私の知人に、ある町の教育長を務めた人がいます。
彼はあるとき、隣の町の小学校に研修にでかけました。
研修といっても、学校の授業参観です。
その小学校は山間の学校で、複式学級で授業をしていました。
その参観したのは、2年と3年の複式学級。
若い女の先生が、緊張した面持ちで教壇に立ったそうです。
このときの授業は「さんすう」。
3年生のクラスは、全員が7名で、男の子5名・女の子が2名。
7名の3年生が、横一列に机を並べて黒板に向かっています。
その日は、割り算の授業でした。
30÷7=? というのが例題です。
解答式は、30÷7=4あまり2です。
その先生は、参観が有るというので、いろいろ工夫をされたのでしょう。
具体的に、30個のリンゴを使って授業をされたのです。
「30個のリンゴをみんなが7人で分けるとどうなるかな?」
うんうん、いいね。その調子。。。
「きょうは、あれを並べてやってみようね」
子どもたちは、袋の中から、おはじきのようなチップを
取り出して、机の上に並べ始めました。
30枚のチップが並び、子どもたちがガヤガヤと言いはじめました。
そして、一人の女の子が手を上げてこういいました。
「男の子が4個で、私と由美ちゃんが5個!」
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そうしたら、みんなが、「へえっ、そうか」ってうなづくんです。
えっ! ホント? そうなの。
このクラスは、やっぱり女の子の方が実権を握ってるんだ(笑
先生は、少し、困って「本当にそれでいいのかな?」と
子どもの方に投げ返しました。
すると今度は、男の子の一人がこういいました。
「僕ら7人全員が4個で、残った2個は先生!」
ちょっと、シーーーンとしましたが、すぐにみんなが、
「これが一番いいっっっ!」。。。
みんながしっかり納得しちゃったんですね。
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これで一件落着かと思いきや、当の先生が、再び
「本当にこれでいいのかな?」(笑
教室内に笑い声が起こりました。
子どもたちと先生と参観にこられた教育委員会の人たち。
ある意味、みんなが妙に納得しちゃったんです。
私はその話を聞いてこう思いました。
30÷7=?を解いてみると、3つの答えが出ました。
① 30÷7=4あまり2
② 男の子が4個で、私と由美ちゃんが5個!
③ 僕ら7人全員が4個で、残った2個は先生!
私はあえて、この3つの答えをこう呼びたいと思います。
①は知識。
頭で考えて、割り算というやり方を正確に学ぶこと。
②は知恵。
「生きるための生活の知恵」です。
この女の子のように、生きてくためには、時には貪欲にならないと
いけませんね。たぶんこの子がお母さんになったら、
スーパーのバーゲンには必ず出かけていくと思います。
やっぱり、これだから、女の方が長生きするのかなと?(笑
③が仏教で説く「智慧」。
リンゴのいのちの生かすにはどうしたらいいか。
結局は、割り切れずに残った2個をどうするか、
ということですから、今自分がおかれている立場とか、
自分の周りがしっかりと見えていないと、こういう発想は
出てこないと思うんです。
子どもたちの目は、いつも輝いています。
自分にも、みんなにも。。。
少しでも多くの方に読んでいただきたいので、
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