろの少し早めの梅雨明けの日だった。
ある日の朝、昌は体温計を鉄三郎の脇の下にはさみながら、こう聞いた。
鉄、気分はまだ優れないか?
今日は、さわやかないい気持ちだよ。
それりゃ、よかったなあ。昨日までは顔色があまりよくなかったけど、今日はとてもいいから男の更年期障害から抜け出したじゃないか。
そうだったら、メチャクチャありがたいなあ。脳性マヒのハンディは小さいころからだからメチャクチャなれているけど、50代でなった男の更年期障害は何かをやる気がわいてこなくなってしまったから、メチャクチャまいったなあ。
2人がそう話しているうちに、鉄三郎の脇の下にはさんであった体温計がピピっとなって、昌が鉄三郎の脇の下から出した体温計を見た。
36.5度で平熱だなあ。
やっと抜け出したか。男の更年期障害になった人で抜け出すのに俺よりももっともっと時間がかがる人がいると医者に聞いたけど、俺にとってはこの半年間は100年に感じたよ。
そう感じか。おしゃれな服に着替える?
うん、どえらい久しぶりに派手なおしゃれをしたいという気分だよ。
やっと本題の鉄に戻ってくれたなあ。よし、ド派手なおしゃれをさせてあげよう。
昌はそう言って、鉄三郎の指示でクローゼットから出した服を着せてあげた。
これぞ、鉄だなあ。
腹が減ったから、何か食べさせてくれよ。
久しぶりに食欲が出てきたなあ。朝ごはんを作りに行くから、その間にメールのチェックをしてくれよ。
はいよ。
それりゃ、頼むよ。
昌はそう言って、朝ごはんを作りに台所に行った。
鉄三郎は腹ばいでゆっくりとノートパソコンの所に行って、スイッチを入れて、メールのソフトを開いた。
そうしたら、多量のメールが来ていた。
それを見た鉄三郎は、1人言でこう言った。
その時の鉄三郎の1人言
メールがくさるほど来ているなあ。
半年ぐらい、メールのチェックをしなかったから、こんなにたまっていたのか。
まあ、しょうがないや。
ゆっくりと見ていくか。
鉄三郎はそうつぶやきながら、くさるほどに来ていたメールを1通1通開いていった。
そうすると、1か月ぐらい前から順からのメールが3通も来ていた。
それに気が向いた鉄三郎の1人言
順からのメールが3通も来ているなあ。
何か俺たちに伝えたい事があったのかなあ?
まあ、そろそろ昌が朝ごはんを持ってきてくれるころから、朝ごはんを食べた後に昌とゆっくりと見ようかなあ。