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Kou

音楽雑感と読書感想を主に、初老の日々に徒然に。
ブログタイトル『氷雨月のスケッチ』は、はっぴいえんどの同名曲から拝借しました。

 

 

 

矢野顕子 ジャパニーズ・ガール (2/3) NHK名盤ドキュメント再現  から続く

 

 

 

A面1曲目 気球にのって

 

気球にのって が、流れる。

 

細野晴臣 (感嘆するように) 負けた。

清水ミチコ 白旗出ました。

 

坂本美雨 大きい、「ドゥウ~ン、ドゥウ~ン」というリズムがあって、その中に呼吸するみたいなパーカッションリズムがあって、このグルーヴか!って思うとすごく納得がいく。

原田郁子 矢野さんは、リズムとかノリとか、ピアノで会話する。

坂本美雨 十代最後から二十代最初にかけての二~三年を、自分の音楽に対して迷って、仲間を求めて試行錯誤した末の一曲。

 

ギタリスト ボール・バレア。

いまもリトル・フィートのメンバーとして、活動を続けている。

 

 

ボール・バレア (彼女の) ピアノの演奏力は、うれしい驚きだった。歌詞は理解できなかったけれど、リトル・フィートを呼んだ理由はわかったよ。転調 シンコペーション 小節の複雑さ リトル・フィートとの共通点が多いからね。録音に参加できてうれしかったよ。

 

 

リトル・フィートの二枚看板 ボール・バレアとローウェル・ジョージ のツインギター

 

 

 

矢野の演奏やアルバム・コンセプトに共感したローウェル・ジョージは、

矢野に自ら尺八演奏を志願した。

 

 

 

矢野顕子 元々の予定にはなかった。彼が尺八を吹けるなんて知らなかった。ちゃんと首振って吹いてた。

清水ミチコ これは、リズムが取りにくくて難航したって曲ですか?

細野晴臣 これは難しいよ。

矢野顕子 これはどれだけ練習したか。

細野晴臣 これはやりたくない(笑)

 

 

 

A面2曲目 クマ

 

リトル・フィートがもっとも手こずったという曲、クマ。

 

矢野顕子 繰り返し練習した。(リズムを)覚えてもらうために、ずーっと延々やった。

細野晴臣 彼らでもそうなんだ。

矢野顕子 可哀そうなことしましたけれど。

 

原田郁子 リトル・フィートのメンバーが、「力不足」だといってギャラを返したっていう有名な話が・・・

坂本美雨 と、いう都市伝説が。

 

矢野顕子 (ギャラを返した)そんなこともあったかもしれない。

細野晴臣 大変だったんだ。

矢野顕子 でもやってるうちに出来てきて、変拍子ではあるけれど、グルーヴが出来てきて、でもそれは私が最初から持っているものではなかった。で、それがおもしろい。

 

ちなみにクマとは、小学生のころに死んだ飼い犬の名前だとか。

 

世界で活躍する、青森県出身の美術家 奈良美智。

この曲に、青森ならではの神秘性を感じるという。

 

 

奈良美智 『クマ』はいたこの語り口と似ているような歌い方で、向こうに行っちゃったクマと会話する感じ。

 

青森県立美術館

『 あおもり犬 』 

 

 

 

『あおもり犬』をはじめ、犬をモチーフにした作品も多い奈良。

この創作と自分の創作が重なるという。

 

奈良美智 子供の頃に拾ってきた犬を、飼えないから戻してこい、って、もう一回捨てに行った。その罪の意識がたぶんずっと残っていたんだと思うけど、許してほしいみたいな感じで、ある意味クマの世界と似ている。

 

原田郁子 すごく複雑なことが起きてるのに、アンサンブルとして、聴いた感覚としてはすごく柔らかい。それがすごく不思議な感じ。難しいことをやってますって感じが、まったく聴こえてこない。

 

76年3月27日、ロサンゼルス録音終了。

東京でマスタリングなど仕上げの作業が始まった。

 

担当したのは、レコーディングエンジニア吉野金次。

吉野は、はっぴいえんどから矢沢永吉、中島みゆきまで、数多くのアーティストに信頼された伝説のエンジニア。

病に倒れるまで、矢野の録音には欠かせない存在だった。

そんな吉野にとって、矢野のジャパニーズガールのミックスは、異質な体験だった、という。

 

吉野金次 『 電話線 』 で、ピアノの録音を聴いたときは、ビックリしました。あまりにうまいので。ダイナミクスさがすごくあって、グルーヴさが強く出る。ソウルですね。ピアノで物を語っている。

 

 

吉野金次 (ジャパニーズ・ガールは)好きな音楽だったものですから、無心でやったんで覚えていないんです。無意識で手が動いているような。

 

吉野がとくに印象に残っているというのが、ロサンゼルスで録音された『電話線』

 

 

 

 

A面3曲目 電話線

 

吉野金次 電話線の録音を聴いたときは、ビックリしました。あまりにもうまいんで。ダイナミクスがすごくあってグルーヴが強く出る。ソウルですね。まさにピアノで物を語っている。

 

電話線が流れる。

 

原田郁子 名曲だね

坂本美雨 名曲ですね。

原田郁子 矢野さんのピアノって、歌の伴奏を越えてる。全然違う歌がふたつ同居しているよう。

 

矢野顕子 (真顔で)めちゃくちゃかっこいいよね。

清水ミチコ カッコいいですよね。

矢野顕子 このグルーブ感が (今は) 再現できないんですよね。デビューアルバムにしてこれなんで。ピアノのスタイルってのは、その人にとっていろいろあって、私の場合は40年前にすでに確立していた。

清水ミチコ ピアノと歌、別録音ですか。

矢野顕子 バンドとやるときは、歌も両方やって、それであとで歌だけ録り直す。ところがピアノのトラックに歌が入っちゃうから、あの当時はとにかくピアノをぐるぐる巻きにして、サウンドが外に出ないようにやっていた。これはそういう風に録っていた。(位置的には)ピアノを真ん中に置いて録っていた。「私よ」って感じで。

 

坂本美雨 彼女にとって、(彼女自身より)ピアノがメインじゃないんかな。 

原田郁子 表現したい幅が広くて、驚きます。

 

矢野にとってピアノとは。

矢野顕子 ピアノを弾くっていう行為は私にとって、食欲とか睡眠欲と同じように「ピアノ欲」ってものがあって実に自然なもの。なにか表現したいときには、表現するしかない。ピアノの前に座れば、もう世界一自由。お客様が居ようが居まいが同じなんですね。

Q 体調が悪いときは、ピアノをやめるときはあるんですか?

矢野顕子 あまりないですね。むしろ体調がすぐれない時の方が、ピアノで練習して「治った」ってことの方が多いですね。安上がりでございます(笑)

 

 

 

A面5曲目 ふなまち唄PartⅡ

 

 

ふなまち唄PartⅡ

ロサンゼルス録音版

 

Q ロサンゼルス録音てのは、どのくらい満足?

矢野顕子 私としては190%ぐらい楽しかった。

清水ミチコ 当時の資料に、「自分の思っていた7.5陪ぐらいに仕上がった」

矢野顕子 当時から大きく言う癖があった(笑)

 

坂本美雨 ふなまち唄PartⅡは、日本版もどちらも好きだなぁ。彼女自身が楽しそうな感じは、アメリカ版の方がよく伝わってくる。

原田郁子 矢野さんは、常に今が一番楽しそうって見えるんだけれど、膨大な試行錯誤があるんだろうなって。時代とか関係なく自分の音楽に向き合う強さ。

 

矢野顕子 こうしようと明確な図があって録音を始めているわけじゃ、実はないんです。結果的にできたものを聴くと、矢野顕子の肉体を通した「肉体音楽」なんですよ。邦楽器を使っていたり、日本的な要素を使ってはいますけれど、そういうものよりは、矢野顕子って存在の方が大きかったんじゃないでしょうか?

 

 

 

あなたにって、ジャパニーズ・ガールとは?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

矢野顕子 (自分で)素晴らしいアルバムです。

清水ミチコ 古くなっていない。

矢野顕子 ほんとに20世紀を代表するアルバムじゃないですか(真顔で)。人類のね、宝としてね(まだ真顔で)。スミソニアンに入れてほしいわ(笑)