浅草ロック座  仙葉由季引退公演③ | ヤマモト探険記

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気の向くままの街歩き。


七景 仙葉由季さんの登場です。


六景から暗転、舞台の幕には鳥籠に入った鴉が映しだされました。

籠から抜けた鴉が大きく羽ばたいて飛んで行きます。そして、後を追うように6羽の鴉も…


すでに五景でその笑顔をたっぷりと振りまき、六景では隠れたファンも多い美少年姿(笑)を披露しており、客席の方も一気にと言うより、徐々に盛り上がってきた感じで待ち構えておりました。

中日をすぎた土曜日の2回目3回目では、明らかに休憩後の客席の人数が増えて行きました、そして、七景開始と同時に、拍手そして手拍子が巻き起こりました。


幕が開くと、6羽の鴉と1羽の白い鴉が…

曲に合わせての大きな手拍子です、白い鴉が前に出ると更に大きな拍手に、そして直ぐに手拍子に、

仙葉さんの代表作であることを客席の全ての方がご存知なのでしょう。

もし、知らない方や初めて見る方が居たとしても、この雰囲気、そして仙葉さんのニヤリと笑った顔を見れば、客席と舞台上とが一つと成っていること、そして、その意味することが解るでしょう。


初めて、仙葉由季さんを見た時の演目が「白いカラス」でした、御本人にも思い入れのある‘代表作‘である事は後から知り、昨年のポラ館最後の公演で2度目の拝見、そして今回で3回目、それも最後の…

きっとこんなふうに、思いに浸っているのは、私だけではなく大勢いらっしゃった事でしょう。


6羽の鴉を従えてのダンスはとても印象に残るものでした、「白いカラス・浅草バージョン」しかと拝見いたしました。


イスをつかってのポージィング。

頸椎を痛めている仙葉さんにとって(どのポーズもそうでしょうが)、大きく海老反るのはかなりの苦痛だろうと思いながらも、黒い幕を背景に美しく白く輝く裸身が浮かび上がる様に魅了されていました。


ミロのビーナス、裸のマハにも匹敵する芸術です。

本当は、MMのあの写真にも負けない美しさと思ってます(笑)。


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暗転すると、今度はピンクのスーツ姿の一団の登場です。


音楽と同時に、場内一斉に手拍子が始まりました。

さっき終わったばかりの仙葉さんに「早く出てきて」と言ってるようです(笑) 

曲はマイケル・ジャクソン。

白のスーツ姿で登場。中日以降は黒い衣装も加えての2バージョンです。


MJが亡くなった時は「とても寂しい」と短い文章がブログにUPされていましたが、「誇れる人」「永遠の人」との言葉が印象的でした。


最期のダンスをオリジナルでなくMJとしたことは、彼へのリスペクトであり、ダンスする者、ステージに生きる者としての強い思いを感じました。


曲が終わり、白いドレス姿へ変わると、踊り子、ダンサーとのお別れです。

握手し、肩を抱き、耳元で囁き、ひとりひとりと言葉を交わしているように見えます、「さようなら、ありがとう。」「ありがとうございます、寂しくなります。」そんな会話が聞こえてくるようです。

最後、膝をつきうつむく加瀬あゆむさんに近づき、顔を覗き額を合わせました、子供親分に何を伝えたのでしょう。

「振り返れば、君が居た♪」

出演者全員に見送られて、仙葉さんを乗せた移動盆が、港を出る船のように本舞台を離れて行きます。


仙葉さんのソロ・ベッドです。

いつものように、美しく、かっこよくポーズが決まっていきます。


最後のポーズが決まり、立ち上がり客席への挨拶へ、この時、まさに万雷の拍手でした。

客席の一人一人の顔を確かめるように、視線を巡らせて行きます。目を見れば「今日も、お出で下さり、ありがとうございます。」「今日まで、長い間ありがとうございました。」「最後に、お顔を拝見できて嬉しいです。」と語りかけているのがわかります。
視線をもらったお客の一人一人もまた、「ありがとう、お疲れ様。」「今日まで、頑張ったね。」「もっと、見ていたかったよ。」と言葉にならない言葉を返しているのが伝わってきます。


昨年から何回か、仙葉さんのステージを見て来ましたが、ほぼ毎回、花束やご祝儀を渡す方がおり、抱えきれない花束を受け取る場面もありました。

しかし今回は、初日の2回目にプレゼントを渡される方がおりましたが、それ以降は見ておりません。

一度この場に居合わせた方なら、”御別れの挨拶のとき”を邪魔してはいけないと感じたのではないでしょうか。

手拍子の様子からも、客席の殆んどの方が常連であり仙葉ファンであろうことはわかります、みんな気持は一緒です。


挨拶が終わり、花道を戻り本舞台でポーズを決め、幕が閉まった後まで、拍手が止まりませんでした。


暗転のため場内が暗くなった時、本当にシーンとした感じでした。

フィナーレの幕が開くと、軽快で賑やかな音楽と共に、六人の踊り子たちがピエロに扮して飛び出して来ました。カラフルな衣装で楽しそうに跳ねまわり、先程の落ち込んだ空気を振り払って行きました。


そして、あらためて、重厚で歌い上げるような音楽が流れフィナーレが始まりました。