連載当時読んでいて、心を持ってしまった人形が感じる、虚しさや切なさにジンワリきましが、今回の実写版では、さらに、目頭が熱くなりました。
大人とも子供とも見える顔、関節の目立たない細くスラリと伸びた肢体、そして、たどたどしい日本語、原作を立体化するに当たり、ぺ・ドゥナは良い配役だったと思います。
物(人形)に心が宿る…って妖怪です。
普通、妖怪の話と言えば、手荒に扱われた事への復讐や怨念、あるいは、人間への憧れ、と言った話ですが、空気人形は、持ち主を責めたり、作り主を恨んだりもしません、恋?もしますが、人間に成る事を望んだりも為ません。
様々な経験をし、人と関わり、人々の虚しさや哀しみに触れた空気人形は、「心を持つことは切ないこと」と思うようになります…。
この空気人形からのメッセージを我々はどう受け止めたらよいのでしょう…
性描写への反発もあるかも知れませんが、それこそが空気人形のアイデンティティーであり、人形と人間、空気と空虚を考えさせるには、必要な描写だと思います。
大人のファンタジーとして傑作の1本です。
