手紙から読み解く秀吉と信長の関係②[干殺しの手柄を誇る] | 跡部蛮の「おもしろ歴史学」

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 秀吉が信長から中国(毛利氏)攻略軍の司令官に任じられていた当時の話です。

 

 本能寺の変(1582年)で討ち死したとされる信長側近・野々村正成たちからの天正七年(1579)の返書にはこうあります。

 

「さりとては御手柄との申す事に候、天下においてその御取り沙汰にて御座候らえば(=大変なお手柄だと天下で評判になっています)」

 

 野々村らは、秀吉の手柄を誉めちぎっているのです。

 

 ちょうど秀吉が、毛利方へ寝返った別所長治の居城三木城(兵庫県)を囲んでいる頃にあたります。

 

 その合戦は、秀吉が城への補給路を絶ち、後に「三木の干殺し」として有名になります。

 

 つまり秀吉は、蟻の這い出る隙もない包囲陣を誇り、そのことが信長の耳に入ることを想定して側近たちに手柄を強調していたのです。

 

 結果、側近たちから以上の返書を受け取った次第。

 

 思惑通りの反応に満面の笑みを浮かべる秀吉の顔が思い浮かびます。

(つづく)

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