浅草ロック座仙葉由季引退公演千秋楽のその後 | ヤマモト探険記

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気の向くままの街歩き。

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だいぶ時間が過ぎてしまいましたが、続きです。
あの日は雪でしたね。


出演者全員が笑顔だったフィナーレも終わり、仙葉由季さんの最期の最後を確認した客席は、まだまだざわついていました。

カーテンコールで帰りかけて、二度目のフィナーレで引き返したお客さん達も、三度目があるのかと、様子を見ていましたが、時計をみては、いつもより遅い終演時刻であることに気がつくと、徐々にまた帰り始めました。
しかし、遠征組、常連客と思われる五十人ほどは場内に残り、知り合いを見つけては挨拶をしていました。
一旦、帰るお客さんの流れが止まった時、モギリに近い方の扉辺りから「始まったみたい」との声が聞こえました。



一寸脇道

浅草ロック座の公演で目につく事の一つにプレゼントがあります。


いわゆるポラ館では、ポラ・タイムに写真を撮るだけでなく、チョットしたおしゃべりやプレゼントを渡したり出来ますが、浅草ではそれはできません。

お客さんとの交流の機会はポラ館に任せ、ショウに撤する、
との考えなのか、単に、時間圧しを気にしてなのか?
別な理由もある、と私は睨んでますが、その話はまた何時か。
とにかくポラ・タイムがありません。


ロック系の踊り子さんにとって、練習、リハーサルから千秋楽まで、約一カ月に及ぶ浅草での公演は、踊り漬けで休む間もない大変な興行です。

しかし、浅草に喚ばれることは、それなりの期待や実力の現れであり、若い踊り子さんには自信と技術を身に付ける機会でもあります。

一方、ファンにとっても、自分のオキニが浅草に乗ると言うのは、嬉しく誇らしくもあるのです。

ポラ・タイムのない浅草で、踊り子さんへプレゼントを渡すには、ホール奥の喫茶コーナーで、メイドさんに頼む方法と、舞台上の踊り子さんに直接渡す方法とがあります。

特に、舞台で直接渡すのは、最初は勇気と度胸がいるようですが、上手に渡せた時は、大変嬉しいと聞きます。

中でもベッドが終わり本舞台へ戻る、いわゆる立ち上がりの“間”を狙って花束を上手に渡せた瞬間などは、拍手もあり、オキニが嬉しそうに花束を抱いてもどる姿は、ファンにとっても、誇らしく、至福の時と言えるでしょう。

中には「この至福の瞬間」に魅了されたファンもいるようで、毎回、全ての踊り子さんに花束を渡している方をお見受けもします。。


「ステージ上の踊り子さんに花束を渡したい。」

ファンなら、一度は思うことではないでしょうか。

しかし、踊りや演技の所作を見極め、流れを切ることなく渡すには、かなりの年季と技術が必要に思われます。

花束を渡されるファンの方をよく見ていると、まず一回見て、次の回で渡しています、タイミングを調べているのです。

しかし、大きくタイミングがズレたり、何人もが一度に渡そうとすると、悲劇です。


今回の公演で一番ユニークな演出のあの景での出来事でした。

初日に見て、「贈り物する人はいないだろう。」と思っていたのですが、なんと、最後の最後、千秋楽に大胆な挑戦をするオジサンが現れビックリしました。

小さな花束を手にしたオジサンに気付いた時は、踊り子さんから2メートルは離れていました、
混み合う中、荷物か何かに阻まれ先へ進めないオジサン、斜めに倒れ込んで花束をを渡そうと必死です。

オジサンの花束に気がついた踊り子さん、でも演技は止められません、正に困惑の表情でした。

前のめりとなったオジサンを見て、とうとう、踊りを中断して花束を受け取りに来て下さいました。

必死のオジサンに温かい拍手もありましたが、正直に言って、微笑ましさを超え、大変に残念な出来事に感じました。

また、以前に見た千秋楽では、10人以上が列をつくり、他に数人が移動盆に花束やプレゼントを乗せるという場面がありました。

移動盆に花束を乗せるのに踊り子さんが何回も往復し、立ち上がりから幕が閉まるまで、踊りにならなかったことがありました。

と、まぁ、今回の千秋楽がどうなるか?

心配する方も多かった事と思います。

千秋楽4日前の土曜日に、ロック座から『最期まで踊りきって欲しいので、千秋楽でのステージ上の仙葉由季へのプレゼントをお断りします』と云う主旨の発表がありました。

そして『カーテンコールの後に、お客様へのお見送りの時間を設けますので、プレゼントをお渡し下さい。』と加えられたのでした。



二度目のフィナーレが終わった後に残ったお客さんたちは、仙葉さんのお見送りの始まるのを待っていたのです。