戦国随一の智将「毛利元就」の謎(最終回)[武将の愚痴] | 跡部蛮の「おもしろ歴史学」

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 毛利元就は生涯、他人への気遣いに徹し、それが「計略」「調略」という負のイメージを打ち消すことに繋がったようです。

 

 それにプラスして、彼の性格もそのことに関係していると思われます。

 

 元就には意外にも、息子らへの書状で平気で愚痴をこぼす“人間臭い”一面があったのです。

 

 たとえば嫡男隆元への書状で「毛利のことをよく思う者は、他国はもちろん、安芸の国内にも一人もいない」だの、「妙玖(亡くなった元就の正室で三子の母)が生きていたらこんなことは言わずにすんだのに……」(いずれも『毛利家文書』)と愚痴を垂れています。

 

 また、古手の家臣である志道広良(毛利家執事)と「只今の衆」を比べ、隆元へ「最近の者たちは分別がなく、なんでも押し付けてくる」(『同』)と不満を漏らしています。

 

 このような性格が、いわゆる謀略家の元就をどこか憎めない存在にしたといえるでしょう。

 

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