弘治元年(1555)9月、元就は下剋上で大内義隆を殺した陶晴賢と厳島で戦い、勝利をおさめて大飛躍を遂げます。
その際、狭隘な厳島に城(宮尾城)を築いて陶軍を誘い、身動きできなくなったところを奇襲する作戦を考えました。
そこで陶方の間者が毛利の家中に入りこんでいることを逆手にとり、
「家臣の諫言をいれず、厳島に城を築いたのは吾一生の過ち。陶勢が大軍で厳島に渡り、あの小城(宮尾城)を攻めたら、ひとたまりもない」(『陰徳太平記』)
と、陶軍の厳島渡海を恐れていると思わせる偽情報を流したのです。
敵のスパイを使い、うまく情報操作する作戦です。
しかし、これも確実な史料で確認できません。
とはいえ、元就の謀略に関する逸話が多く残っていることから、すべて話半分だとしても、彼が「智将」だったことまでは否定できないでしょう。
(つづく)
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