「坂東は家康、坂西の儀は輝元に申し付ける」(『毛利家文書』)
文禄四年(1595)、当時は豊臣秀吉が天下を掌握していた時代で、その配下の大名として、坂東(東日本)の徳川家康とともに坂西(西日本)の毛利輝元がこの国を二分して政治を任せられていたというのです。
祖父の元就が家督を継いだ際、安芸の国衆の一人にすぎなかった毛利家が西日本最大の勢力となり、輝元は壮麗な広島城を築いています。
父の隆元は、偉大な父(元就)と優秀な兄弟(吉川元春・小早川隆景)たちの間にあって、コンプレックスに悩み続けましたが、“毛利の三代目”はどんな武将だったのでしょう。
輝元は天文22年(1553)に隆元の長男として生まれ、11歳で父と死別。
13歳で元服した後も祖父元就の後見を受け、19歳の時にその祖父が死去した後には2人の叔父(元春・隆景)と一族の長老(福原貞俊)、家臣の重鎮(口羽通良)に支えられました。
(つづく)
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