『始まったようです』の声の先のドアの向こうに、仙葉由季さんの姿が見えました。
仙葉由季さんによる、お見送り。
ファンとのお別れの時が…来ました。
モギリの横に立った仙葉さんが女性のお客さんと話をされたあと、両手で握手し、手を振って見送りされていました。
女性の後には、年配のオールドファンとおぼしき方。
さらに、大きな花束を持った方が続きます。
私もロビーに出て行くと、場内からは見えないところに、けっこう人が残っていました。
そして、入り口と反対側、喫茶の方には、大きな荷物の遠征組と思われる方たちが集まっています。
遠方から来られ、今夜中に帰るのは既に諦めた様子で、急いで帰らないといけない方々に、お先にどうぞと遠慮しているように見えます。
遠方から駆けつけ、長きに渡り様々な場面を見て、色々な思いも有るでしょう。
最後の別れは彼らに任せましょう(笑)
しばらくして、先ほどの女性から数えて十人目位に並びました。
さて、プレゼントは何も持って来ませんでした。
何を持ってきたら、どんなものを贈ったら良いのか、考えても分からなかった、決められなかったのです。
カサブランカの大きな花束、と思ってはみたものの、多くのファンが、持ってくることは判っています。
いつもなら、花やスイーツですが、引退となると二度目と云うか、次は無いと思うと、何か後に残るようなモノ、少なくとも、花よりも長持ちするモノか、欲を言えば長く使ってもらえるモノが良いなぁ…。
気の利いたモノをと、色々考えてみたのですが、直ぐに手に入れ難いモノだったりして、とうとう今日となってしまいました。
今思うと、昨年の新宿で初めて言葉を交わしたばかりの私には、「これで“最期”とは思いたくない」との気持ちから「最期のプレゼント」に抵抗を感じていたのかも知れません。
「お身体大切にして下さい。」と一言きちんと言えれば、それでヨシとしよう。
上がり性で、こういった場面では、思ったことの半分も言えず、否、色々と考えても全く違うことを言ってしまうのが私の常。
思いの丈はいろいろあるものの、シンプルに気持ちを伝えることにしました。
前の男性が、思い出話でしょうか、声に出して笑いながら、仙葉さんと笑顔を交わし、「お元気で」と握手をして帰って行かれました。
そして、とうとう私の番です。
正面から向かい合うと、改めて、仙葉さんは小柄だなぁと感じました。
一寸間があってから「どうも、お疲れ様でした。」と言い、次の言葉を言わなければと考え、頭が真っ白になり、ふと、思い出した事がありました。
またまた、やってしまいました、予期せぬ言動を(笑)
4日前の土曜日、トークショーの際、踊り子さん達が仙葉さんのプライベートの様子を紹介していた中で、「カギにクマのぬいぐるみを付けてます。」との話がありました。
クマタンなら、大きさからもちょうどプレゼントによいかも知れない…
以前、プレゼントを贈った際に、クマタンも一緒に袋に入れたのですが、果たして“緊縛”をどのように思われたか判らず、気に入ってないかも知れないと思っていましたが、感想を知ることが出来ます。
もし、使ってもらえれば、花よりは長持ちするかもしれない(笑)。
と考え、カバンの中から和柄のクマタンを取り出しました。
「カギにクマを付けていると聞きましたので…」
果たして、仙葉さんからの言葉は、
『コレ付けてます(笑)』
「えっ(゜o゜;)!!??」
ビックリして聞き返してしまいました(笑)
手にされたクマタンを隣りの男性スタッフに見せながら、『ほら、亀甲縛り(笑)』と嬉しそうに話し、今度は私に『テディベアのが良かったわ(笑)』と言われました。
たしか、和柄2体とテディベア・タイプ1体をプレゼントしてます。
どうやら、お気に召して下さってたようですヾ(^▽^)ノ
「お好きなモノを縛りますよ」と答え、
「今度会う時までに…」と加えました、
すると、はっ!!と、何かに気付かれた様子で、そして、自分に言い聞かせるように、
『そう、いつか会いましょう。私はきっと会うわ!』
隣りのスタッフにも、「そうよ、お別れじゃないのよね。私は、またみんなと会うわ、絶対に!!」何度も繰り返して言われました。
私が「テディベアが好いですか?」と伺うと、
『毛のある、コンナ感じの』と、プレゼントに頂いた幾つかのヌイグルミを示しました、
「では、次に会う時までに…」と応えると、
私の手を握って『絶対に会いましょう、いつか、きっと!』と繰り返し言われました。
先程までは「お元気で、さようなら。」とのファンの言葉に、「ありがとう。」と応えられていた仙葉さんでしたが、
カーテンコールでの『踊り子は引退しても、表現者・仙葉由季は続きます。』と宣言された仙葉さんに戻られ、
『サヨナラじゃないわ、必ず、またどこかで会いましょう(^-^)v』
と約束して下さいました。
仙葉由季さんに必ず、また会いたいと思います。
緊縛クマタンと共に(笑)