ボクが働く南大阪に高さ日本一のビル、あべのハルカスが全面開業したのはまだ1年半前。

当時、地元はこのニュースに沸いたかと言えば・・・そうでも無かったです。

「展望言うても横浜みたいにベイエリアちゃうし観光客来るか?」
「そもそもテナント埋まるんかいな?」

口さがない大阪人達は囁きあったものでした。

そこへ飛び込んできた先日のニュース。


そうなるよなぁ。稼働は10年以上先とはいえ、更に高いビルが出来ると確定した時点で日本一の称号も色褪せた感があります。

「日本一」というスペックを求めた時点でこうなることは見えていた。資金さえかければ大手建設会社と組んで出来ることですからね。

「一番の〇〇」これを目指した時点で、抜かれる将来が見えている。今はそんな時代なんですね。

■思えば家電流通史は一番を目指す歴史だった
星電社、第一家庭電器、ベスト電器、コジマ、ヤマダ電機。家電業界の人は分かるでしょうけど、これ業界シェアNo.1を取った家電量販店さんたち。

勘の良い人は気付いたと思いますが、ヤマダ電機さん以外、全て倒産か吸収合併の道を辿っているんですね。これはかつて全てが街の電器屋さんしか無かった時代の地域一番店戦略から続く歴史です。

そして昨今、ヤマダ電機さんの苦境がニュースになりました。更に規模の大きなネット市場が拡大したからです。

地域一番店、日本一を目指せば、別の何処かが更に一番店を作った時点で終わってしまう。その結果、店舗が維持できず撤退した地域もあり・・・これでは誰の幸せのためか分かりません。

人口がどんどん増えた高度成長期ならそれで良かったんです。でも成熟社会になった今、地域一番店戦略は既に詰んでます。別のやり方が求められている訳なんですね。

■規模やスペックよりも「店柄」でつながろう
例えば、岡山県のアトム電器赤磐店さんでは年末に地域の皆さんと餅つきをします。

赤磐餅つき

その日はわずか10坪のお店にひっきりなしにお客様が集まり、さながら小さなお祭りです。

また和歌山県のアトム電器下津店さんでは、夏の終わりに店の前でバーベキューをされています。

下津店

夕方になると近所の人やお得意客さんが三々五々集まって、店長さんが釣って来た魚を焼いて、盛り上がります。

どちらもそれ自体が売上を生むわけではないけど、地域の皆が元気になれば、とやっているイベントです。そうやって届けた活気が巡って自分たちの所へも返ってくると知っているからです。

こうして折に触れて交流する機会を持てば、そのご家庭の事情を汲んだご提案にも繋がり、またこちらの人柄・店柄が見える分、安心してお付き合い出来る関係が広がります。

■売上占有率より心の占有率を
地域一番店戦略とは店舗面積や品揃えでライバルを上回る店を作り、店の力で売る仕組み。

そうではなく、自店の手の届く範囲でこうしたイベントや、月々のニュースレターや、日々のブログやSNSでお客様と繋がる、人の力で売れる仕組み。地域経済が疲弊している今、求められているのはここなんですね。

売上占有率より、お一人お一人の心の占有率をつかむ忘れられない仕組みづくり。地域店はここを意識すれば、大丈夫ですよ。

それでは今日も良い1日を☆

この記事を書いた人:メオマサユキ

meomasa地域電器店専門の販促・経営アドバイザー。
1972年大阪生まれ。大学卒業後、会計事務所に約12年勤務。2009年より町の電器屋さん「アトム電器」を展開する㈱アトムチェーン本部に勤務。
2012年より始めたご加盟の電器店さんとの個別経営面談会もおかげさまで150件を越えました♪(プロフィール